[2005年09月17日]
第1回「見逃しがちな、夏」

「愛なんていらねえよ、夏」
TBS系2002年7/12〜9/13(金)
夜10:00〜10:54(全10回)
脚本:龍居由佳里、演出:堤幸彦ほか
主題歌:「LIFE」池田綾子
出演:渡部篤郎、広末涼子、藤原竜也、
西山繭子、ゴルゴ松本、鈴木一真、石田えり、森本レオ、坂口良子ほか
人は時として、人を外見で判断しがちであるように、ドラマや映画においても、タイトルが良くない、この役者が嫌い、雰囲気が暗そうとかで、見てもないのに評価をつまらない作品と結論を下しがちである。僕もその一人で、このドラマ「愛なんていらねえよ、夏」のタイトルで、ダメそうだと決めつけ、リアルタイムでは見なかった。
そして、その1年後の夏の深夜。このドラマが再放送され、たまたま第1話を見た僕は、その判断の間違いに気付かされる。そう、このドラマに「どっぷりハマッてしまった、夏」なのである。
レイジの声「人は、欲望に満ち、そのくせ、その欲望を隠そうとする。
そして、たった一つのことも手に入れられず死んでいく」(第1話より)
レイジの声「売るほどある愛に、乾杯」(第1話より)
レイジの声「氷のように冷たいその声は、何も見ていないその眼は、どこか、
俺に似ているような気がした。」(第1話より)
タイトルどおりテーマは愛。7億6千万の借金を抱えた冷徹な元ホスト・レイジ(渡部篤郎)が、心を閉ざした盲目の令嬢・亜子(広末涼子)の兄になりすまして、彼女の遺産を狙う。愛を信じない二人が本当の愛に出会うまでのラブ・ストーリー。
全10話、無駄なく、より道なく、心の葛藤、感情の微妙な動きを、サスペンス要素を含ませ、ラストまで丁寧に描いている。死ぬこととか、孤独とか、誰かを好きになることとか、人間の根元にある部分を描いているだけに心を鷲掴みにされるのである。
タクロー「溺れないで下さいよ。演技に溺れたがる俳優と、愛に溺れたがる
純愛気取りは最低です」(第4話より)
レイジ「いいんじゃないの?世の中のさ、善意ってやつに包まれてさ、
信じて、信じて、で、最後はさ、裏切られて、恨みながら死んでいくわけよ」
奈留「お兄ちゃんをね」
レイジ「(首を振り)信じた自分をだよ」(第4話より)
このドラマの良さは、まずセリフである。シビレるセリフが満載なのである。良いセリフほど、上手い役者がやらないと、言葉だけが浮いてしまうが、登場人物の発するその声は、見事に心をつかむ。
次に小道具の使い方。このドラマでは、オルゴール、スーパーボール、誕生日プレゼントの指輪などが出てくる。その小道具が伏線となり、ドラマ性を高め、そしてセリフ以上にものをいう。
そして、演出である。前編に緊張感が漂い、登場人物の感情をうまく切り取り、気持ちを映像化していた。そのため、無駄なセリフがない分、ストレートに伝わってくるのである。
レイジ「亜子、俺には・・・俺が見えないよ」(第8話より)
季理子「どんなに愛し合ってても、ちょっとづつの愛の分量がちがうから
悲しいの。人間だからさ、ちょっとづつ、ずれてて悲しいの。」(第8話より)
奈留「愛と憎しみってさ。並んじゃうんだよね」(第9話より)
レイジ「嘘をつく声で、その嘘がバレる。」(第10話より)
リアルタイムで放送された時、このドラマの平均視聴率は7.7%。クラスで一人、または職場で一人見てるかどうか位か。決して成功したといえる数字ではないだろう。しかし、その数字とドラマの質とは関係ないことは、周知の事実。純愛ブームといわれている今、次々と作品が出されているが、どれもぬるいと感じる方に、是非お薦めする作品である。泣いてよし。
オリス(ドラマー)
終盤を向かえる7月からのドラマの中で、「ドラゴン桜」と「女王の教室」にハマる。「電車男」のオープニングアニメ、そしてオープニングがテーマ曲、ELO「トワイライト」の使い方にはシビれた。
「愛なんていらねえよ、夏」については人間・長澤一浩も語ってます!
「メン、テナンス長澤の、オレニモ語ラセテ」
オリス
(ドラマー)
プロフィール
ドラマを愛してくれ……。
ドラマを愛しすぎた男、
ドラマー・オリスが送るドラマ賛辞。
オリスへのドラマ感想などはコチラから。
オリスのコラムに、素敵なイラストを描いているCAPTAIN SMITH(TAIZO)のページはコチラから。
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