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当サイト「ROCK'N'ROLL NEWS」はささやかにリニューアルしたわけなのですが、それを記念した特別企画として峯田和伸さん(銀杏BOYZ)とリリー・フランキーの特別対談を行いました。前半の今回は今年のお正月の話で、峯田さんは付き合ってた前の彼女が自宅に来訪し、その頃、リリーはインドに行って象にまたがっていたらしいです。

撮影:川島小鳥 取材:松田義人+近藤彩子(deco)


音楽って映像よりも説得力があってさ、心の中で現実の風景より膨らんでくるものがあると思った [リリー]

●峯田君、髪の毛を切ったんですよ。

峯田 自分で切ったんですよ、これ。

リリー 自分で切ったならメチャクチャウマいと思うけど、「前略おふくろ様」っぽい感じになったね。「グラビアン魂(みうらじゅん氏と『週刊SPA』で連載中)」で峯田君に出て欲しいと思って、一応承諾はもらってるんだけど。

峯田 脱ぎますよ、もう。

リリー いや脱がなくていい。グラビアだから(笑)。でも、峯田君の顔、ちょっと変わってきたね。だんだんみうらさんに似てきた気がする。

峯田 それ、よく言われますよ。嬉しいですね(笑)。リリーさんは誰かに似てると言われることあるんですか?

リリー 昔はダチョウ倶楽部のリーダーと、永ちゃんと、スターボーリングのクロベエと温水洋一、松尾スズキ。

一同 爆笑

リリー でも、もう10年前に比べたら10キロくらい太ったからね。

峯田 そうなんですか? もうちょっとアゴが尖ってるイメージはあったけど、そんなに太ったようには見えない。

●峯田君は今年のお正月は何をしてたんですか?

峯田 色々あったんですよ。去年からずっとやってる僕らのバンドのDVDの編集でモメたりしてて。そのまま年が明けて、木本(マネージャー)と僕で新井薬師に初詣に行ったの。でもね、「今抱えてるDVDの問題は神経質なことだから、俺は絶対おみくじを引かない」と言って引かないまま家に帰ったんだけどさ。そしたら、なんかかゆいの。そしたら、毛じらみにかかってた。

一同 爆笑

リリー 話の流れからオチが全然予想できなかった。毛じらみとDVDの話ってあんまり関係ないよね(笑)。

峯田 こう毛にガッシリついてるんだ。毛を取るともうハッキリ見える(笑)。だから、毛根からカットして、画鋲を入れておくプラスチックのケースに全部移し入れた。

リリー それは村井君(銀杏BOYZ・ドラム)に移植しないといけないね。

峯田 今はもうかゆくないけど、あれは焦りました。

●リリーさんはお正月はどう過ごしてたんですか?

リリー インドに行ってた。インドにi-podを持って行ってたんだけど、インドって随所に陰惨な風景があるんだ。もう信号でクルマが停まれば、物乞いの足のない子供とかが一気にワーって寄ってくるの。そんな陰惨な感じの中で色んな音楽を聴いてたんだけど、意外と合うんだよね、銀杏BOYZは。「東京」みたいなメロウな曲を聴いてても、インドの風景に合ってた。

一同 爆笑

リリー 音楽って物凄い説得力を持ってるんだなって思った。音楽って映像よりも説得力があってさ、心の中で現実の風景より膨らんでくるものがあると思った。

僕はずっとアジアに旅行しに行く人に偏見を持ってたんです[峯田]

●峯田君は海外旅行をしたいと思ったことはない?

峯田 今まで行ったのはアメリカだけですね。僕はずっとアジアに旅行しに行く人に偏見を持ってたんです。

リリー 70年代から面々とあるバックパッカーみたいなね。インドの貧しさとかにビックリし過ぎる人とかね。

峯田 そうそう。でもね、よく聞いてみると、やっぱり面白そうなんだ。だから、今年は無理かもしれないけど、1度そういう国にも遊びに行ってみたいと思う。

リリー 峯田君はインド、合うと思うよ。俺は肌に合った。邪気がなくて和むんだよね。インドは。

峯田 邪気?

