[2009年02月10日]
巨乳王子 vol.12

巨乳を見つめる僕の人生。前回「巨乳は馬鹿そう」という一般に流布している言説が大きな誤りであり、むしろ「巨乳は考えている」と結論づけたが、そこに至るまでには、僕も長年に渡って悩み続けていたことをここで告白しなければならないだろう。「巨乳は馬鹿そう」を鵜呑みにすることは決してなかったが、完全否定するにたる根拠が脆弱だったので、この言説に長いこと囚われていた自分がいた。それは神経に薄く張り付いたフィルターのようで、僕の判断をことごとく鈍らせていた。あらためて思うが、「巨乳は馬鹿そう」という言説の尋常ならざる影響力の大きさを痛感する。これに絡めとられているがゆえに、逆のベクトルで妄想が膨らみ、「賢い巨乳」「高偏差値の巨乳」「頭脳明晰な巨乳」に対して、大いなる憧憬を抱き、巨乳のなかでも最高位にランクされると信じて疑わなかった。マグロのなかの大トロみたいなものである。
実際に中学生で「巨乳」という人生における光明が降り注いでから、何年も「賢い巨乳」「高偏差値の巨乳」「頭脳明晰な巨乳」と出会うことがなかった。中学高校と男子校だったし、「巨乳との出会い」は自ら切り開くほかなく、当時勉強に打ち込み、難関大学を目指したのは、そこに「高偏差値の巨乳」がいるからという理由にほかならない。一方で思春期特有の妄想力も手伝い、「賢い巨乳」は頭のなかでもはやファンタジーの域に生息する女性であると思いかけてもいた。今思えば、オタク系のマンガやアニメに登場する女性たちは「頭脳明晰な巨乳」が多く、あの時そのままファンタジーの世界に突入して、架空の巨乳との出会いに喜びを見出していたら、僕の人生は今とは違ったものになっていただろう。分かれ道の手前で「賢い巨乳」の実在を信じ、受験勉強に打ち込み、まだ見ぬ「賢い巨乳」との出会いを信じたのだった。しかし、難関大学への入学は叶わず、またしても「賢い巨乳」との出会いは遠ざかっていった。
人生とはそんなものかもしれない。だが、この挫折があったからこそ、「巨乳」をさらに深く考え、「巨乳とは、常に思索している常人を超越した存在である。巨乳に馬鹿も賢いもない。」という結論へたどり着くことができたように思う。だから人生は面白いのかもしれない。
大野ケイスケ(放送作家)
1973年生まれ。放送作家、ライター。TV番組、「新堂本兄弟」「ミュージックフェア21」「クイズ!ヘキサゴン」など。ラジオ番組 j-wave OH!MY RADIO(mon)などを担当。

























