[2009年07月29日]
vol.46 雨の有楽町でハムカツハイボール

雨はいい。出かける時は「ああ雨か、めんどくさいなあ」なんて思うが、意外とあたしは嫌いではない。降る時は容赦なく降りみんなに嫌がられ、日照りが続くとあんなに嫌がっていたくせに都合よく降って欲しいと言われ、でも何食わぬ顔で気まぐれに降ってきてくれたりする。けっこうイイ奴だ、雨。
白の20ホールのマーチンのブーツに、ヴィヴィアンウェストウッドのメンズTシャツ、サス付きのグレーのショートパンツで身を固め、ユナイテッドのアルバム「NINE」をヘッドホンで聴きながらいざ有楽町へ。夕方16時。まずはガード下にあるモツ焼き屋「登運とん(とんとん)」。一人ふらりと入ってまず焼酎水割りとシロとカシラの串焼きを塩で。うまいっ。ジョッキの焼酎水割りを軽く飲みほしておかわり、シロ串タレとつくねを注文。ぐっはー、たまりません。ええほろ酔い状態でしばらくしてエコノマ常連さんたちと合流。モツ煮なんかを追加してぐびぐびやる。安いしウマイしええお店やったねえ。
ちょっと移動してまたガード下「まんぷく食堂」へ。肉豆腐とハムカツを注文。最初焼酎をロックで頼んだのだが、ハムカツ食べてたらハイボールが飲みたくなってシフトチェンジ。熱々で衣ちょっと厚めの懐かしいハムカツに、角(サントリーの瓶が亀甲の素敵なウイスキーね)の香りとソーダのシュワシュワがたまらんっ!止まりません!ああ、昭和最高。狭々しい店内と電車のガタゴトいう音がスパイスになり、酔いも回って至福の時。
そこからまた移動。他の常連さんと約束していたので竹芝桟橋へ。そこから出る船で東京湾クルーズ。なにやら納涼祭と銘打って大々的なイベントになっているらしく、浴衣の若者がわんさかわんさ。行列に並んで乗船。夥しい人の中、飲み放題のビールをゲットし、たこ焼きやフランクフルトを買って夏祭り気分。みんなで乾杯し、船も出発。雨の中東京湾をクルージング。なかなかええもんや。
船の中ではライブイベント開始。最初「ユカタダンサーズ」なるかわいこちゃん3人組が出てきてメジャーな洋楽に合わせて浴衣でダンシング。よう動きはるわ、あんな動きにくいイデタチで。感心しながら船最後尾でビールをぐびり。「ユカタダンサーズ」のダンスが終わり、次に出てきたのが何やら萌えなイデタチの二人組の女の子。おやおや? これは? と思っていたら、激しいダンスと共に歌い出したのがマクロスFのオープニング曲「ライオン」。おお! これはもしやアニソンライブなのか!? ステージ前には若者がぐあーっと押し寄せ、オイ! オイ! となぜかオイパンクライブ状態。これはあたしが行かずして誰が行く! と前列まで駆けつけ密集する若者の中に交じり、オイ! オイ! と体当たり&ジャンプしながらガンダムSEEDのオープニング曲「Believe」でボルテージは最高潮(31歳)。ライブ終了、汗だくになって酔いも回り再び最後尾に戻り、常連さんと一緒に興奮冷めやらず雨に濡れながら何故か「ドカドカうるさいロックンロールバンドさ〜♪」と清志郎さん追悼。酔っ払いですな、完全に。遠くに見えるお台場の等身大ガンダムに手を振り、びしょ濡れになって下船。いやあ楽しかった。
帰りによったバールで若者男子に「マーチンの20ホール気合い入ってるじゃないすか!」と声をかけられ、「マーチンの良さがわかるやつはみんな友達だ!」と握手をかわす。「ボールは友達!」と言った翼くんよろしく爽やかに、とも全くいかない汗と雨でびしょ濡れの酔いどれ31歳に声をかける君たちと勇気に乾杯。
雨はいい。雨と酒はいい。びしゃびしゃに浴びると小さな嫌なこととかどうでもよくなる。と実感したそんな日やった。
さあ今日も飲んで! 止まない雨はないじゃない!