リリー うん。町に人間よりも動物のほうが多い。動物園とかに行く必要がないわけ。道歩いている動物は牛、犬、猫、リス、蛇、ロバ、ヤギ、象、もう全部普通に歩いてるから(笑)。それでまた人間の男の人よりも、動物のほうが働いてるから。動物がリスペクトされてるの。

峯田 怖いっすね(笑)。「ドラゴンボール」の世界みたい。

リリー そもそも人間に仕事がないんだ。夜、道端で中華鍋に牛乳を暖めて30円くらいで売ってる店があるんだけど、牛乳って暖めると膜が出来るじゃん。その膜をすくって、ボウルの中で混ぜて、また戻す……っていう仕事をいい大人が2人でやってる。

一同 爆笑

リリー それで、その2人が使ったボウルを洗う奴がいて、さらにその3人がちゃんと働いてるかどうか見張ってる奴が1人いる。あとさ、「ジョージとジョンがインドに来たときに、シタールを買った」っていう店に俺は行きたかったの。それで、ドライバーの人に「帰りに、絶対そこに間に合うように」って言ってたんだけど、前の日になんか眠たくなったらしくて、どっかいなくなっちゃった。
一同 爆笑

峯田  凄いですね。それは和むな。

リリー それでいてさ、金を持ってる奴も、持ってない奴のことを軽蔑はしてないの。だから、邪気がないんだと思うな。乞食はいるし、牛は歩いてるし、町は荒れくれてるんだけど、でも、殺人事件とかの暴力事件はいっさい起きないの。日本とか中国みたいに変な資本主義になるよりも、良いんだ。別に貧しいことなんて悪いことじゃないもん。

そいつ、吸い終わったタバコを象の頭で消すの(笑)[リリー]

リリー あとね、インドに行って「俺、この国、本当に好きだな」と思ったのはどこでタバコを吸ってても何も言われないこと。世界遺産の宮殿の周りがタバコの吸いがらだらけなんだ(笑)。いいねぇと思った。世界遺産を観に行くまでの道は坂道なんだけど、キツいから象に乗るわけ。それで、象を運転してる男の子が「タバコをくれ」って言うから1本あげたの。そしたら「ラストワン」って言うから、1箱あげてさ。そしたらそいつ、吸い終わったタバコを象の頭で消すの(笑)。物凄いラフなんだ。

峯田 なんかさっきから聞いてると、インドの残酷なところが面白くて良いですね。だって本当は、それって僕らが日本でやりたいことですもんね。面白そう。僕は共産主義の国に行ってみたいんですよ。共産主義の国の老人って、悲しい歴史が顔に刻まれてる。そういうのが見たいんです。

リリー 今はちゃんとした共産主義の国ってなかなかないけど、峯田君が今行って面白いのはキューバとかじゃない? 国の配給でラムとかタバコを配ってるところだから。みんなタバコ吸って、酒飲んで、踊りまくってる(笑)。とにかく土から音楽が湧いてる感じだと思う。モルディブとかも良かったよ。

峯田 モルディブ?

リリー モルディブの小さい島に行くと、もうその島から出ることが出来ないの。そうなると、その島にいると、俺がそこで何をしようとみんな顔を覚えてるから、最後に精算するだけでお金はいっさい使わない。

峯田 無人島みたいですね。

リリー そう。だから峯田君がどれだけチンポ出して暴れても、誰にも怒られない(笑)。警察いないから。

一同 爆笑

リリー そういうところだと一応やっぱり裸足とかになるんだけど、固い岩踏んだなぁ……と思ってよく見ると、こんなデッカいトカゲだったりして。最初はギョッとするけど、慣れるんだよね、ああいうのって(笑)。

そんなことするくらいなら、気にしないほうが良いなと思って[峯田]

●今回はサイトリニューアル記念での対談ですけど、お2人はインターネットを見ますか?

リリー 俺はあんまり見ないけど、ただ銀杏BOYZのサイトは見てる。あとはエロサイト。会員になってるから毎日ダウンロードして解凍。解凍ルビーって呼ばれてるよ(笑)。

峯田 僕は見ないんですよ。前は携帯でバンドのBBSを見て「もっとがんばらないといけない」とか「もうちょっとこうしようか」とか考えてたけど、最近はいっさい見ないようにしてる。聴いてくれてる人の意見は有り難いんだけど、気にしないようにしてるんです。

リリー 気にしないほうがいいよね。

峯田 うん。たまに「2ちゃんねる」で自分のスレッドを見てカキコミをするっていう芸能人の方もいるみたいですけど、そんなことするくらいなら、気にしないほうが良いなと思って。リリーさんは「2ちゃんねる」とか見るんですか?

