
TOKYO MOOD PUNKSのニュー・シングル「ストロベリー」が11月11日にリリースされることが決定。映画『ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない』の主題歌として起用された楽曲ですが、タイアップよりも先に、リリー・フランキーが「いま一番腹が立っている」という社会に対しての憤りを、ストレートに訴えた作品に仕上がっています。「いまこれを伝えるには音楽しかなかった」というリリーの思いを、前・後編に分けて聞きました。
取材:松田義人(deco) 写真:ロックンロール編集部
──「最近、リリーさんは何故、文章やコラムをやらないのか」って、よく言われると思うのですが。
──「いま言いたいこと」が音楽に一番合う理由は? リリー 20代の頃から常に憤りを持っていたんだけど、それがさ、年を取るにつれてどんどん強まってきているんだよね。なんだろう……更年期かね(笑)。でもさ、自分が20代の頃にパンクな意識を持って、社会に対して怒っていたことって「借りモノの怒り」じゃん。例えば「政治が悪い」とかはいつの時代も思うことだけど、今にして思えば、20代の頃のそれはボンヤリとしかわかってなかったわけ。その政治のせいでどれだけの人が苦しんでるかとかね。でも、いまはリアルに怒ってる。自分が大人になると、本当に「大人が腐っている」ことがわかるから。40過ぎてこんな風になるとは思っていなかったけど。それを言うなら、自分の肉体を使って、恥をさらしながらやらないとダメ。上から目線で怒ってもダメ。 ──何故ですか? リリー 良く言えば、これは民主運動だからね。上からアジるんじゃなくて、バンドで、歌を歌って。「何をやっているんだ、あいつは」みたいに攻撃されても良いようにしておかないと、言いたいことが伝わらないと思うんだ。またさ、音楽ってやる側と聴く側に主従関係がなかったはずだけど、それも薄れてきてるじゃん。それに対しても憤ってるから、あえて音楽で恥をさらしながらやりたいんだ。そうじゃないと、自分の中でのフラストレーションも埋まっていかない。 ──リリーさんが写真や詩や小説を書き始めたとき、「『あいつは変わった』みたいに攻撃されると、逆にやる気が湧いてくる」と言っていましたよね。 リリー いつも、嫌われてるからね(笑)。コラムを書き始めた頃、とにかく人の悪口ばっかり書いててさ、カミソリとかウンコとか普通に送られてきたりしたわけだけど、そのときは俺のことを誰も知らないから、嬉しかったよ。「読んでくれているんだ」って(笑)。でも、いまはもうそんな体力ないから、ウンコだけは送らないで欲しいんだけど。
──リリーさんがさっき言った「社会に対してリアルに怒ってる」ことを具体的に言うと? リリー 抑圧だよね。社会があらゆる人を強制しているよね。社会から抑圧されてもさ、それにみんなが不満を持ってツバを吐いているならまだいいじゃん。でも、いまはその社会に完全に飼いならされて時間無駄に浪費して「みんなで我慢しましょう」みたいなね。そこだけなんか「文句を言わないことが、日本人の美徳」みたいなね。いまの日本の石の上に3年座ったらヒザが腐るぜ。 ──いまは石自体が腐ってる(笑)。 リリー 昔の石はマトモだったけど、いまは完全に石が腐ってる。自由と権利が認められている国でさ、こんなに抑圧されているのもないでしょ。共産主義の国でマスゲームをやっている奴のほうが幸せかもしれないよ。だって、それくらい酔わせてくれるわけだから。でも、いまの日本は、酔わせてもくれない上に、強制されることばっかりでしょ。だからみんな鬱になったり、自殺したりするようになるんだよ。それなのに、みんな不満すら持たない。「信号に一回も引っかからなかったから、今日は幸せ。いい日」って、そんなわけないだろ、お前っていうさ。
──ただ、〝美意識〟という言葉すら死語になりつつありますよね。 リリー 崩壊してるよね。本当の〝美意識〟があったら、こんな利己的な国になっているわけないもんね。でも、どんな状況にあるにせよ、自分が生まれてきた以上、自分が主人公の人生を見ているわけでしょう。だったら、自分自身のことをもっと大切にしたほうがいい。納得のできないことがあれば、どんどん不満を持たないと。そんなワケわかんない、納得のいかないことを社会から押しつけられたところで、何も報われないでしょ。自分の〝美意識〟で戦って、もがいて、声をあげて……そっちのほうがうまく転がることが多いと思う。自分の意志で動いてる人って清々しいしさ、悪くは転がらないと思うんだ。もし、失敗してもいいんだよ。失敗しても、言い訳できるじゃん、自分が決めたんだから(笑)。でも、そういう意志さえそぎ落とすのが、いまの社会でしょ。そりゃ〝気力〟もなくなるよね。希望がない。だから、どうせ何も報われないんだったら、せめてツバを吐く感覚を持っていて欲しいと思うんだ。 (つづく/次回は11月6日頃アップ予定です) |

