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 スチャダラパー、THE HELLO WORKSのANIがかつてハマっていたのが写真。コンパクト・カメラでサッと撮るANIの姿は、かつてステージ上からもよく見られましたが、最近はどうなのでしょう? 今回はANIに使用カメラの変遷から写真にハマり出したきっかけ、現在の写真にまつわる近況を聞きました。
インタビュー…松田義人(deco )  撮影…石井麻木



最初は記念写真みたいなものしか
撮ってなかったんですよ

RRN ANIさんがもともと写真に目覚めたきっかけはなんだったんですか?

ANI なんだったかな……。

RRN 桑沢デザイン研究所で写真の授業を受けたりとか?

ANI いや、それもない。僕はドレス科だから学生のときは写真はやらなかったです。ミシンばっかり(笑)。だからたぶん最初のきっかけは旅行だったと思うんですよ。旅行に行くことになって、一番最初に買ったカメラがこの「OLYMPAS μ(ミュウ)」ってやつです。カメラ屋の店員に勧められて「蓋がついてるから、いいんじゃない」的な(笑)。

RRN ANIさんって、もっとこだわって物を揃えてるイメージがあるんですけど。

ANI いや、結構適当ですね(笑)。だから、「ミュウ」を買って旅行に行っても、最初は記念写真みたいなものしか撮ってなかったんですよ。そのうちに欲が出てきて、面白くなってきたんじゃないですかね。


OLYMPAS μ(ミュウ)
1991年発売。発売当時は「超小型最軽量フルオートコンパクトカメラ」という革新的なフレコミだったが、ANIは「蓋が付いているから」という簡単な理由で購入。

米原康正
編集者/写真家。90年代、写真への独自の目線で「egg」「アウフォト」を創刊。斬新な内容で写真ブームのいったんを担う。現在は写真家としても海外で大人気。ANIの友達(写真はANIさんが米原さんをヘッドロックしている様子)。

「じゃあ、俺もいっちょ……」
みたいな感じで(笑)

RRN 写真集を見出したり?

ANI そうそう。アラーキーの「噂の真相」の連載とか、あとはヨネちゃん(米原康正氏)と知り合って写真集を色々見せてもらったりとか。まぁエロだったんですけど、ちょうどその頃HIROMIXとかが出てきた頃で。「じゃあ、俺もいっちょ……」みたいな感じで(笑)。「俺にも出来るんじゃねぇか」的な(笑)。

RRN それで次に「Polaroid SpectraPro」。

ANI そうそう。このカメラは色々機能が付いてて面白そうだなって。ポラロイドなんだけど、フィルターが付いてて、エフェクト機能があるんですよ。三面に撮れたりとか、光を変えられたり、長時間露光が出来たりとか。この辺から「ミュウ」と「ポラ」を使い分けるようにしてたんですね。

RRN でも、この「SpectraPro」ってものすごいデカいですね。

ANI そう。だから、あんまり持ち歩かなかったですよ。その代わりスタジオに持って行って、遊びに来た人とかを撮ったりして遊んでました。


Polaroid SpectraPro
1990年発売。フイルム1枚あたり約200円(当時)と、お金のかかるポラロイド。でも、その独創的な機能からプロのカメラマンも好んで愛用したという。ANIは「面白いけど、重かった」とのこと。

「ポケットに入れておいてサッと撮る」
的な(笑)

RRN それで次が「CONTAX TV S」ですか?

ANI そう。ちょっと本格的にいくなら「やっぱりCONTAXじゃないか」ってことで。でも、これ見た目より重いんですよ(笑)。それですぐ「BiG mini」を買って。

RRN 荒木経惟さん効果でかなり売れてましたよね。

ANI そう。やっぱり撮るとすごい綺麗なんですよ。これはよく使ったんじゃないかな。

RRN 結構年季が入ってますもんね。

ANI よく落とすんですよ、カメラを。カメラじゃなくてもカメラ的なものをよく落とす。i-Podとかもすぐ落としちゃう(笑)。でも、「BiG mini」は意外に頑丈でしたよ。乱暴に扱っても壊れない。あと、カメラはコンパクト・カメラが好きなんですよ。「ポケットに入れておいてサッと撮る」的な(笑)。だから、すぐ壊すのかもしれないけど(笑)。

