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レギュラーコラム 大野ケイスケ

[2008年02月11日]
巨乳王子vol.8

oono_080210_08.jpg 巨乳に命さえ捧げる僕の人生。巨乳を定義する物差しが「アルファベット」に変わり、巨乳は一気に物語を獲得するようになったと述べた。だが正確には物差しが「数字」の時代にあっても、巨乳には様々な物語が内蔵されていたのであり、「アルファベット化」が世間一般に「物語の存在」を明らかにしたと言えよう。では「数字の時代における巨乳に内蔵された物語」とは何か。ここでの大きなテーマは「嘘」である。前述したように、これが良いか悪いかはさておき、「アルファベット化」は自らのカップをカミングアウトしやすいという女性自立の道を促進した。これが「数字」のときは、女性はひどく曖昧な対応をせざるをえず、結果として「嘘」が蔓延していたのだ。「86」「87」「88」「89」という80センチ台後半のサイズの女性は、まさに「悲劇」ともいうべき状況に陥っていたと思われる。彼女たちは、それを言ったり書いたりした時点で「巨乳です」とカミングアウトしたと見なされた。「90」オーバーともなれば、カミングアウトを超えて「アピール」「自己主張」の域にとられてしまう危険性があった。今でこそ巨乳は「キャラ」のひとつとして殊更に好奇な視線で見られることはないが、かつて時代はそうではなかった。80センチ台後半のサイズの女性たちにとって、正直に言ったばっかりに好奇な視線に晒されるのは耐え難いものがあったのだろう、そして彼女たちは自らを防御するために「85」と嘘をついたのである。当時のグラビア誌のプロフィール欄には「85」が多かったと記憶する。「この人は明らかに巨乳だ」と思っても、プロフィール欄には「85」とある。僕は「明らかに嘘をついていると思われる、85センチのグラビアアイドル」を見るたびに「巨乳に生まれた悲哀」というものを感じ取った。巨乳の歴史はまさに「闘争」の物語だ。自分との闘争。社会との闘争。隠すのか明らかにするのか、その葛藤の物語である。



大野ケイスケ(放送作家)
1973年生まれ。放送作家、ライター。TVでは、「新堂本兄弟」「ミュージックフェア21」「クイズ!ヘキサゴン」など。ラジオではj-wave OH! MY RADIO(mon)などを担当。


巨乳王子 vol.7 はコチラから。


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