リリー 見ない。「ミクシィ」とかもやってないし。「ミクシィ」ってさ、俺もよく知らないけど、凄いね。一度さ、四谷4丁目の角を曲がったときに吉田豪から電話がかかってきてさ、「師匠、今四谷4丁目ですか?」って言うの。そしたら「ミクシィ」でそういうカキコミがあって、吉田が電話してきたという。怖いっつーの、それ。

峯田 いつも誰かに見られてる(笑)。

リリー あと疑問に思うのがさ、ネット麻雀ね。お金を賭けるわけでもなくネットで麻雀をやってさ、そのうちオフ会になって、知り合った男同士で酒を飲むんだって。「そんときに麻雀やれよ」って思わない?

一同 爆笑

峯田 そうなんだ(笑)。色々あるんですね、インターネットって。

それを書いた人自身も
その文章を見て絶対イヤな気分になるから
[リリー]

●BBSのあるサイトだと、絶対なんかのタイミングで荒れますよね。

リリー 邪気の吹きだまる所だからねぇ。

峯田 荒れますよね。そうなると、普通は削除するんでしょうけど、自分のバンドのBBSはどんな内容も削除したくないんですよね。「良いことばっかり残しておく」ってなると情報操作になっちゃう気がして。

リリー 銀杏BOYZのBBSで悪口を書いてる人も、邪気はまだ薄いんだ。ひとひねりくらいでさ、なんか素直に嫉妬が出てて良いんだよ。「お前、絶対バンドやってるだろ」っていう(笑)。そういう嫉妬の、ひとひねりくらいはまだかわいいんだよね。あとね、邪気にまみれた文章を書くと、書いた人自身も後で絶対後悔することになるというのもあって。だから、残しておいたほうが良いんだよ。それを書いた人自身もその文章を見て絶対イヤな気分になるから。

峯田 そういうカキコミ一つも表現だし、返ってくるものですもんね。

リリー 前にさ、駒沢通りにクルマを停めてたらさ、俺のクルマのボンネットにカッターでビャーっと線が引かれてたことがあったの。「うわ、気分悪いなぁ」と思ったんだけど、そのときはそのキズを消さないでずっと停め続けた。ホセ(リリーの弟子)なんか「殺してやりたいっす」とか言ってたけど、その傷をつけた人は絶対またそこを通るでしょう。だから、「お前がやったことを見せてやる」「どんどんイヤな気分になれ」って停め続けてたんだけど、そしたら毎日線が増えていってさ、最終的にはエイリアンのオープニングタイトルみたいに「バカ」になってた。最初の傷ならまだ良いんだけど、言葉になった途端に凄い邪悪なものを感じたね。

●イヤですね、そんな。

峯田 イヤだよね。でも、そういうことをする理由って「母ちゃんから怒られたから」とか簡単なことだったりするんだよな。

リリー 「課長から怒られたから」とかね。課長から怒られたら、課長のお茶にタンとかを入れれば良いのに。あとは「フラれた彼女が銀杏BOYZのファンだったから、銀杏BOYZ自体ももう憎い」とかね。

峯田 そう(笑)。そういうことで僕らのバンドははけ口になってるのかもしれない。でも逆に言うと、まだ人に危害を加えるよりは、BBSでもなんでもそういう場所があるのは良いのかもしれないんだよな。だから何を書いてもいいとは思ってるんですよ。気にしないし。

リリー なんだけど、大好きな彼女から批判されると凄いツラいよね。「峯田君のこういうところが嫌い」とかさ。

峯田 ……それはツラい(笑)。

一同 爆笑

峯田 彼女から批判されたら泣くかもなぁ(笑)。

「あぁ、やっぱり俺はやんなくて良かったんじゃないか」と思って[峯田]

リリー 峯田君は今、好きな子はいないの?

