[2007年09月27日]
僕らの知らない小さな僕ら vol.13
これは確か、私が3歳くらいの頃の話だそうだ。
その頃の私はなぜか高い所が異常に好きだったらしく、やれ、テーブルの上に乗せてくれとか、やれ、テレビの上に乗せてくれとか、庭に出れば、やれ、車の屋根の上に乗せてくれとか、しまいには、仏壇の上に乗せてくれとか。とにかく高いところにいないとビィーッ、ビィーッ、ワァー、ワァー泣きわめいていたそうだ。さすがに、泣かれても仏壇の上はマズイというかナシな訳で、父は家でゆっくり座ってるヒマもなく僕をずっと肩車して家の中をウロウロしていたらしい。
そんなある日、父と私と母で遊園地に行くことになった。例のごとく私は父に肩車をしてもらい近くの駅までゴキゲンで向かったらしい。
そして、ホームに着き電車が到着し乗り込むと、いつも混んでいる電車に乗っている父は空いている車両を見たら嬉しくなってしまったらしく、肩車をしていた私を何も言わずスーッと降ろし、母に預けると小走りに空いている席のど真ん中に座って回りをキョロキョロし、
「やっと俺は座れた! やっと、やっと座れた!」
と大喜びというか、大はしゃぎしたらしい。
だが父のそれとは逆に私は急に肩車から降ろされてしまったもんで、またビィーッ、ビィーッ、ワァー、ワァー泣き出してしまった。でも父はそんな私のことはおかまいなしで、やっと手にした至福の時をじんわりと味わっていた。しかし、私の泣き声は車内に乗っていた数人の人達の我慢の限界を越えるくらいひどくなり、1人隣の車両へ移り、また一人隣へ移り、そしてまた一人……。
結局私たち家族の貸し切り状態の車両になってしまった。それを見て父は、他人様に迷惑をかけて車両を移らせてしまったが、まぁ逆にこれなら大丈夫かっ! くらいに思ったのか、相変わらず久しぶりの至福の時に浸っていたようだ。
だが次の駅に着いたとたん、人がドォーっと乗り込んできて一気に車両は満員状態になってしまった。そう、せっかくの父の至福の時は終わりそして、更に私の泣き声はヒートアップしていき、今度ばかりは私達家族が車両を去らなければならない状態になってきた。そして父は泣く泣く席を立ち、多少の迷惑をかけながら私を肩車することになった……。
しばらくの間は、私は上機嫌でおとなしくしていたのだが、電車が進むにつれ私が父の肩車の上で泣き始めたのだ。そうなのだ。私の目線にオモシロイものが飛び込んできてしまったのだ。そう! 網棚を発見してしまったのだ! 父はウスウス感づいていたらしいが、まさか、まさか、まさか、いくら泣いているからといって自分の息子を網棚に置く? いや、乗せることは出来ない、と気付かないふりをしていたらしい。
だが私の好奇心は泣くという行為に直結し、ますますエスカレートしていき、もうどうにもこうにもならないくらい、私が壊れるんじゃないかと思うくらいになってしまったらしく、父は私を
「そっ〜か、そっか〜、いつもの所がいいか〜。ソ〜レ!」
と、訳の分からないことを言いながら、私を網棚に乗せたそうだ。その間母はやはり恥ずかしかったらしく、少し迷惑そうな顔をして、他人のフリをしていたそうだ。
そして私は遊園地のある駅までず〜っと網棚に乗せられたままだったそうだ。そして父は帰りの電車の混み具合を想定して母と相談したあげく遊園地には行かず、そのまま帰ったそうだ。もちろん帰りも僕は網棚の上で……。
BIKKE(ミュージシャン)
CMナレーションでも活躍中!
