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レギュラーコラム 末井昭

[2007年11月02日]
vol.8 ついに童貞喪失

 そのうち田舎にいた母親が川崎に出てきたんです。田舎に1人置いておくのは可哀想だと思ったのか、自分が淋しかったのか、父親が呼び寄せたんです。
 6畳に3人、これは結構息がつまる暮らしですよ。しかも僕が遅く帰ってきたら、父親と母親がセックスしている。ドア開けたら、あわてて2人が飛びのいて、父親はチンポコ丸出しですよ。このときから、そのアパートにいるのが気まずくなって、僕はアパートを出る決心をしたんです。
 不動産屋で安いアパートを探していたら、家賃3千円の下宿があるって言われて、3千円なら安いってことでそこに決めました。父親のアパートから歩いて5分くらいの1軒家。僕が借りた部屋は、襖で仕切られた窓もない3畳間だったんだけど、贅沢は言えません。
 その家はお婆さん1人が住んでいて、子供たちが出て行ったから用心とお小遣い稼ぎで部屋を貸していたみたいだけど、窓が2つもある一番いい部屋に住んでいたのが、そのうち結婚することになったYさん。
 もう1人奥の部屋に男の人が間借りしてたんだけど、僕は仕事のあとよく川崎をブラブラしたりしていたから、帰るのが一番遅かったんです。冬になると寒くて、部屋に入って電気ストーブのスイッチを入れると、パッと暗くなる。ヒューズが飛ぶわけ。みんな電気コタツやテレビで目一杯電気を使っていて、僕の使う分の電気はすでになかったところへ、電気ストーブですから。お婆さんが「電気ストーブは電気を食うからねぇ」と嫌味を言う。そんなとき、「コタツあるからこっちに来ませんか」と言ってくれたのがYさんでした。
 何回かお邪魔しているうちに、ついにセックスすることになって。いやもう、緊張と興奮の入り混じった気持ちでいどみましたね。生まれて初めて交際した女性で、しかも生まれて初めてセックスするわけですから。
 セックスの経過はよく覚えてないけど、体が暖かかったことと、入れたときの気持ちよかったことはよく覚えています。終わったあとも興奮して、朝まで眠れなかった。
 Yさんは美人だったし、セックスしたこともあって、すぐに好きになって、川崎のゴーゴー喫茶やスケート場でデートしたりしてました。スケートなんかできないから、スケート靴買ってきて下宿の廊下で練習したりしてね。
 ところがしばらくして、Yさんの部屋に男が来たんです。あとで聞いたらお兄さんだと言うから、兄妹かと思ってたら、付き合っているらしい。よく聞いてみると、前のアパートの隣に住んでいた自分より12歳も上の男で、この下宿を探したのもその人だったらしい。つまり恋人関係になったんだけど、Yさんの前の男がしつこくアパートに来るし、アパートは男だらけだったんで、かくまうつもりでこの下宿を探したらしい。
 そしたら僕がいたと。その「お兄さん」は僕が隣にいることがわかってあわてたようで、次に来たとき襖に鍵を付けていました。
(聞き書き:松田義人)


末井さん近況
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腰痛を治すため東北の玉川温泉の岩盤浴に行って来ました。


末井昭(編集者)
1948年・岡山県生まれ。白夜書房・編集局長。キャバレーの看板描き、デザイナー、イラストレーターなどを経て編集者に。現在はサックスに夢中。主な著書に「素敵なダイナマイトスキャンダル」「絶対毎日スエイ日記」などがある。


vol.7 無賃乗車で川崎へ はコチラから。

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