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レギュラーコラム オリス

[2006年03月20日]
第6回 「VS 白い巨塔」

『マンハッタンラブストーリー』TBS系

2003年10/9〜12/18(木)

夜10:00〜10:54(全11回)

脚本:宮藤官九郎、演出:土井裕泰、片山修、坪井敏雄

主題歌:「ラブラブ♥マンハッタン」TOKIO、音楽:佐藤直紀

出演:松岡昌宏、及川光博、酒井若菜、塚本高史、尾美としのり、遠山景織子、猫背椿、船越栄一郎、松尾スズキ、森下愛子、小泉今日子ほか



 ドラマ『マンハッタンラブストーリー』の放送時、裏では『白い巨塔』(フジテレビ系)であった。困った事にどちらも見たい。このような時どうすればよいか。まず2台テレビを並べて、右目で『マンハッタンラブストーリー』左目で『白い巨塔』というステレオ感覚で同時に見るか。またはテレビのリモコンをゲームコントロール機のように、6、8、6、8、と交互に連打して見るか。それとも、あえてどちらも見ずに4の『ダウンタウンDX』を見るか。はたまた何も見ずに寝てしまうか。そんなくだらない事を考えるのが好きな人にはピッタリのドラマ『マンハッタンラブストーリー』。手強い『白い巨塔』にははなから勝つ気はないだろうし、眉間にシワを寄せて陰謀をたくらむ財前教授に対抗するには、歌って踊るしかない。ある意味勝ってる。え?どんな意味で勝ってるの?とマジ突っ込みする相手がいるとしたら、いろんな意味で勝ってるけど何か問題でも?とケツをフリフリ踊って答えるしかない。一つ断言できることは、見終わった後♪マーンハッタンラブラブ、ウオウオ、マンハッタンラブラーブ〜、という曲を悦に入ったバカ面で間違いなく口ずさんでしまうことである。


別所「あんた何もわかってない!」

赤羽「あんた?」

別所「あんただよ。君なんか・・あんただ!」(第1話より)

店長「今は自分の気持ちを相手にぶつける方が大事だろうが。カッコつけてんじゃ

 ねーよ、もう。何事にもな、適温つーのがあんだよ。冷めたら終わりなんだぞ、

 わかるか?今が、あんたの適温なんだ!いいか、よく聞け。私の経験と人生と魂を

 込めて言わせてもらい。鉄は熱いうちに飲め!あ・・もとい打て!」

 (第1話より)

赤羽「ずーっと待ってたの、あたし。あなたが好きだって言ってくれるの。でも、

 もう待てないんだ。あたし、もう女の子じゃないし、36だし、ドキドキする

 より、安心したいの。わかるでしょ?」(第2話より)

 話は純喫茶マンハッタンに集まる常連客たちのラブコメディー。コーヒーに命をかける寡黙な店長(松岡昌宏)は、常連客の恋の行方を見守り、正体を隠してその客たちに、コーヒーに例えて恋のアドバイスをしていく。その常連客に、タクシー運転手・赤羽伸子(小泉今日子)→振付師・ベッシー:別所秀樹(及川光博)→ドラマ脚本家・千倉真紀(森下愛子)→声優・土井垣智(松尾スズキ)→お天気キャスター・江本しおり:エモヤン(酒井若菜)→役者・船越栄一郎(船越栄一郎)、マンハッタン店員・蒲生忍(塚本高史)→店長。この矢印の方向でそれぞれ片思いをして、後半その矢印が逆転していく。コントをながーく書いたらドラマになりました、というような一見ぬるそうな展開は、意外に巧く全体を計算され構成され、随所に一部ウケを狙ったギャグもちりばめられたストーリーはクドカンワールド満載である。


江本「土井垣さんって結婚してるんですね」

土井垣「ああ、してる、してる、あっ、ごめんな。あ、あ、いや、今ちょっと、

 ごめんねって言ったのは、何か、結婚しててごめんねとか、黙っててごめんね

 みたいなニュアンスに偶然なっちゃったけど、違う、違くて、違くて、単なる

 音漏れみたいな、意味のない、ごめんねっていうか、ごめんねなんて言ってな

 いから!」(第3話より)