CONTAX TVS
1993年発売。高級コンパクトカメラ、CONTAX Tシリーズに手動ズームが付き話題を呼んだが、ANIは「予想以上に重かった」という感想からすぐに下のBiG miniへと移行。

Konica BiG mini
ファーストモデルは1989年発売(ANIの使用モデルは後期型)。35センチまでの接写が可能なコンパクト・カメラで、まさに90年代の写真ブームの火付け役。写真家・荒木経惟氏はこのカメラで何冊か写真集を出している。

乱暴に扱われた箇所。

自転車でフイルムを出しに行って、
仕上がりを取りに行くのが日課でしたから

RRN 90年代以降、今でもよく見かけますけど、女の子で古いカメラをブラ下げて歩いている子がいるじゃないですか。ああいう子、かわいいですよね。

ANI  ……どうかな(笑)。

RRN ダメですか?

ANI わかんない。

一同 爆笑

RRN ANIさんがよく撮ってた写真を見ると、女の人もすごく綺麗に映ってる。

ANI それは腕じゃないですか(笑)。ただ、色んな種類あったほうが楽しいと思ってたから、この辺からもう日常的に撮るようにはなってました。どのくらい撮ってたかな? 全然覚えてないけど、クラブに遊びに行ったりしてたし、そういうときによく撮ってたんですよ。それが今じゃすっかり……(笑)。

RRN 現像の時代だからお金もすごくかかったんじゃないですか?

ANI どうだろう。でも、DPEの仕上がりは楽しみでしたね、毎回。自転車でフイルムを出しに行って、仕上がりを取りに行くのが日課でしたから。

女の人シリーズ(撮影:ANI)



RRN それでまたポラロイド。名機「SX70」を購入。

ANI  ちょうど、「SX70」が流行ってた頃、ニューヨークに行ったらデッドストックが新品の箱入りで売ってて。650ドルくらいで買ったんです。それでさっきの「SpectraPro」同様に撮って、次は「SAMURAI」を中古で買いました。「SAMURAI」はハーフなんですよ。ハーフだから枚数が倍撮れるし、連写も出来る。なんか色々試したかった時期だと思うんですけど、やっぱりデカいからね(笑)。普通のコンパクトカメラくらいの大きさじゃないとやっぱり無理という結論になりました。

Polaroid SX70 LAND CAMERA ALPHA1
チャールズ・イームズやアンディ・ウォホールも愛用した名機。90年代、日本で再評価が高まって高額取引きされるようになった。これは70年代発売モデルだが、ボディのバリエーションが増えたり(青色のボタンに注目)、限定モデルが出たり、マニアにはたまらない外装が増えた頃のもの。
PKYOCERA SAMURAI
ハーフサイズカメラとしては貴重な一眼レフ。その外観と相まって独創的なカメラだが、ANIは「いっぱい撮れるから」ということで愛用されていたとのこと。

いきなり壊れるんじゃなくて、
ちょっとずつ壊れていくんですよ

RRN それでまたコンパクトカメラに戻って「GR1」。

ANI  そう。これは家の近所の中古カメラ屋で買った。そしたら手にスッポリ入って、使いやすいんですよ。ブラインド・タッチでストロボ強制発光とかがサッと出来る。それで壊れた後も、もう1台ちょっと進化した「GR1s」を買ったんです。

RRN ANIさん、随分昔に黒い「GR1」を使ってたのを見たことがあるんですけど。

ANI 使ってたよね(笑)。自分でも使ってた気がする。だから、もしかしたらもう1台持ってたかもしれませんね。よく使い分けてたんですよ。「こっちはモノクロ、こっちはカラー」的な(笑)。ただ、やっぱり落とすから壊れる。

RRN 壊れる(笑)。

ANI しかも、いきなり壊れるんじゃなくて、ちょっとずつ壊れていくんですよ。これだっていまだにフイルムが入ってるけど、撮れるのかなぁ……あ、電池がないか。


RICOH GR1
1996年発売。先行して発売されていたR1を改良し、高度なカメラファンの要望に応えた。写真家・森山大道氏も愛用。ボディはプラスチックで、ANIのような「サッと撮る」タイプにピッタリ。
RICOH GR1s
1998年発売。評価の高かったGR1をさらに改良させた名機。主な変更点は専用レンズフードが取り付け可能になった。ボディは黒とシルバーがあるが、周囲からは「当時、ANIさんが黒いGR1sを使っていた」という説も。
フィルムがまだ入っている。

