——その後のこともお聞きしたいんですけど、オリジナル・ラヴは1作ごとにさらに大胆な変貌を遂げて、『ビッグクランチ』(2000年)あたりで実験的な音楽の頂点に達して、そのあと肉体的な演奏に回帰して現在に至るという印象があります。
田島 その後は……このあと『Rainbow Race』(95年)というアルバムを出して、ツアーが終わったあとに小松と佐野っちと龍太郎さんが脱けたんです。2年ぐらい、オレとこの3人を中心に格闘技みたいなライヴをやって、もう疲れたっていうのがあったと思うんですね(笑)。で、彼らのほうから“やめます”っていう話になったんで、じゃあまたどうやって作っていこうかな?と思って、『ELEVEN GRAFFITI』(97年)っていうアルバムを出したんだけど、その時は打ち込みを入れてね。以前までは、サンプラーは使っていたけど、自分でいじり倒すことはしてなくて、マニピュレイターの人に頼んでやってもらってたけど、『ELEVEN GRAFFITI』の頃から自分で触りだして、それが面白くて。生演奏も好きだったんで、それと生とを合わせてグシャグシャにしたらどうなるんだろう?っていう、『ELEVEN GRAFFITI』はそういう実験をしていたアルバム。それが『L』(98年)につながって、『ビッグクランチ』まで行くんですけど、『ELEVEN GRAFFITI』から『ビッグクランチ』までがひとくくりかなと。その前は、『EYES』が移行期で、『風の歌を聴け』と『Rainbow Race』と『Desire』(96年)がひとくくりなんですけど。レコード会社がまたがってるからこういう感じになっちゃってるけど、結果的に『Desire』までがひとつの流れだと思います。民俗音楽的なリズムをポップスの中に当てはめていくというのが、『風の歌を聴け』から始まってるので。サンバ、ニューオーリンズのセカンドラインがあって、『Desire』ではトルコ音楽まで行っちゃうんですけど。でも当時は、そういうマニアックなことを聞いてくる人は誰もいなかったね。
——すみません(笑)。こっちに知識がなかったですね。
田島 『Desire』の頃はね、トルコとギリシャの音楽を、ジプシー音楽のCDをものすごい買ったの。ウードという楽器も習いに行ったし、アラビア音楽がものすごい好きになっちゃって、ただそればっかりやっても駄目だから、ローリング・ストーンズがやってたみたいな、“悪魔を憐れむ歌”みたいなアプローチでトルコ音楽やギリシャ音楽を入れたらいいんじゃないかと思って、『Desire』はそういうふうにしたんですけどね。そういう音楽的に工夫したところは当時のインタビュアーには一切聞かれなかったね。ミュージシャン仲間とは話が合うんですよ。アラビア音楽に詳しい人とか、結構いますからね。ただ、一般のリスナーにそこをわかってほしいと思うなって、今のオレだったら思うんですけど。でもビートルズがやってた頃はそれがまかり通ってたから、いいんじゃねぇか? と思ってやったんだけど。ビートルズはインドの音楽でしょう。僕はトルコとギリシャの音楽でそれをやったら面白いんじゃないかと思って『Desire』を作ったんだけど、あと沖縄の音楽にもすごいハマッてて、そういう民俗音楽をいっぱい聴いてたんですよ。で、『Desire』で僕の中で一段落ついて、また別のやり方で音楽をやろうかなと思って、『ELEVEN GRAFFITI』から『ビッグクランチ』まで行くわけですけど。で、『ビッグクランチ』で、マシーン・ミュージックとJポップの融合みたいなものに一段落ついて。あれは自分でも何を作ったのかわかんないんだけど、みんなも何を作ったのかわかんないというアルバム(笑)。オリジナル・ラヴって何なんだ?っていうことになったんだけど、ただ、『風の歌を聴け』の次に、自分で“すげぇな”と思うアルバムはやっぱり『ビッグクランチ』なんですよ。『風の歌を聴け』と『Desire』と『ビッグクランチ』は、僕の作った中ではマッドなアルバムというか、セールスだ何だということを抜きにして、そう思いますね。
あとはね、『ムーンストーン』(2002年)以降はね、今ですよ。あ、『ムーンストーン』から『街男 街女』(2004年)までかな。前回の『東京飛行』はちょっと違ってるか……でも、“今”という感じがします。
——肉体的な感覚が戻ってきたと思います。
田島 何て言うのかな……何にも考えなくなったということかな。とにかく何も考えないで曲をどう作ったらいいか?という手始めが『ムーンストーン』でしたね。次はこうしてやろう、ああしてやろうとか、あんまり思わないようにしようって。そのぐらいから、そうですね。
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『standard of 90's』
今もなお、熱いリスペクトを集める90年代音楽シーンを作り上げてきた名盤復刻シリーズ『standard’s of 90’s』。第1弾、オリジナル・ラヴ、スパンク・ハッピーに続き、第2弾として登場するのが、TOKYO No.1 SOUL SET、スチャダラパー、Great3の3組。アーティスト公認、リマスタリング、当時のアナログを紙ジャケ化(一部除く)という07年リマスター決定版となっています。他詳細はstandard of 90'sまで。
『Rainbow Race』
(95年リリース)
『Desire』
(96年リリース)
『ELEVEN GRAFFITI』
(97年リリース)
『L』
(98年リリース)
『ビッグクランチ』
(00年リリース)
『ムーンストーン』
(02年リリース)
『街男 街女』
(04年リリース)
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