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MATSURIラーメンその貳 「ラーメン仕込み中」

 ロックバンド、ZAZEN BOYSで強烈な個性を放つボーカル・ギターの向井秀徳氏が幼少期から一環して食べ続けているのがラーメン。佐賀で育った向井さんにとって、ラーメンは単なる食べ物を超え、生活に欠かせないものとのこと。今では自らダシを取り、オリジナル・ラーメンを作るにまで至っているそうです。今回は「ロックンロールニュース・年末年始特別企画」と題して、向井さんとラーメンにまつわる話、オリジナル・ラーメン(MATSURIラーメン)制作過程、そのラーメンを試食した際の採点までを3回に分けて紹介。其の貳の今回は、いよいよ向井さんによるオリジナル・ラーメンの制作過程をご紹介。この寒い時期は特にお腹が空いてきますので、覚悟して(笑)お読みください。

取材:松田義人(deco) 写真:近藤彩子(deco)

■魚系のダシ

RRN すごいですね、このスープ。どうやって作ったんですか?

向井 まず、昨日の朝、とりあえず築地に行って来まして、それで素材を調達して来ました。僕は最近、鍋も味噌汁もよく作るようになったんですけど、やっぱり全部ダシで決まるんですね。それでまず、羅臼昆布。これは昆布の最上級と言われてるんですけど、これは「三」と書いてあります。羅臼昆布の中にも等級があって、「一」「二」「三」とあるんですよ。ところが築地に行ったら「『一』『二』はまだ入荷しておりません」と。なので、今回は「三等」の羅臼昆布にしました。

RRN でも、それでも高いでしょう、羅臼昆布って。

向井 まぁ大量に作れば高くない。築地はやっぱりいいものが安いから。それで、まず昨日のうちにダシを取って、それだけを飲んでも十分ハッピー、美味しかったです。それから鰹節。鰹節を荒く削ったやつを買ってきまして。それを沸騰まではさせないで、バッと煮立てて濾して終わり。これで魚系のダシは完成。

向井秀徳氏
向井さんによる魚ダシの解説。

羅臼昆布
これが羅臼昆布だ。本文通り、これは三等級になる。

鰹節
荒く削った鰹節。やはりこれも築地にて調達。

向井秀徳氏
そういった高級素材を惜しみなく鍋にかける向井さん。


■獣系のダシ

RRN そして、もちろん獣のダシも。

向井 はい。だから世間でよく言われている、いわゆるWスープっていうものになるんですよ。さっきの魚系のダシと、鶏ガラ+トンコツを少し併せた獣系のダシを併せるわけです。でも、獣系のダシを取りたくて近くの肉屋さんに行っても、そういう部位はまず売ってくれない。だから、これらも築地で仕入れました。鶏専門店に行って「ラーメンのダシを取りたいんですけど」って聞いたら、すぐに「これ使いな」って鶏ガラを出してくれた。これは100グラム200円くらいでした。あとはトンコツ。これは付け足し程度で良いと思って、ゲンコツを4本仕入れました。一度、これらの骨を一度湯がいて、すぐまた出して洗います。洗い終わったら、すぐまた火にかけていきなり強火。バリバリ。

RRN バリバリ(笑)。

向井 バリバリですね。これだけの量だと、沸騰するまでも時間がかかりますから。そして、あと野菜を入れます。ネギ、セロリ、ニンニクとか。そして、やっと沸騰したら、一瞬にして気色悪いアクがブワーって出てくるので、これをひたすら取る。あと、焦げてもいけないからかき回したりもしつつ。4〜5時間ずーっとこうやって。無言で(笑)。その感じがまたいいんですよ。

RRN でも、そうなるとなかなかヤメられないですよね。

向井 うん。だから、「もう眠い」と思ったときにヤメる(笑)。そこで完成(笑)。ただ、ラーメンってアバウトなときはすごいアバウトなんですけど、Wスープで合わせる分量っていうのはとても微妙で。すごい難しいんですよ。

向井さん使用のズンドウは「DON」製。
向井さん使用のズンドウは「DON」製。
名前が強そうだ。

向井さんが数時間かけて煮込んだ獣系スープ
向井さんが数時間かけて煮込んだ獣系スープは
ジップロックで慎重に持って来られた。

スープを鍋に移す
そのスープを鍋に移す。


■焼豚に入る

RRN じゃあ、向井さんが眠くなるまでは延々アク抜きと、焦げ防止のかき混ぜのみ?

向井 いや、まだやることがあるんですよ。いよいよアクが小康状態になってきたら、今度は焼豚に入る。

RRN  「焼豚に入る」っていう言い方がもうプロっぽい(笑)。

向井 いや、焼豚は「焼豚用」って言ってタコ糸を巻いて肉屋さんで売ってたのをそのまま使いました(笑)。その固まりをまず、表面をゴロっと焼く。そして、煮立たせているスープを別鍋に移して、酒、しょうゆ、ニンニクを足して、その中に焼いた焼豚をブチ込むんですよ。それを弱火にかけて煮込んでいく。

向井さんが仕込んできた焼豚
向井さんが仕込んできた焼豚。すでにウマそうな光線を放っている。


■その他

RRN メンマもウマそうですね。

向井 普段はメンマは買ってきたやつなんですけど、今回は水で煮たメンマを炒めて、煮て作りました。そして、タレね。タレは本当に大変。薄口150……、オイスターソース200……。

RRN その分量は何かレシピを見て覚えたんですか?

向井 いや、完全に感覚です(笑)。でも、ただのしょうゆと酒だけだと、そばの汁みたいになりますから。これはちょっと気を使いますね。

RRN 麺はどうするんですか?

向井 これは「肉のハナマサ」で売ってるストレート麺ですね。広島駅の立ち食いそば屋の麺がこういう普通の麺だったので、あの麺がウマかったのを思い出して、これにしました。



メンマ
マトリョーシカ状態に細かく仕分けされたメンマ。

メンマ
と思いきや中身は全部同じだった。
たぶん、向井さんがデカいタッパーを持ってなかったと思われる。

味付玉子
タッパーのうちの一つには味付玉子も。

中華麺
「肉のハナマサ」で売っているという中華麺。
「今回のスープにはこれが合いそうだ」と向井さん。


 以降、助手のMOBY(SCOOBIE DO)さんを従え、次第に寡黙になっていく向井さん。果して「MATSURIラーメン」は無事完成することが出来るのでしょうか。次回はいよいよ完成したラーメンの全貌と、試食した上でのリリーらの採点結果が明らかに!
(「向井秀徳・MATSURIラーメン VOL.3は2008年元旦アップ予定です)