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レギュラーコラム BIKKE

[2007年05月17日]
僕らの知らない小さな僕ら vol.7

070517_2.jpg これは、私が幼稚園の年少頃の話だそうだ。
 この頃、私は家に帰ってくると家に上がらず玄関で制服を脱ぎ、居間に向かってカバンをほうり投げ、
「お母ーさーん、お母ーさーん。おやつ持って来てー、はやくーはやくー、ねー、ねー」
 と、持ってきてもらったおやつをわしづかみにして「ありがとう」も言わず、すぐ外に遊びにいってしまうちょっと失礼な子供だったらしい。
 で、ほぼ毎日近くの公園(といっても、ほぼ家の目の前)で、当時「心の友」と呼んでいたらしいたつや君とかなちゃんと遊んでいた。なぜ家に上がらず、すぐ家を出たがっていたのかは、公園に一番乗りしたかったからではないかと思う。
 なんやかんや公園で遊んでいると、トイレに行きたくなるもので、でもその公園にはトイレがなかった。たつや君は男子なのでちょっとした草むらの陰で済ませればいいのだが、かなちゃんは一応女子なので、そういうわけにもいかず、かなちゃんは家から少し遠かったが、一度家に戻って済ませてから、また公園に戻って来たらしい。私は家が目に前なのに、なぜか家に行かず、公園の隣にあったボロボロの小屋? のような所で用を済ませていたらしい。
 なんで家に帰らなかったのだろう。今思うに、ウチの母はちょっと口ウルサイ人で、一旦帰ると外に出してもらえないのではないかと勝手に思い込んでいたようだ。
 ある日、いつものように「心の友」のたつや君とかなちゃんと遊んでいると、またトイレに行きたくなって、いつもの小屋で用を済ませようと向かったのだが、この日オーバーオールを着ていた私は、オーバーオールを降ろして、用を済ますところまではよかったのだが、いざ着ようと思ったら「右手がこっちでー、左手がこっちでー、後ろが見えないー……」。どうやら幼い私にはオーバーオールを着ることが難しかったらしく、どうやっても母が着せてくれたようにはならなかった。包帯をグルグル巻かれたような、ミノムシのような、SMチックに縛りあげられたような、とにかくこのままでは公園に戻れないと思った私は、オーバーオールにこんがらがり、そして翻弄され、公園の「心の友」に黙ったまま戦場から帰還する兵士みたいに体を引きずりながら、やっとの思いで家にたどり着いたらしい。
 そして、その無様な格好を見た母は、驚きながらも腹を抱え大笑いし、問い詰めたらしい。
 この話は、最近母から聞くまでは本当に忘れていたのだが、話を聞いているうちにだんだん蘇ってきた。
 そして、母によると「心の友」かなちゃんも、同じようにオーバーオールに翻弄され、家に何度か帰ってきたことがあったそうだ。そこだけは「心の友」だったが、お互いに口にはしなかったようだ。そういえば、かなちゃんはお金持ちのお嬢様風だった。