header_071208_3.gif


レギュラーコラム 末井昭

[2007年09月19日]
vol.2 お母さんは爆発だ

 僕の家から10キロほど離れたところに鉱山があって、そこで働くのが現金収入の唯一の方法だったんで、父親も鉱山に行ってました。鉱山で使うダイナマイトを1箱持って帰って、家の床下に置いていたんです。
 なんのためって? 便利なんですよダイナマイトは。裏山の岩をダイナマイトで爆破させて畑を広げたり、川の中に放り込んで魚を捕ったり、喧嘩のとき腰に1本差して行ったりね。僕はオヤツ代わり食べたこともありますよ。そのダイナマイトで母親が死ぬことになるなんて、父親は思ってもみなかったと思うけど。
 母親が家に帰ってきて父親も嬉しかったと思うけど、母親の金使いが荒いんでそのうち喧嘩するようになって、そのせいかどうか知らないけど、父親がいない昼間、山仕事をしている村の若い衆が家に出入りするようになって。そういうとき、家にいると外に出されるんです。このころ薄々セックスってことを感じたんだと思います。小学校1年生のころです。
 父親も、母親が不倫していることを知って、ますます喧嘩が絶えなくなったんだけど、あるとき火鉢が飛ぶ大喧嘩をしたあと、母親は外に飛び出して帰ってこなくなったんです。
 何日も帰ってこないんで、父親は町の警察まで行って捜査願いまで出したんです。
 そうしたら、何日か経って山の中でダイナマイトでドカーン。隣の若い男と心中です。
 最初、犬が見つけたそうです。ワンワン吠えるので行ってみるとバラバラ死体があって。町から警察も来て、もう村中大騒ぎでした。
 母親は肺結核第3期で、もう治らないからヤケになっていたかもしれない。いい迷惑なのは隣の若い男で、爆発したときは22、3じゃなかったかと思います。息子を取られたってことで隣から怨まれ、親父は女房を取られたということで隣を恨む。それから隣同士仲が悪くなったんです。
(聞き書き:松田義人)


末井さん近況

070920.jpg

酒井美代子先生、ミャンマー大使御夫妻と。


末井昭(編集者)
1948年・岡山県生まれ。白夜書房・編集局長。キャバレーの看板描き、デザイナー、イラストレーターなどを経て編集者に。現在はサックスに夢中。主な著書に「素敵なダイナマイトスキャンダル」「絶対毎日スエイ日記」などがある。


vol.1 僕にはお金っていう概念がなかった はコチラから。


reg_icon.jpg