[2006年04月26日]
第7回「まれに見る大当たり!」
『野ブタ。をプロデュース』:日本テレビ系
2005年10/15〜12/17(土)
夜9:00〜9:54(全10回)
原作:白岩玄、脚本:木皿泉、演出:岩下仁志、佐久間紀佳、北川敬一
主題歌:「青春アミーゴ」修二と彰
出演:亀梨和也、山下智久、堀北真希、戸田恵梨香、岡田義徳、木村祐一、柊瑠美、宇梶剛志、高橋克美、忌野清志郎、夏木マリほか

ボクのドラマチェックは、まずドラマの改編時、出来るだけ全ドラマの第1話を見る、あるいは録画することから始まる。そこからボクの中でふるいが掛けられ、第1話で終わるものもあれば、6、7話で終わるものもある。最終話まで見て、なおかつ録画が保存版になるものは、まれである。それでもマメにドラマチェックを毎回するのは、時々まれではあるが、当たりがあるからである。それも大当たりが。グッとくる快感が。映画の場合でも、その大当たりは30本見て1本あるかないかだが、それでも映画館に足を運び、レンタルしたりする。そのグッとくる快感を求めるために。そんな久々の大当たりのドラマが登場。それが『野ブタ。をプロデュース』である。このようなドラマに巡り会うために、ドラマチェックをしているといっても過言ではない。それぐらい素晴らしく、ここ2年間のドラマの中でも一番である。
修二の声「オレが思うに、この世のすべては、ゲームだ。ていうか、みんな口には
出さないけれど、そう思わないとやってられないことばかりだ。ガキが集まって
いる、こんな中じゃ、マジになった方が負けだ。うまく立ち回って、いいポジショ
ンを維持していれば、傷つくことなくゴールまで行ける」
(第1話より)
修二「お前さ、どっちも選べないってことはさ、どっちもほしくないってこと
なんじゃないの」
(第1話より)
信子「この世はどこまでいっても同じ世界が続いてるだけ。私が住んじゃいけない
世界が、ずっと続いてるだけ」
修二「じゃ、作ればいいじゃん。お前が住める世界をさ、オレが作ってやるよ」
(第1話より)
修二「どんな奴だってさ、自信なんてないと思うぞ。オドオドして生きていると思う
し、本当は自分の事で精一杯で、人の事なんか考える余裕もなくてさ。だから、
怖がる必要なんて全くないんだからさ。まずは良く思われようなんて考えないで、
自分はここにいるんだってことを、みんなに分からせようぜ」
(第2話より)
舞台は隅田川高校。高校2年の桐谷修二(亀梨和也)は人気者で、巧みな話術と面倒見の良さで、さわやかな男を自己演出している。本音では他の連中をバカにし、世間をバカにしているが、誰も気付かない。その自己演出の一つに、学校一の美少女・上原まり子(戸田恵梨香)と付き合い、毎日弁当を作ってもらってる。そんな修二に親友づらして付きまとう草野彰(山下智久)には、苦手としているが、唯一本音を見せている。ある日、修二と彰のクラスに、陰気でイジメられっ子の小谷信子(堀北真希)が転校してくるが、早速イジメの標的にされる。自己演出している修二は、自分の実力を試すため、今度はそんな信子が人気者になれるように、彰と組んでプロデュースしていく。だがそのプロデュースは、人の悪意とも戦うことになっていく。
キャサリン「頭だけだったらね、なんだってスッと解決するんだけど、
コ・コ・ロがね」
(第4話より)
まり子「誰か一人だけ本当のことを知ってくれてれば、それで充分。
本当のことは修二が知っているから、それでいいの」
(第5話より)
修二の声「オレは今、わけもなく思っている。負けたくない。人の幸せを素直に喜べ
ない奴だけには、オレは絶対に負けたくない」
(第5話より)
修二「人にさ、・・・人に嫌われるのって、・・・怖いよな」
(第7話より)
このドラマの放送が終わってから、早速原作を読んでみた。だいぶ違うんですね、ドラマと内容が。修二が人気者で自己演出したり、彼女のまり子がいたり、イジメられっ子をプロデュースしたりする根本的なところは同じなんだけど、まず彰が出てこない。そしてイジメられっ子は女ではなく男。だからプロデュースの仕方も違う。終わり方も、原作は小説らしく救いがないような終わり方だったが、ドラマでは気持ち的にハッピーに終わる。原作の根本的なところを借りて、7割ぐらいアレンジした感じだ。たとえ修二と彰の主題歌「青春アミーゴ」のために彰が追加されても、プロデュースする相手が男では華がないからと女に変えられても、視聴者を気にしてドラマ的にハッピーな終わり方に変更されようとも、それが良いほうに転がれば、全然問題ない。ていうか、原作者には悪いが、原作を超えた出来映えである。
キャサリン「信じたほうを言えばいいのよ。本当のことなんて誰にも分からないの。
だったら信じたいほうを選ぶしかないでしょ」
(第8話より)
修二の声「どん底に落ちても、人生は終わらない。言われた通り、人生はなかなか
終わりそうもない。それでもオレは生きていかなきゃなんないんだ。
ゴーヨク堂いわく、生きていれば最悪の日もある。されど、最高の日もある」
(第8話より)
まり子「ずっとウソつかれたまま、仲良くしてるほうが良かった?」
信子「(首振る)」
まり子「私も。本当のこと、知ってよかった。ウソつかれるの、さびしいもんね」
信子「でも、ずっとウソついてるのも、さびしいかも」
まり子「・・・そうかもね」
(第9話より)
修二「今、こうしてオレが言ってる言葉が、みんなに届いてないと思うと、
怖いです。死ぬほど怖いです」
(第9話より)
この原作をも超える脚色をしたのが、連ドラ『すいか』(日本テレビ系)の時から注目していた、今回で連ドラが2度目になる、男女2人組の脚本家・木皿泉。原作にはない文化祭の話や、みんなの前で愛を告白する114(いいよ)の日の話、手品をするシーンなんかは特に素晴らしかったし、毎回、一見話に関係なさそうなエピソードが伏線として随所に散りばめられ、話に深みを与えていた。また、内容的に人の悪意というダークな面があるため、話が暗くなりがちだが、「野ブタパワー、注入!」の決めゼリフや、登場人物の個性的なキャラクター、「ほんとおじさん」などの都市伝説のエピソードを入れて、全体的にうまくバランスがとれていた。そして、教頭:キャサリン(夏木マリ)らの、さりげなく背中を押す大人たちのセリフにも心に染みるものがあった。
『野ブタ。をプロデュース』は今、レンタルが開始されている。連ドラ『すいか』が好きな人も、亀梨君や山下君のファンも、またそうではない人でも全然楽しめるので、是非見て《野ブタパワー》を注入されてグッとくる快感を味わってほしい。
オリス(ドラマー)
先日放送された『女王の教室』スペシャル:エピソード1、2は、本編よりも内容が濃く、ダースベーダー阿久津になるまでの過程が描かれていて、見応えがあった。
今回のクールでの期待のドラマは、今やフジテレビの月9よりも日本テレビの土9が熱く、その土9の『ギャルサー』(日本テレビ系)。あとは、宮藤官九郎脚本の5月22日(月)から及川光博、斉藤由貴主演で始まる昼ドラマ(TBS系)。そして、『野ブタ。をプロデュース』で共演した山下智久と堀北真希が出演の『クロサギ』(TBS系)だが、詐欺師の話で、宣伝用のポスターの「騙されたと思って一回観てくれ。」という安直なキャッチコピーに不安を感じる。

























