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レギュラーコラム BIKKE

[2007年09月12日]
僕らの知らない小さな僕ら vol.12

bikke_070910.jpg これは確か僕が幼稚園の頃の話だそうだ。
 当時の僕は、とにかくよく変身していたらしい。朝昼晩と起きてから寝るまで、人が見ていようといまいと、とにかく変身し続けていたらしい。あの仮面ライダーの影響を人一倍受けていたらしい。
 朝はまず見えない敵(ショッカー)と布団の中で奇声をあげながら格闘し、しばらくすると掛け布団を足で跳ねのけ
「クッソー!イマダッ!イマダッ!ヘーン・シーン!トォ〜〜〜〜〜ッ!」
 と、飛び起きるとパジャマを自分で脱ぎ捨て(ここまではよくできました!)急いで台所で朝飯を作っている母親のところへ行き、
「ねぇーねぇー、早く早くー!ショッカー来ちゃうよ、ショッカー!もうそこまで来てるんだからー!」
 と、幼稚園の制服の着替えをせがんでいたらしい。(まだ自分では着ることは出来ず。ここはもう少し頑張りましょう。)
 そして、着替えが終わると今度は居間に走っていき、父が広げて読んでいる新聞に向かって、
「キーック!そしてそしてパーンチ!」
 とグチャグチャにしだして、
「かくれてても、わかるんだからなぁーっ!」
 と、真剣な眼差しで父を巻き添えにして見えない敵と闘っていたらしい。が、こんなことが毎朝続くもので、ある時父が
「よし!変身してみろっ!」
 と、僕をソファーの上に立たせ、僕が
「ヘーン・シーン!トォーッ!」
 と、ジャンプした時それと同時に僕のズボンを父が脱がせたのだ。父は、ズボンを脱がせば恥ずかしがって静かな朝をぶち壊すことをやめるんではないかと考えたらしい……。

 だが僕はやめなかった。僕は変身をやめなかった……。逆に恥ずかしいどころか父がズボンを脱がせてはしゃいでいるほうに僕の気持ちは、いってしまったらしく、残念ながら僕の変身はエスカレートしてしまった……。
 そしていつしか父の手を借りずに自らの手でズボンを脱ぎ、変身し、しかも父の前だけではなく、そう、母の前、いや、家を飛びだす日がやってきてしまったのだ……。
 それはおばぁちゃんの法事の日だった。
 もろもろのことが終わり、広い座敷で親戚のおじちゃんやおばちゃん、そしておにいちゃんやおねえちゃんらがみんなで食事をしていた時だ。少しお酒が入ったおじちゃんが、
「お〜ぅ、ボーズ、大きくなったなぁ〜。え〜、いい子にしてんのかぁ〜」
 と、僕の頭を撫でながら、
「よしっ! おじちゃんが一緒に遊んでやるから、あっちに行こう、あっちに!」
 と、座敷の隅の座布団がたくさん積んであるところに抱きかかえられ、その上にちょこんと座らされ、
「どうだ〜、ん〜、殿様気分だろ〜!おじちゃんもやったことないんだぞぉ〜。ヘタすりゃ〜座布団なんか1枚もないんだからなぁ〜。」
 と、ショッカー以外に興味のない僕には殿様なんぞ関係なく、高いところに乗ってしまった僕は見えない敵を探し始めてしまった。
 すると、遠くで僕のこの様子をニコニコしながら見ている父を見つけてしまった……。そして僕はその父の笑顔を見て、やってしまったのだ!
「ヘーン・シーン! トォーッ!」
   

 グチャグチャに倒れ込んだ座布団にまみれて下半身丸出しの僕はおばぁちゃんの法事の日に「チーン」と変身、そして変チンしてしまったのだ。



BIKKE(ミュージシャン)
TOKYO No.1 SOUL SETのボーカルとしておなじみのBIKKE。9月23(日)野外フェス Sense of Wonder に出演します。イベントの詳しい情報はコチラから。
 


CMナレーションでも活躍中!
日産マーチ「しあわせマチ子さん」篇
からだ巡茶「さよならハロー・シャワー」篇


僕らの知らない小さな僕らvol.11はコチラから。


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