「リリーさんには、中々お会い出来ませんでしたが、今回の映画に合う曲を探している時に、偶然リリーさんの唄を聞きました。何とも言えないパワーを感じ、是非と言う気持ちでお願いしました。台本を読んだリリーさんが、快く引き受けてくれた事に感謝します。多彩なリリーさんの、予想を遥かに越えるパワーを頂きました」──監督:佐藤祐市
「メロディと歌詞から元気をもらえる。歌いだしが強烈にインパクトがあって一気にテンションがあがる。この映画にぴったりだと思いました」──田中圭
「初めて聴いた時、エールを送られてるようで泣きそうになりました。諦めないこと!! 現代人に前を向くパワーをくれる応援歌だと思います」──マイコ

タイトル:「ストロベリー」
アーティスト:TOKYO MOOD PUNKS
収録曲:01.ストロベリー
02.Blue Bird
03.Wonderful World
発売日:2009年11月11日(水)
価 格:1,050円(税込)
レーベル:tearbridge records

映画「ブラック会社に勤めているんだが、もう俺は限界かもしれない」
主題歌:TOKYO MOOD PUNKS「ストロベリー」
「台本読ませて頂きました。現代の歪曲した現実に対して、とても意味のあるストーリーだと思いました。 この曲は、ちょうど今回のお話を頂いた頃、ほぼ同時に作っていた曲で、詩の内容も、 自分が感じる今の社会・会社が、若者や弱者を抑圧していること、 彼らがその現実をあきらめて受け入れようとしていることに憤りを感じ、書いたものです。 奇遇にも映画のテーマと重なる部分が多く、勝手に御縁を感じてしまいました」──TOKYO MOOD PUNKS リリー・フランキー(Elvis Woodstock)

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TOKYO MOOD PUNKS
リリー・フランキー
富澤タク a.k.a遅刻(グループ魂)
笹沼位吉 (SLY MONGOOSE)
松下敦 (ZAZEN BOYS)
松田"chabe"岳二 (CUBISMO GRAFICO)
サポートメンバー:上田禎

リリー 単純に書きたくないというのもあるけど、いま俺が言いたいことは音楽が一番合ってるの。ただ、俺にしてみれば文章、イラスト、写真、歌うこと……どれも違うことをしているとは思わなくて。そのときどきで、言いたいことをなんらかの手段で伝えたいだけだから。またさ、それぞれの分野に入ると、だいたい組合があるじゃん。そういう組合に入ることも面倒くさいというか。だから、バンドでデビューしたからと言っても「ミュージシャンの方々の末席に加えてください」という気もさらさらないし「プロになりたい」という気持ちもない。たださ、じゃあ「アマチュアでいたいのか」というのも違うんだ。広い意味で表現ということに関して言えば、何十年も続けてきているしね。だから、今はたまたま音楽ではあるけども、ルーティンワークとしてバンドをやっている人とは全く違うと思ってるの。

リリー 一方で、ホームレスの人が日比谷公園の炊き出しに並んでる。それを見てさ「仕事なんて探せばあるのに、何を甘えてるんだ、あの人たちは」というようなことを簡単に言う人の気持ちもわからない。俺はあのホームレスの人たちの気持ちがすごくよくわかるんだ。俺も何年も無職で乞食だったから。社会に出れば仕事があることはわかるけど、その面接に行く〝気力〟がないんだよ。あるいは自殺する人を見て、「なんてことをするんだ」「ホテルで首つったら、みんなに迷惑がかかる」とか、そんなことを言う人もいるけど、考えるべきはそこじゃないでしょ。〝気力〟がなくなるってことが一番怖くてさ、それを取り戻すためには、自分一人じゃ絶対無理なんだ。誰か他人の力も要るだろうし、その上で、自分の〝美意識〟を少しずつ取り戻していくしかないと思う。






















