[2010年03月31日]
第28回 「イレブンフーズ」

はずむ季節のことをスプリングなんて言いますねぇ。ココロもカラダもなんだかスプリングが効いてきます。
そんな中、めったにない朝立ちのこそばゆさを首にかけ、電車でわざわざ品川へ朝ラーしに出かけるバカがいる。
アタシだ。
豊かさとは、やりたいという気持ちが芽生えた瞬間に実行に移す能力である(SEXではない)。
誰かが言っていた。
そのラーメンは、目覚めの一発目にJBを聴かされるような濃い~い一杯だ。
人呼んでイレブンフーズ。
ラーメン・アンダーグラウンドでは、かなりむかしから取材拒否の店として有名だ。
品川というとすぐ思い浮かぶのは、港南口にある中央区卸売市場食肉市場で、アタシは以前ネットで申し込みをして見学させてもらったことがある。
その時、をわかっているのか牛や豚の鳴き声が荒く響き渡り、灰色の空にはそれを待つかのようにカラスの群れが飛び交い、ドナドナのメロディーが脳裏をかすめる。
でもそんなことはすぐ忘れ、小走りで京浜急行の新馬場駅に向かう。
このあたりは東海道五十三次の一の宿があったあたりで、神社仏閣が多く、商店街にも江戸の面影がところどころに残っていて、プチ・ブラタモリな気分になれる。
山手通りを5分くらい歩くと聖蹟公園が出てくる。
たしかこのあたりだったような・・・
人間とは不思議なもので、道の角度や光の具合を何年たっても憶えているものだ。
理性とは逆に、ありえない住宅地の方向に自然と足が向かい、遠い記憶をたどるように細い路地に入る。
あった。イレブンフーズと書かれた真っ赤な看板がまぶしい。
ごくふつうの住宅街に、アジアの屋台のような光景が突如現れるので、亜空間に放り出されたような気持ちになる。
ストレンジデイズ
近くに幼稚園があるのか、子供たちの笑い声や歌声のする中、男たちが黙々とラーメンをすすっている。
店の外で立ち食いしてるひともいて、かなりソウルフルだ。
こなれた感じで、食べ終えるとステンレスのお皿に代金を入れ、勝手におつりを取って帰っていく。クールだ。
ここはどこだ?
そして静かだ。
淡いデジャヴが揺れる。
しばらく待ちイスにすわると、「どうぞ」とだけ言われ、「ラーメン」とだけ答える。
店内を見回すと、ボロいけどシンプルでE感じだ。
風通しのいいつくりだなあと思ったら、ドアがなかった。
なぜか厨房の中に洗濯機がある。
中から黒いものを取り出してラーメンに入れた。
なんか見ちゃイケない感じなので雑誌を見ることにする。
しばらくして気付くと15年前のアサ芸だ。篠原涼子がまだ初々しくてかわいい。
でも、なんでコレがあるの??
さらに水色のバカデカいポリバケツがいくつもあり、見えてしまうので見てしまうと、それぞれにワカメ、タマネギ、背脂スープが、なみなみと直に入っている。じかにだ。
しかし男は黙ってイレブンフーズなのだ。
これでEのだ。
これじゃダメなひとは、品達とかへどうぞ。
ラーメンがきた。
ドンブリは学食みたいなプラスチック製でダイナマイト・ソウルだ。
さっきの黒いやつはキクラゲだ。
麺はポロンポロンした食感で、一口すすると「ウメェッ!」と思わず声に出してしまった。
おおざっぱなザク切りのタマネギは、たまにつながったりしていてキャンプのようだ。
ブリンブリンのキクラゲも食感がたまらない。
チャシウの方は、新鮮な煮豚のやわらかいのが3つも入っていて頼もしい。
ちゃんとちゃんとのケミカルな感じも賛成の反対なのだが、ここまで圧倒的にウマいとアラガエない。
みんなだって納豆にうま味ダレ入れてるじゃん~的なBABY
あっ という間に麺もチャシウも消えちゃった。
あ~あっけない。
テーブルには、酢、すりおろしニンニク、豆板醤、コショー、一味唐辛子、紅ショウガ、すりおろしショウガと、試すべき全アイテムがすべてそろっている。
レンゲなどは、やはり無いのでドンブリにくちづけしながら、そのアイテムをいちいち試していると背脂がいっせいに唇付近に集まってくる。
薬師丸ひろ子みたいに唇すぼめても、背脂たちが攻めてきて、口ん中に多少入っちゃいます。(ホンマはほしいんちゃうか?)
月(にくづき)に旨(ウマい)と書いて脂肪の脂ミタイナ。
あ~もう、どうにでもなれ~って感じで、結局ぜんぶ飲んじゃった。
(どや?)
おいしい♡
「はい、カットーッ!」
「いただきましたーっ。」
「撤収!」
「おつかれさまでしたーっ。」
「おいしい♡ だけ別室でオンリー録るから大丈夫OK、OK。」
「カウンターだけ先わらっちゃって。よろぴくーぅ!」
ストレンジデイズ
イレブンフーズが何も変えてないのか、世の中の風向きが変わったのかは、わかりません。
でもこの店の存在が、小洒落たフンイキ出してる女性向けの店や、マニュアライズされて毒抜きされちまったチェーン店へ、中指を立てて雄叫びをするGODZZILAのように感じられてなりません。(注:店主はいたってニュートラルです。)
なによりBUSYな男たちの胃袋をがっちり掴んでいる。
このジャンクで荒削りなおおざっぱさは、現在(いま)まぶしいくらいに新しい。
だいたいでEのよ、だいたいでぇ~
的な春。
BGMは、ジェームス・ブラウンのit's A Man's Man's Worldでお願いします。
イレブンフーズ
東京都品川区東品川1-34-23
京浜急行新馬場駅より5分
平日 8:00~18:00
土曜 8:00~13:30
日曜祭日 休み
ラーメン 800えん
大盛り 850えん
チャシウメン 1,000えん
大盛りチャシウ 1,100えん
P.S. このあと背脂をデトックスするためメンテナーは、ひとり自主トレ(言いたいだけ)を開始しました。
っつってーっ!

























