ロックンロールニュース


レギュラーコラム マイ・オン・ザ・69(ロック) 中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)

[2009年03月18日]
vol.27 オカンは超能力者

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 オカンがあたしに会いに来た。頻繁に話題にしているうちの母親だが、ほんまにエスパーかと疑う時があまりに多過ぎて、最近「冗談で言うてたけどほんまに超能力者ちゃうか?」と思い始めた。ということはあたしもその継承者の可能性は……?……ないか。奥様は魔女ならぬ、オカンは超能力者。エロ本の隠し場所なんかあっという間に見つかるのだ。ええ迷惑や。


 もうどうしようもなく行き詰って心身ともにズタボロの時、必ずと言っていいほどオカンは連絡をよこす。


「大丈夫? 長生きするのよ」


 長生きするのよって。普通年上の人に言うやろ。あたしの“死にたい癖”をよく知ってるからこそだろう。今回もそうだった。オカンはすごい瞬発力で横浜へ一人やってきた。
 またあたしの大好物のイチゴを持って。


 エコノマの厨房、あたしが仕込みをする傍ら、これまたあたしの大好物の豚汁を作ってくれた。本にも書いたがこれがお世辞無しにほんまに美味しくて。大根、ニンジン、もやし、里芋、油揚げ、玉ねぎ、生姜、椎茸、エノキ、豚バラ肉がたっぷり入って、出汁はカツオ、昆布、鶏ガラスープの素もちょっと。味噌は赤と白合わせて。そこに隠し味に牛乳、ほんのちょっとだけバターも入る。コクがあって、これだけでご飯がすすむすすむ。


 更にパパパッと余った大根で浅漬けを作り、もやしでナムルっぽいのも作った。オカン、やっぱあなた師匠ですわ。


 最近こんな料理をして、これが美味しかっただとか、しゃべっているうちにどんどんあたしの中にアイデアが浮かび、勝手に体が動き出した。


「そうや! こんなん作ってみよ! ああ! あんなんもええなあ! よし! やるぞ!」
「そうそう! 美味しそう! オカンも手伝うっ!」


 またこの人に背中を押してもらってしまった。……あたしマザコンなのか?(笑)特に心に響く激励の言葉をかけられたわけやないけど、なんかめちゃくちゃ元気になった。
 「ありがとう」と口にして、あたしの感謝の気持ちが全部伝わるとは思わない。多分言い方下手くそやし、照れてなかなか言えないけど、ほんまに感謝している。大事なうちのエスパー(今年で還暦)。


 そんなオカンとあたしのコラボレーションで出来た新メニュー。「長ネギと肉味噌のグラタン」
 肉味噌は、子供のころから武藤家でよく食卓に上っていた常備菜だ。挽き肉を甘辛い味噌味で炒りつけたもの。これだけでもご飯がすすむし、酒のアテにチマチマつまむのもいい。卵焼きに混ぜてもいいし、チャーハンに入れても美味い。一家に一品。
 それをよく太った長ネギをざくざく切ったものに載せ、ベシャメルソースをかけてチーズをたっぷり載せてオーブンで焼き目がつくまで焼きあげる。


 美味い。異常に美味い。ネギはとろっと甘く香りよく、赤味噌のコクのある塩気、ベシャメルソースのふんわりとしたマイルドさが全体をまとめて……マズイはずないでしょ。


「じゃ、ギリギリまで我慢しないでいつでも呼ぶのよ。また飛んでくるから。」


 ほんまに空飛んで来るんちゃうかな、この人は。神戸—横浜間を。名古屋、静岡あたりの方は時々上見といてください。うちのオカン(今年還暦)がビューン飛んでる可能性があります。おっちょこちょいなんで飛行機とかヘリとかに激突して墜落したら助けてやってください。ダンボールに詰めてエコノマ本牧店に郵送してください。


 じゃ、みんな食べに来て!ネギ肉味噌グラタン。
(最近エコノマのお客さんの注文が「ホルモンと、牛すじと牛タン、あと合鴨」みたいなんが多い。そこだけ聞いたら居酒屋か焼肉屋やんけ。そこへきて「肉味噌」まで…)


 じゃんじゃん飲んで!自分の金で!オカンに完敗で乾杯!


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「長ネギと肉味噌のグラタン」

長ネギ  青いとこと白いとこ両方使ってもいいし、白いとこだけでもいい。
     縦4つ割にして、7〜8センチの長さに切る。

(肉味噌)
合い挽きミンチ  お好きな量
にんにく     ちょこっと。みじん切り。
鷹の爪     ちょこっと。輪切り
みりん、砂糖、醤油、赤味噌    適量。甘辛い感じで

(ベシャメルソース)
バター
薄力粉   粉とバターは大体同量
牛乳
生クリーム   それぞれ適量。ちょっともったりするくらいの濃度が美味いよ
ナツメグ    適量  前も言ったけど入れすぎるとトビます
塩・胡椒    適量

モッツァレラチーズ シュレッド
パルメザンチーズ


 肉味噌は、少しのゴマ油でニンニク、鷹の爪で香り出し、挽き肉を炒め、みりん、砂糖を入れて煮詰め、醤油、味噌を入れて炒めてええ感じの甘辛になればよし。
 グラタン皿に、ネギ、肉味噌、ベシャメル、チーズ、の順び重ねてオーブンで焼くだけ。簡単! そしてウマイ! 作るべし!


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写真左はオカン特製豚汁。右は長ネギと肉味噌のグラタンです。




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 ハードロックやヘヴィメタルが大音量で流れる、横浜・本牧の居酒屋系ブラッスリー「ECONOMAT(エコノマ)」。大槻ケンヂを「神」と仰ぎ、セックスと料理の悦びを説く破天荒なオーナーシェフ・中西麻衣子が、料理に導かれ歩んできた波瀾万丈な日々を、その時に生まれた絶品メニューとともに振り返ります。巻末にはマニアックでちょっとアブナイ常連客たちとの必笑トーク集も収録!


「エコノマという店をつくるまで あたしの舌が覚えてきたこと。」中西麻衣子 著

発売日:2009年2月27日(金)
発行元:リトル・モア
定価:1,700円(+税)



中西麻衣子a.k.aマイ(料理人)
有限会社spirytus代表取締役社長。2003年25歳の時に大阪・新町に「フレンチ風居酒屋」と称してビストロ・エコノマをオープン、2006年には横浜・本牧に2号店、ブラッスリー・エコノマをオープンさせ、店のお洒落な外観を裏切るデスメタルやハードロックをBGMにガンガンかけながら激しく営業中。現在本人は、エコノマ本牧店で料理に腕を振るったり飲んだくれたりしている。今年で31歳。夫はクレイジーケンバンドのサックス、中西圭一a.k.aジャッカル。でも1番大好きなバンドは筋肉少女帯。


ブラッスリー・エコノマ http://spirytus-economat.com/


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中西マイって何者? と思った方! 特集では対談を掲載中です。
マイ・オン・ザ・69(ロック)連載スタート記念対談(後編)
中西麻衣子a.k.aマイ×中西圭一a.k.aジャッカルの夫婦対談です。


vol.26 コブクロ はコチラから。


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