日産マーチ「しあわせマチ子さん」篇
からだ巡茶「さよならハロー・シャワー」篇
[2007年09月12日]
僕らの知らない小さな僕ら vol.12
これは確か僕が幼稚園の頃の話だそうだ。
当時の僕は、とにかくよく変身していたらしい。朝昼晩と起きてから寝るまで、人が見ていようといまいと、とにかく変身し続けていたらしい。あの仮面ライダーの影響を人一倍受けていたらしい。
朝はまず見えない敵(ショッカー)と布団の中で奇声をあげながら格闘し、しばらくすると掛け布団を足で跳ねのけ
「クッソー!イマダッ!イマダッ!ヘーン・シーン!トォ〜〜〜〜〜ッ!」
と、飛び起きるとパジャマを自分で脱ぎ捨て(ここまではよくできました!)急いで台所で朝飯を作っている母親のところへ行き、
「ねぇーねぇー、早く早くー!ショッカー来ちゃうよ、ショッカー!もうそこまで来てるんだからー!」
と、幼稚園の制服の着替えをせがんでいたらしい。(まだ自分では着ることは出来ず。ここはもう少し頑張りましょう。)
そして、着替えが終わると今度は居間に走っていき、父が広げて読んでいる新聞に向かって、
「キーック!そしてそしてパーンチ!」
とグチャグチャにしだして、
「かくれてても、わかるんだからなぁーっ!」
と、真剣な眼差しで父を巻き添えにして見えない敵と闘っていたらしい。が、こんなことが毎朝続くもので、ある時父が
「よし!変身してみろっ!」
と、僕をソファーの上に立たせ、僕が
「ヘーン・シーン!トォーッ!」
と、ジャンプした時それと同時に僕のズボンを父が脱がせたのだ。父は、ズボンを脱がせば恥ずかしがって静かな朝をぶち壊すことをやめるんではないかと考えたらしい……。
だが僕はやめなかった。僕は変身をやめなかった……。逆に恥ずかしいどころか父がズボンを脱がせてはしゃいでいるほうに僕の気持ちは、いってしまったらしく、残念ながら僕の変身はエスカレートしてしまった……。
そしていつしか父の手を借りずに自らの手でズボンを脱ぎ、変身し、しかも父の前だけではなく、そう、母の前、いや、家を飛びだす日がやってきてしまったのだ……。
それはおばぁちゃんの法事の日だった。
もろもろのことが終わり、広い座敷で親戚のおじちゃんやおばちゃん、そしておにいちゃんやおねえちゃんらがみんなで食事をしていた時だ。少しお酒が入ったおじちゃんが、
「お〜ぅ、ボーズ、大きくなったなぁ〜。え〜、いい子にしてんのかぁ〜」
と、僕の頭を撫でながら、
「よしっ! おじちゃんが一緒に遊んでやるから、あっちに行こう、あっちに!」
と、座敷の隅の座布団がたくさん積んであるところに抱きかかえられ、その上にちょこんと座らされ、
「どうだ〜、ん〜、殿様気分だろ〜!おじちゃんもやったことないんだぞぉ〜。ヘタすりゃ〜座布団なんか1枚もないんだからなぁ〜。」
と、ショッカー以外に興味のない僕には殿様なんぞ関係なく、高いところに乗ってしまった僕は見えない敵を探し始めてしまった。
すると、遠くで僕のこの様子をニコニコしながら見ている父を見つけてしまった……。そして僕はその父の笑顔を見て、やってしまったのだ!
「ヘーン・シーン! トォーッ!」
グチャグチャに倒れ込んだ座布団にまみれて下半身丸出しの僕はおばぁちゃんの法事の日に「チーン」と変身、そして変チンしてしまったのだ。
BIKKE(ミュージシャン)
TOKYO No.1 SOUL SETのボーカルとしておなじみのBIKKE。9月23(日)野外フェス Sense of Wonder に出演します。イベントの詳しい情報はコチラから。
CMナレーションでも活躍中!
日産マーチ「しあわせマチ子さん」篇
からだ巡茶「さよならハロー・シャワー」篇

































