ロックンロールニュース


レギュラーコラム マイ・オン・ザ・69(ロック) 中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)

[2009年06月03日]
vol.38 メロンパンパラドックス

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 メロンパンが好きだ。子供の頃から大好きで、しょっちゅう食べていた。あの外側のサクサク感、内側のふわふわ感。ドーム型のかわいいフォルム。女優に例えたら成海璃子ちゃんあたりか。違うか。とにかくもう大好きで、一時期は毎日食べていたこともあった。


 あたしの好きなメロンパンの定義はといえば、まず外側のクッキー生地が厚めで底の円周のエッジ部分が多めにたまっていて、きちんと格子状に模様がついていて、表面に砂糖があまり多くついてないもの。そして内側はバターの風味がしっかりとする、ふわふわかつしっとりとしたパン生地。ああ、考えるだけで愛おしい。


 食べる時は大体まず半分に割る。そして真ん中、サクッとふんわりを同時に味わう。でふんわりに中だるみを感じてきたら、エッジのクッキー生地多めゾーン(宝物とあたしは呼んでいる)を齧り、またふんわりに戻る。ご飯、おかず、ご飯、おかずの要領ですな。そして最後は残った宝物をサクサク食べながら牛乳かコーヒーを飲む、と。なんて素晴らしいお食事。メロンパンは宇宙です。


 それが最近どうだ。あたしが目を離した隙に、メロンパン界は混乱を極めているではないか!「夕張メロンパン」などと言って、メロンフレーバーをつけ、内側がオレンジ色のリアルメロンを追求したメロンパンなども登場し始め、「いや、違う。メロンパンにリアルメロンの味など求めていないのだ」と憤っていたその折、スーパーへ行ってふとパンコーナーを見ると、そこに「白桃メロンパン」。……は?! これは一体どういうことかと。白桃なのかメロンなのか? 秋口には「巨峰メロンパン」。今までチョコチップ入りくらいまでは目をつぶってきたが、これにはメロンパンポリスのあたしが黙っちゃいない。逮捕のち審議してみる。白桃や巨峰の香りをまとってはいるが、形は一応メロンパンの定義から大幅に外れてはいない…う〜ん、アリか…おいしいし……悪気はないのだろう、釈放してやるか。それが甘かった。それからしばらくしてまたスーパーへ行くとなんと、「白桃クリーム入りメロンパン」なるものが陳列してあるではないか! 色もほんのりピンク色やし! 調子にのりやがって!もうお前なんて白桃クリームパンじゃ! わあ〜ん! と泣きながら(嘘)スーパーを走り出たものだ。


 が、しかし、矛盾メロンパンの暴走は留まるところを知らないようだった。最近とあるコンビニへ行きパンコーナーに邪悪な空気を感じて足を止めると、なんとそこにはいるではないか、メロンパンを名乗るそれが!


「平焼きいちごメロンパン(いちごミルククリーム)」


 オイ! わなわなと震える手でそれを手にとるとそれは、形は厚さ1.5センチほどの平らな円形、チョコチップが散りばめられ、中にいちごクリーム、色はピンク色、斜めに縞模様の切り込みの入った、……何か。何かだ。メロンパンではない! メロン要素ゼロ!「平焼きいちごパン(いちごミルククリーム)」ではいけなかったのか? これはいかん! 逮捕! むんずとそいつを掴み、それはそれは勇ましくお家へ連れて帰り、審議!かろうじて薄くクッキー生地が表面にあるものの、これは、これはちっがーう!! ……でも美味しいけど。いやいやいやでも違うぞ。メロンパンではないってば!
後日もう一度そのコンビニにパトロールへ出向くと、再び魔の手が! 今度はこれだ。


「ちぎれるメロンチョコチップ」


 ちぎれる?! あたしがちぎれるわ! その説明文たるやこれだ。「ビターなチョコクリームを折り込んだパンに、チョコチップとチョコ味のビスケット生地をのせたチョコの味わい豊かなパンです」……チョコチョコ言いやがって! ちょこざいな! チョコパンやないか!「心がちぎれたメロンパンの、チョコに侵食された悲しみパン」や! 三たび逮捕!  味見してみると、う〜ん、そうね、チョコの味わい豊かな美味しいパンだわ、ちぎりやすいし……ってバカ! かろうじて格子状の模様がメロンに見えなくもないが。でも違うんだってば(涙)。


 そこへきて、セブンイレブンのオリジナルパンのメロンパンはストイックでよい。しかも発酵バターを使っていて風味高い。合格! お手本!
 もうこれからメロンパンがどうなっていってしまうのか、心配で夜も眠れない。「飛び出すカレーメロンパン」「ホットメロンドッグ」「ロールメロンチョコチップ(マンゴークリーム)」みたいにどんどん本物のメロンパンは姿を消してしまうのか。考えれば考えるほど矛盾メロンパンが頭をよぎり、眠れぬ夜は続くのだ。


 もうこれは飲むしかない!(いつもやけど)
 今日もじゃんじゃん飲んで! 誰かメロンパンの暴走を止めてください!


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写真は矛盾メロンパン代表2品


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 ハードロックやヘヴィメタルが大音量で流れる、横浜・本牧の居酒屋系ブラッスリー「ECONOMAT(エコノマ)」。大槻ケンヂを「神」と仰ぎ、セックスと料理の悦びを説く破天荒なオーナーシェフ・中西麻衣子が、料理に導かれ歩んできた波瀾万丈な日々を、その時に生まれた絶品メニューとともに振り返ります。巻末にはマニアックでちょっとアブナイ常連客たちとの必笑トーク集も収録!


「エコノマという店をつくるまで あたしの舌が覚えてきたこと。」中西麻衣子 著

発売日:2009年2月27日(金)
発行元:リトル・モア
定価:1,700円(+税)



中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。今年で31歳。夫はクレイジーケンバンドのサックス、中西圭一a.k.aジャッカル。でも1番大好きなバンドは筋肉少女帯。


ブラッスリー・エコノマ http://spirytus-economat.com/


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中西マイって何者? と思った方! 特集では対談を掲載中です。
マイ・オン・ザ・69(ロック)連載スタート記念対談(後編)
中西麻衣子a.k.aマイ×中西圭一a.k.aジャッカルの夫婦対談です。


vol.37 はしご酒はいつのまにやら はコチラから。


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