失敗したかどうかその場ですぐわかるから、
それがちょっとつまんない

RRN その次がまた「SX70」。

ANI そう。どこか外国のフリーマーケットで見つけて、すごい安かったんですよ。2千円ぐらいでした。

RRN この頃になると……。

ANI もうあんまり撮らなくなりました(笑)。世の中的に「写真を撮ってるどころじゃない」感じになってて。みんなデジカメを持ち始めたからね。だから、僕もデジカメに。「Cyber-Shot」とか。今は人からもらった「IXY DIGITAL」ですけど。

RRN あれだけ銀塩写真にハマってたのに。

ANI 「やっぱり新しいほうがいいんじゃないの」的な(笑)。かさばらなくて良いし。ただ、そうなると「写真撮るの忘れた」とか「面倒臭い」とかにもなってくる。

RRN 今はTHE HELLO WORKSのレコーディング中とのことですが、じゃあそういう現場でもあんまり?

ANI 前ほどは撮らなくなりましたね。撮ってもデジカメ。ただ、デジカメって失敗したかどうかその場ですぐわかるから、それがちょっとつまんない。フイルムで撮ってたときは写真だけじゃなくて、「ちゃんと撮れたかな?」っていう仕上がりを待ってる感じも面白かったんですけど。

Polaroid SX70 LAND CAMERA ALPHA1
これは70年代に発売された普及モデルで、さきほどのSX70とほぼ同じ仕様。ただし、ANIがフリーマーケットで2千円で買ったというのはものすごい破格値だ。

写真を撮るより
「もうこれでいいんじゃないか」的な

RRN 今はインターネットで画像収集をされてるとのことですが。

ANI うん。犯罪者と裁判所前の判決、相撲とか。あと、デモとかの人がいっぱい集まってる画像。そういう画像をパソコンの中でフォルダに分けて保存しています。

RRN 何かのために?

ANI いや趣味で(笑)。

一同 爆笑

RRN 僕の知り合いでも滝川クリステルの映像をダビングし続けている方がいらっしゃいますけど(笑)、そんな感じでしょうか。

ANI そうですね。なんか集めるのが好きなんですよ。だから、そういう画像を集めて。だから、写真を撮るより「もうこれでいいんじゃないか」的な。

RRN じゃあ、写真も創作というよりは被写体を切り取るというか、コレクションみたいな?

ANI そうかもしれないですね。

RRN でも、せっかくですからANIさんがハマってた頃の写真を是非「ロックンロールミュージアム」で公開したいですね。

ANI いいですよ。アルバム20冊くらい色々あるし。ポスターシリーズとかモノクロシリーズとかペアシリーズとか。ペアシリーズは「漫才師みたいだな」的な(笑)。あとはライブ会場とか、近所の定点観測とかも。






漫才師シリーズ(撮影:ANI)

ポスターシリーズ(撮影:ANI)




RRN 面白いですね。

ANI  でも、今こうやって見返すと写真を撮ってた頃、結構有名人と会ってるんですよね(笑)。

RRN 早く見たいですね。楽しみにしています。

ANI
(スチャダラパー/THE HELLO WORKS)
MC担当。1990年にアルバム「スチャダラ大作戦」でデビュー。2006年11月に10枚目となるアルバム「con10po」をリリース。2007年に2月には、SLY MONGOOSE、ロボ宙との新バンド「THE HELLO WORKS」を結成し、活動をスタート。年内にアルバム発売予定。

スチャダラパーオフィシャルサイト
http://www.schadaraparr.net/
THE HELLO WORKS
THE HELLO WORKS

「ロックンロールミュージアム」にて近日公開!
ANI(スチャダラパー/THE HELLO WORKS)写真展
というわけで、ANIによる膨大な写真ストックの中から、貴重な作品を選りすぐり「ロックンロールミュージアム」で近日公開します。お楽しみに!