赤羽「じゃあね、ベッシー」

別所「じゃあね、のぶりん」

赤羽「のぶりんって、やだあ」

別所「どうして?」

赤羽「何か「あのねのね」の人みたい」(第5話より)

店長「忍忍君。今の君はブラックコーヒーじゃない。コーヒーで例えるなら、キャラ

 メル・モカ・フラペチーノだ!私の経験と人生と魂を込めて言わせてもらう。ブラ

 ックになれ!ブラックコーヒーのように、ストレートに自分の気持ちを相手にぶつ

 けろ!」(第6話より)

 このドラマの成功はキャスティングですね。出演者みんながもうクドカンの笑いを分かってらっしゃる。この笑いを分からず出演していたら絶対浮きますもんね。たとえ分かっていても、バカバカしい場面を大まじめにやる独特の笑いはなかなか出せません。赤羽役の小泉今日子は、30代後半の女性の乙女心とはすっぱな感じをうまく使い分け、同僚役の尾美としのりの中年ギンギンなゲスさの関わりで、よりいっそう面白さを引き出してるし、ベッシー役の及川光博の愛の告白をダンスで表現するズレたダサさは、このドラマではカッコよくしか見えない。そして、クドカンドラマでは常連である「大人計画」の阿部サダヲのかわりに、座長である土井垣役の松尾スズキの登場によって、よりディープなゆるさを全体的に浸透させている。

赤羽「チューしちゃったでごわす」

井掘「何だ?それ?まだやってねえのかよ」

赤羽「やってねえよ」

井掘「えー、チュー?まだチュー?うわー気持ち悪い」

赤羽「何が?」

井掘「30過ぎたらチューと交尾は1回にまとめろよ。2回に分けるなんて、そっち

 の方がやらしいっつーの」(第8話より)


千倉「聞きなさい赤羽ちゃん。あんたのやってることは徹夜で並んで大好きなGLAY

 のコンサートの切符を手に入れたのに、結局見に行かないようなもんなのよ」

赤羽「あぁ、GLAYあんまり好きじゃないんで」

千倉「例え話よ!今は好きじゃなくても、ベッシーのこと、好きだった気持ちは嘘

 じゃないでしょ?1回ぐらい、いいじゃない!」

赤羽「何の話ですか?」

千倉「ファックよ!」(第10話より)

別所「いいか店長。僕の経験と人生と魂を込めて言わせてもらう!心の赴くままに

 行動する。それがグルーヴだよ!エモーションだよ!」(第10話より)

 ここで裏切り者が一人。『マンハッタンラブストーリー』の裏では『白い巨塔』だったが、『白い巨塔』は2クール。『マンハッタンラブストーリー』が終わり、第2部の『白い巨塔』でいきなり切れ者の弁護士役でミッチー登場。しかもかなりカッコいい登場シーン。終わった途端ライバル番組に出てしまうミッチーの軽やかな立ち振る舞いは、それはそれで素敵である。出来れば踊りながら登場してほしかったのだが。

 このドラマはクドカンドラマの中でも、『池袋ウエストゲートパーク』は別格として、他の『木更津キャッツアイ』や『タイガー&ドラゴン』にくらべ地味目ではあるが、全編笑いで突き抜ける感じが潔く、気持ちイイぐらい話をマジな方向に持っていかない。それでいて期待を持たせる話の展開。この笑いのツボに入ったら間違いなくハマる。そして見終わった後、歌うでしょう。♪マーンハッタンラブラブ、ウオウオ、マンハッタンラブラーブ〜。

オリス(ドラマー)
今回の連ドラでは『時効警察』(テレビ朝日系)が一番といっても過言ではないのだ!
このドラマに出演してる麻生久美子は第2の仲間由紀恵といっても過言ではないのだ!
あとは『白夜行』(TBS系)ですね。原作では亮司と雪穂の接点を全く描かない方法で話を進めているが、ドラマではバックストーリーである二人を中心に描いていておもしろい。武田鉄矢は最近脇役に力を入れてるのか、このドラマでも刑事役で、『功名が辻』(NHK)でも上川隆也に仕える武士役でいい味を出している。脇役だが、顔はでかい。