写真一枚目は登運とんのつくねとシロ。ああセクシー。二枚目はハムカツ。ああ飲みたい。
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中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。1番大好きなバンドは筋肉少女帯。
ブラッスリー・エコノマ http://spirytus-economat.com/
[2009年07月22日]
vol.45 夏はやっぱりハシゴ酒

またまた行ってまいりました。以前にも紹介した横浜のステキ女子御用達スポット(嘘)、野毛。今度は5軒! ではその一通りの流れを。
まずは野毛にほど近い馬車道にあるスペインバル「バリーノ」。小さくてギュっとええ空気の詰まった素敵なお店です。男前な店主さんがいてまっせ。そこでアウグスビールとブラッディメアリーをいただき、店主の村西監督……じゃなくて村西さんと軽くお喋りして30分ほどで店を出て野毛へ。タパスも食べたかったなあ。
野毛のブリーズベイホテルの近く、「小半(こなから)」に到着。まずは焼酎水割り。お目当てだったまぐろ盛り合わせ(まぐろの色んな部位が4種類くらい盛られている)が品切れだったので、まぐろ合盛り(赤身、中落ち、中トロ?かな)とシロコロ味噌炒めを頼む。ううーん、うまい。安い。合盛りが650円。シロコロが500円でした。ここでエコノマ常連さんと合流。店員のお兄さんが気さくな方で、楽しくお話しましたわ。「パフュームのあの髪の毛の短い子に似てますね!」と言われた。最近立て続けに3回も色んな人に言われたんだが、のっちでしょ? 似てねえよ! パフュームファンに殺害されますってば。特にうちの兄に。まあええ気分でさくさくっと一杯やっつけて次のお店へ。
次は長者町にある「栄屋」という大衆酒場。ここのあなご天が食べたくてしかたなかった。焼酎水割りを頼み、もちろん目当てのあなご天も注文。シメサバでちょいちょいやりながら主役を待つ。そしてほどなくして主役登場—!きゃー!うんまそう!すごいボリュームです。大振りなあなご天に一口がぶっとかぶりつくと、さくっ、ふわっ、じゅわっと口の中に濃厚なあなごの美味しい脂とうま味が広がる。そこへ冷えた日本酒をきゅきゅーっと流し込んだらもう、うひー!幸せ!死んでもいい!あなごくん、酒、あなごくん、酒、が止まりませんよ!おーい!イソノくーん!止まりませんよー!そこでまた常連さん2人と合流して、焼酎2杯と日本酒(どんくらいか忘れた)を飲み、あなごをおかわりしたい気持ちを抑えつつ次の店へ。
また野毛に戻って前から行きたかった、エコノマにちょこちょこ来てくれるジョニーさんがやってるバー「STRUT」へ向かうが、ここは深夜オープンなのでまだ開店前だったので近くの居酒屋へ。ここで焼酎ロック2杯。調子にのって食べ物まで頼んでしまったのでかなり腹いっぱいに。だらだら喋ってお目当ての「STRUT」へ。
24時くらいだったか忘れたがオープンしていたので早速中へ。久々会うジョニーさんは相変わらず物腰の低いロケンローな男前で素敵。そこでラムをロックで二杯飲み、まただらだらと喋って酔って笑っていたらいつの間にやら深夜2時過ぎ。あたしにやらなあかん仕事が残っていたので後ろ髪ひかれつつ退店。ごちそうさまでした。
いやはや、やっぱこの界隈のハシゴ酒は楽しすぎる! まだまだ行ってみたいお店も満載やし、終わりはなさそうだ。とにかく美味いメシと美味い酒と味のある人間に囲まれたら幸せに決まってますよ!
また攻め込むぜ! ノゲ! 飲むぞ!

写真は小半のまぐろ合盛。もう一枚は栄屋のあなご天。
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中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。1番大好きなバンドは筋肉少女帯。
ブラッスリー・エコノマ http://spirytus-economat.com/
[2009年07月14日]
vol.44 音楽がないとええ仕事できません