峯田 本当にいないんですよ。ただ、これは凄いタイムリーなんですけど、ついこの前ね、さっき言った「東京」っていう歌のモデルになった女の子がいて。その子、僕らのプロモーション・ビデオに映ってるの。そのプロモーション・ビデオを、今度出すDVDの特典映像として入れたいんで、一応許可をとりたいと思ってたんですけど、携帯のメモリーダメにしてて、連絡が取れないままだったの。それでしょうがないから、木本(マネージャー)と一緒に、彼女が2年前に住んでた桜上水のアパートまで行って。そしたら、そのアパートが確かにあって、外から彼女が住んでた部屋を見たら明かりがついてたの。

リリー それで、その明かりを見ながら、窓の下でシコったっていう話?

一同 爆笑

リリー また、そんな意表をついたオチをつけようと思ってない?

峯田 いや、シコらなかったんですけど(笑)。それで、電気が消えてその部屋から人が降りてきたんだけどさ、男なの。違う人が住んでた。

リリー シコり損だね、それは(笑)。

峯田 そう。というかシコってないですけど(笑)。そこは引っ越してたみたいでガックリしてたんですけど、そこからまたグワーって連絡先を探したら、最近やっと連絡が取れて。「作品に入れたいんだけど、入れても良い?」って聞いたら「見ないとわかんない」って言うの。「じゃあ、送るから」って言うと、「今、デッキがないし、新しい彼氏と同棲してるからゴメン、それも無理だわ」と。「どうしよう。じゃあ、今からカズ君の家に行くわ」って。

●なんでそうなるの(笑)?

峯田 わかんない。「タクシー代は出してね」って。それで夜中の12時頃に中野の僕の家に来て一緒に映像を見て。「これならいいよ」って許可をもらったの。それで、「じゃあそろそろ寝ようか」って。

リリー なんで「寝ようか」になるの(笑)。同棲中の彼氏はいいんかい。

峯田 その子はビールを3本くらい飲んでヘロヘロになってるし、「じゃあ、もう寝な」って。「俺は床で寝るからこっちのベッドで寝ていきな」って。

リリー そんで、そんで?

峯田 やっぱかわいいし、ムラムラきちゃってさ、よっぽど襲おうと思ったの。でも、死んだおじいちゃんとおばあちゃんの写真を部屋の中に飾ってるんだけど、それを見たらやっちゃいけない気になった。僕は相当偉いと思った、自分を(笑)。「パルプフィクション」のトラボルタに勝った。ただ、僕は全然眠れなかったんだけど、彼女が寝息をたてている横で突然メロディーが降ってきたんですよ。新曲で「東北新幹線はチヒロちゃんを乗せて」っていう曲があって、サビは出来てたのに、その曲のAメロとBメロだけが半年かけても出来なかったのが突然降ってきた。それで、すぐ覚えないといけないから静かにこうコードを押さえて、静かに唄ってたのね。そしたら寝てたはずの彼女が「……もうちょっと聴かせて」って言うんですよ。

一同 爆笑

峯田 みんな笑うけど、本当なんだから(笑)。それで「畜生、わかったよ」って言って朝になって彼女を送りだしたんだけど、「あぁ、やっぱり俺はやんなくて良かったんじゃないか」と思って。

リリー でも、まぁその子の気持ちとしてはまた微妙だよね。やっぱりカズ君は「優しい」という気持ちと、この「私の気持ちをどうしてくれるんだ」みたいなのもあるしさ。

峯田  まぁ、あとは単純に「毛じらみを移したくない」っていうのもあったんだけどね。

一同 爆笑

峯田 それは意外とデカかったんだけど(笑)。

リリー 毛じらみのおかげだよねぇ(笑)


(対談の続きは3月10日頃アップの予定です)


みねたかずのぶ……1977年・山形県生まれ。ロックバンド・銀杏BOYZボーカル。2003年冬に公開された映画「アイデン&ティティ」で主役を務めた他、自身のブログを元にした著書「恋と退屈」(河出書房新社)を出版するなど、バンド以外の活動でも評価が高い。銀杏BOYZとしては現在までに2枚のアルバムをリリースしている。来る4月11日にはメンバー自らが14ヶ月にも及ぶ編集作業をした初のドキュメントDVD「僕たちは世界を変えることができない」を発売予定。



銀杏BOYZオフィシャルサイト
http://www.hatsukoi.biz/