かせきさいだぁ
作詞家/ラッパー/ヒネモシスト/漫画家
誰にも頼まれずに執筆を続ける脱力系4コマ漫画「ハグトン」。
ハグトンの好物はカフェラテ(最近はソイラテ)だそう。

We love IKEA

2010.08.27
第1回

はじめまして。私は末端の席で細々と放送作家をしております、寺坂と申します。
一日の大半は仕事に費やしていますが、それ以外の人生の楽しみを知りません。
運動もできないです。勉強もできないです。29歳でまだ一度も彼女が出来た事がないです。

そんなないない尽くしの男に、とある夢の場所があるのです。その聖地の名は「イケア(IKEA)」です。スウェ―デン発祥の大型インテリアショップ、家具のデパートです→家具や雑貨など、家に関するものが何でもそろうホームファニッシングストア。洗練されたデザイン、様々なコンセプトで作られた仮想の部屋、目が覚めるような色彩の雑貨…見ていると、1人ぽっちの自分に彼女がいて、同棲するならこんな家に住みたい、このキッチンでカレー作ってほしい、このベットでニャんニャんしたいなど、色んな妄想を膨らませる事ができます。月に1回は行くでしょうか。
映画「500日のサマー」で、カップルがイケアでデートし、売り物のベットに寝そべりながらラブラブトークをするシーンがありますが、それが私の夢です。1人でも充分妄想でラブラブトークは出来るので、ぜひ試して下さい。

そもそもイケア(IKEA)という名前の由来は創業者イングヴァル・カープラードさんのイニシャルI・Kに、故郷のElmtaryd農場と、その町の名前Agunnaryd町の頭文字をつなげたものだそうです。どうやって誕生したのか遡りましょう。

時は1920年代。日本でいうと大正時代です。
創業者のイングヴァルさんは5歳の頃スウェーデンの町でマッチ売りの少年をしていました。7歳の頃は、自転車で遠くの家や町まで行き、マッチの訪問販売をするまでに成長していたのです。なんと健気なんでしょうか。しかし健気で同情している場合ではありません。ここで彼は、あるヒント思いつくのです。「安くまとめ買いしたマッチを安く売ると、かなりの利益が得られるのだ!」と。7歳でこの知識です。そのノウハウを得て、今日のイケアが誕生したのであります。

創業は1943年。昭和18年ですから、日本が戦時下の時にイングヴァルさんは、ペンやストッキングなどの雑貨を売っていました。その2年後、牛乳配達の車で通信販売をするようになりました。
 日本では笠置シヅコが「東京ブギウギ」を歌っていた1948年、現代の主力商品である家具を販売。「君の名は」が流行した1953年にはショールームが誕生し、見て触れて商品を購入できるようになったのです。

そして「ケ・セラ・セラ」がヒットした1956年。イケアにとって忘れてはいけない重大な事件が起こるのです。
イケアの卸売業者が、ライバル家具店に圧力をかけられてしまい、商品の提供をイケアに対しボイコットしたのです。しかし、ケセラセラ、なるようになる…と考えません。
そこでめげなかったんですよイケアは!発想を変えて、自分達でデザインし、自分達で作るようになったです。もう1つ、従業員があるヒラメキを思いつきます。たまたまテーブルの脚を外したら、簡単に家に持って帰れるではないか!と。こうして「組み立て式梱包」というシステムも誕生したのです。
それから70年あまり、今や36の国と地域に店を構えるまでとなりました。

絢香「三日月」がヒットした2006年には日本に上陸。船橋にオープン。今は船橋以外にも港北、神戸、大阪、三郷に店舗を構えています。外観はどの店舗も同じですが、商品構成はその地域によって微妙に違うそうなので、その話はまた今度→どの店舗も取扱商品は同じですがルームセット(お部屋)のデザインが店によって異なります。

では続きまして、イケアのお買いものの仕方について、港北ストアを例にとってご紹介しましょう。港北ストアは朝10時開店です。昼間は混むので朝から行くのがベストと思います。
レストランでは朝9時30分からお得な99円朝食が出されます。商品が欲しすぎて先走りしすぎたあなたも大満足です。オムレツとミックスベジタブルとソーセージ。てっきり99円だから、出来あいのオムレツだろうと思ったあなたはノーノーノー(C-C-B風)。中がふわ~っとしており、野菜はホクホク、ソーセージはプリプリを通り越し、そのままハトヤのCMみたいに跳ねて山の牧場に帰って行きそうな感じです。

店内に入ると大量の黄色い袋が置かれています。これに商品を入れて広い店内を巡ります。袋は黄色、取っ手は青です。これはスウェーデンの国旗をイメージしているそうです。思わず持って帰りたくなる、目が覚める艶やかな色合いです。万博のコンパニオンが着そうな服の色です。そして紙と鉛筆をとり、そこに欲しい家具の番号を記入します。
ベット、椅子、収納、照明、雑貨などゾーンごとにわかれた店内はまるで、行ったことはありませんがオルセー美術館のよう。やがて1周1時間ほどめぐり、
倉庫で番号の商品を受け取ります→取り出します(お客様ご自身の取り出していただくシステムです)。テレビ局の美術倉庫を数倍大きくしたような空間。

「ランニングショット」をBGMに柴田恭平が拳銃を持って出てきそうな空間でもあります。レジで商品を購入し、家で組み立てます。女性でも組み立てられるようにがモット―です。

さぁ、イケアの概要を紹介したところで、これからは、イケアにはどんな商品があるのかをじっくり紹介していきますので、お楽しみに。
よろしくお願いします。

プロフィール

寺坂直毅
1980年宮崎県生まれ。放送作家。
テレビ東京「やりすぎコージー」等担当。
家から徒歩圏内にデパートが何軒も乱立する環境で幼少期を過ごし、魅力に憑りつかれた為に日本全国のデパートを行脚した「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)を刊行。他にNHK紅白歌合戦の魅力に憑りつかれた為に、家でミニチュアで紅白のステージを再現する趣味を持つ。好きな女性は黒柳徹子。