先週の7月8日、あたしは31歳になった。サーティワン。このアイスクリームイヤー、どう過ごすか。次の目標にむかって、しゃかりき頑張る! そしてますます美味いホルモンを探し求めて駆け回り、浴びるほど酒を飲み、思い切り笑う年にする! 仕事はそこそこ頑張る(笑)。とにかくとびきり幸せな一年にせねばなと思っている次第なのでよろしくです。
誕生日にもらったプレゼントの中に前から欲しかったものがあって感動したのだが、何かと言うと「SHADOW」というメロディックデスメタルバンドのCDである。フィンランドのレーベル「スパイクファーム・レコード」と契約している大阪出身のメタルバンドで、ごりごりのデスヴォイスなのがなんと女性というかっちょええ人ら。前に大阪に帰った時に兄に連れていってもらったバー「LOCK STOCK」のマスターのヤスさんに教えてもらってそこで聴いたのがきっかけで好きになった。CD欲しいなあ〜と思っていたら、常連さんが探してきてくれた。感謝!それからエコノマBGMヘビーローテーション。もうテンションめちゃ上がるのだ。ボーカルの「ヴォォォォォォ!!!」というデスボイスはやはり初めて来たカップルさんとかにはイヤな顔されるが、気にしない!(いいのか?)うちはそういう音楽で売ってるのでいいのだ。
お陰さまで(?)メタル好きのお客様が増えつつあって嬉しい。筋肉少女帯好きはなかなか来ないけど。やっぱり音楽で通じ合えるのは楽しいね。お店でも「あ、今集まってる人らの感じやったらこんなん好きそうやなあ」と思った曲を選んでかけ、それに反応して「あ〜!これ○○○だー! 好きなんだよー!」「俺も!」「俺も!」みたいになって、そこにいるみんなが仲良くなったりすると「よっしゃ!」と小さくガッツポーズ。
この前も常連の女の子がお母さんを連れてきて、どうも〜なんて挨拶して普通に喋っていたんだが、まあこのお母さん(60歳近く)がエキセントリックな方で、好きな音楽が結構ハードコア。「SUPER JUNKY MONKEYが好きなのよお」「あたし知らないですねえ、聞いてみましょか」とYOU TUBEで検索してみたところ、そりゃまあパンチの効いたかっこええハードコアバンドではないか。「ボーカルの子が死んじゃって解散しちゃったんだけどねえ」「すげえ!お母さんCD貸してください!」「いいわよ〜」なんてケラケラ笑っている。うちの母とほぼ同い年くらいなのに驚いたもんだ。「お母さん、じゃあこれなんてどうですか?」「あら!いいわね!こういうザラザラした音が好きなのよ!」「これ、FACTっていう最近の日本人のバンドなんですけど、アメリカでデビューしてるんですよ」「すごいわあ。またドラムが重たい音でいいわね!」みたいな会話をしていたんだが、お母さん、かっこよすぎますよ。音楽に年齢は関係ないのだ。
まあご存じあたしは筋少好きでデスメタル好き。もちろん毎日いつでもどこでも聴いていたい。朝から晩まで。でも実はお店の仕込み中はハードテクノを聴いていたりする。「なんでやねん!」と思うかもしれないが、意外と好きなんす。で、しかも仕事が早くなる。7年前くらいに買った「REBOOT♯001 MIXED BY DJ Q’HEY」のCDは今でも厨房で料理しながら聴くとやっぱりはかどる。
とにかく好きな音楽があってこそ仕事も生活も食事も酒も楽しくなるのだ。無音で過ごすことなんて考えられない、あたしは。人によるだろうけどね。
さて、今日は5年前に買ったCDが部屋の荷物から転がり出てきたのでそれを聴こう。SKINDREDの「BABYLON」。メタルでもないしテクノでもなくレゲエハードコア(ミクスチャーかな?)なんやけど、こんな暑い日はこんな感じがええかもね。
じゃ、ええ音楽も用意できたし、飲むか!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
モツ鍋カレー
要するにモツ鍋作ってカレールー入れただけ。
ミックスホルモン
キャベツ
ニラ
にんにく
輪切り唐辛子 各適量
かつおだし
昆布だし
鶏ガラスープの素
醤油
みりん
市販のカレールー
カレー粉 (カレールーだけでこと足りるんやけど、あたしはカレー粉が好きなので足しました)
水溶き片栗粉 (これもカレールーのとろみで足りる場合はいりません)
ゴマ油

写真は気まぐれに作ってみたモツ鍋カレー
夏はカレーでしょ。
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中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。1番大好きなバンドは筋肉少女帯。
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[2009年07月08日]
vol.43 海とアングラピーポー

江ノ島へ行ってきた。うちの常連さんであり友達の二人に誘われてなんとなく行くことになったのだが、海ってなんかええなあと思う日やった。でもあたしは皆様ご存じインドア派ネクラ民族。海と相対した時、どう接していいのかわからなくなる。サーフィン? まさかまさか。スキューバ? 死んでしまう。ビーチバレー? 無理無理。やっぱ酒でしょ! 海といえばイカ! サザエ! 焼きそば! 酒! ……不器用なあたし。
その日は小雨交じりの曇り空。まあ爽やかでないところがあたし向きでよろしい。海へ向かう車の中ではアニメ「けいおん!」のサントラ「ふわふわ時間」を熱唱しながらバカ騒ぎ。ほてほて散歩しながら写真と撮り、神社に芸能上達を祈願し、あとは飲み屋のテラスでビールとイカ焼き、焼き牡蠣。これでもう満足。海ってあたしにとって見るもんであって、泳ぐとこやないのな。
海見るのは好きやから時々見たくなる。もちろん酒持って。20代半ばの頃付き合ってた男子とどこぞの海へドライブに行った。何をするでもなく海岸に体操座りして、ビール飲みながらだらだら。なんだか堪らなくなって、すっくと立ち上がりダーっと走って服のまま海に飛び込んだら男子は鳩が豆鉄砲食らったような顔してきょとんとしていた。泳げないけど、衝動的に飛び込みたくなるのね。エコノマのバーベキューの時もそうやけど。んで飛び込んでびっしゃびしゃになって車の持ち主に怒られるというオチ。学習能力ゼロ。あたしVS海、どうしたらもっと上手に愛を表現できるようになるやろか。飛び込む以外にないのか、俺。
とにかくウマイ飯と酒があればどこでもいいのだが、その背景が海やったりするとなんか余計ウマく感じたりってのはある。非日常やからやろか。昔っからあたしはインドア、アンダーグラウンドだったが、時々こうしていつもと違う景色の中で酒を飲むと、ああ、たまにはこうして壁のない世界に身を置くのも悪くないなと思うようになった。でも山は嫌かな、虫がおるから。海もフナ虫は気持ち悪いが。海も山も嫌いではないねんけどなあ。
グレーの空の江ノ島で、べたべたする風の中飲むビールは意外とあたし向きやった。でも今年は爽やかにチャレンジもしてみたいかも。想像してみよう。からっと晴れた空の下、青い海、あたしは白いワンピース、砂浜をイケメン(松山ケンイチ希望)と二人ではしゃぎながら走り、貝殻を耳にあて「波の音が聞こえる」とか言って、波に消される砂に書いたラブレター。…………無理や!!!! あ〜! 痒い痒い痒い! ゴリゴリのデスメタルかけながら夏なのに黒のライダースでボンテージパンツはいてマーチンのブーツで砂ザックザック踏みしめて酒瓶抱えて大海原にメロイックサインしてえええ!!
あたしと海の交流はいつうまくいくのだろうか。でも行くよ! 今年は! また戦いに。負けねえぞ! 海! 焼酎で毒霧吹いてやる!
てなわけで、夏やし皆さんは皆さんなりに海と戦ってくださいまし。もちろん酒持って!

写真は江ノ島で食べた焼き牡蠣。一個600円。高!
もう一枚は江ノ島にいたヤサグレ猫。「なんやコラ!」といった風情。
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中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。1番大好きなバンドは筋肉少女帯。
ブラッスリー・エコノマ http://spirytus-economat.com/
[2009年07月01日]
vol.42 機械が奇怪!

人には苦手なものって必ずあるはず。あたしの苦手なもの、一つ目に虫全般。特に嫌なのは、毛虫、幼虫、蜘蛛、ゴキブリ(でかいの)、セミ。小さい頃、ブランコに乗ろうとしてがっしと鎖を握るとどうも感触がわしゃっとしていておかしいなと思っていたら、そこに何やら赤茶けた毛虫が潰れていた。これがトラウマとなってもう絶対虫はイヤ! よく兄があたしの勉強机に「昆虫大百科」の幼虫のページを開いておくという陰湿なイタズラを繰り返し、その度にあたしは机に寄りつけず宿題ができなくて泣いた。大阪のエコノマをやり始めてからは、常連さんが何の気なしにセミを捕まえてやってきて「ほら、マイコ、セミやで」とずいと目の前に突きつけられてあたしは絶叫ののち狭い厨房内を逃げ惑い、スタッフの前で本気で号泣するという失態を見せたことがある。ほんまに怖いのだ。
次にスポーツ。運動神経皆無なので、何をやらせてもダメ。走るとスーパーのおつとめ品を買いに急ぐおばちゃんみたいになる。球技なんかからっきし。小学生の時学区の野球チームみたいなのがあって、その辺の子はみんな練習から参加したりしていたのだけれどあたしだけはなんやかんや理由をつけて行かず、試合だけ少し見に行ったらいきなりかり出されてバットを握らされてバッターボックスへ行けと言われ、ホームベースの上に立って相手のピッチャーに爆笑された。もちろん空振り三振。中学生の時は体育のバスケの時間、突っ立ったまんまでボールが飛んでくるとドリブルなんてできないので即誰かに投げ、しまいにゃ自分とこのゴールにシュートを決め(そういう時だけ入る)、うわあシュートできたあと喜んでいたら味方のみんなに怒られ、もう二度とこんなややこしいゲームなんかするもんかと心に誓った。水泳なんかやったら溺れてるようにしか見えないし、まあなんせ運動なんか大っ嫌いなのだ。
そして大人になって一番悩まされているのが機械。仕事上どうしても触らざるを得ないので仕方なしに使ってはいるが、パソコンなんて怖くてしかたない。あの文字化けってなんなんすか? なんや見た事ないハングルみたいな文字とか「豆」って字がややこしなったみたいな文字とか謎のちっさいカタカナとかずわーって出てくるでしょ? 怖くてしゃあない。あと何がイヤかって突然ご機嫌斜めになること。この前もパソコンでアニメ「けいおん!」を観ていたら突然電源が切れ、コンセントなどつながってるか確認した後色々押してみてもウンともスンとも言わなくなった。ぎゃああ! 嘘や! 嘘やろ! パソ子(うちのパソコンの愛称)! 死んだなんて嘘やああ! と頬ずりしてみたり撫で撫でしてみたりしたのだが息を吹き返す様子がない(そりゃそうや)。誰か! この中にお医者様はいらっしゃいませんかー! と慌ててDELLのサポートセンターに電話。担当の男性に「うちの子が意識不明なんです!」と訴え、言われるがままにパソ子をひっくり返したり内臓(バッテリー)を取り出してみたり戻してみたりしていたらそりゃあもうなんでもなかったかのようにパソ子はいつもの笑顔を見せたのだ。「先生! ありがとうございます!」「また異常が起こったらお電話ください。」まあなんて素晴らしいサポートセンター。絶対電話の主は男前やと信じて疑わない。こんなん魔法としか思えんのですよあたしには。
パソ子復活にほくほくしていると、今度はもう一台の古いノートパソコンのディスプレイが真っ暗になるという事態に。んぎゃあ! 音は出てるのに画面が真っ黒! どうした! どうしたんだビブ朗(愛称)! こんなに声は聞こえるのにお前の顔が見えないなんて! またアワワアワワと部屋中をぐるぐる回ったり、ビブ朗〜と呼んでみたり祈ってみたりしたが直らないので、コンピューターに詳しい常連さんを呼びつけ半ベソで「先生! この子をお願いします!」と我が子を託した。先生にちょこちょこちょこっと何やら弄られるビブ朗。するとまあまたあっさり画面が消えないようになったではないか! なんなんやー! すげえ! 機械を直せる人ってのは尊敬に値する。自分にゃ絶対できないことをやる人はやっぱカッコイイ。
ってまあしかし怖いですわ、機械は。コンピューターは。便利やけどね。あたしみたいに手とか体とか使ってする仕事(エロではない)ばっかしてるとアナログ頭のまんまやから時代についていけなくなりますわな。んでまたテレビも地デジやなんやとか言うてるでしょ?どうしたらええねん! あのチデジカって家にも来てくれるの? 鹿せんべい用意しときゃいいの?
苦手は克服したいけど無理なもんは無理! 今日も料理と酒のことで精いっぱい!

写真は全然関係ないけど新宿で飲んだ時見つけました。世の中に一番大事なものですね。
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中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。1番大好きなバンドは筋肉少女帯。
ブラッスリー・エコノマ http://spirytus-economat.com/


























