[2007年08月10日]
第11回「宗家一条流がんこラーメン(宗家)その2」
「オレはもう人生残り少ないから、ホンネで生きる事にした。」
と言った一条様の横顔には、あの日の輝きがもどっていた・・・
早稲田から浜松の方へ突如姿をくらました一条様。
消息のまったく途絶えたまま、一年の月日が流れた。
大勝軒もなくなり、アタシのラーメンの火も消えかかり、星の見えない日が続き、
池袋界隈を肩を落として、ほっつき歩いていたある四月の午後。
見おぼえのある牛の首が、アタシの両目の中に飛び込んで来た。
すると一条様が、あの日のままのお姿で、新しい店の外で何やら開店の準備をしているでないの?一瞬目を疑ったが、「さがしましたよーっ。」と、ないがしろにされスネた彼女のように、かけよって行ってしまったアタシ。
たぶん一条様は、長い旅から帰って来たばかりで、アタシの事などおぼえてもいないのだろう。
「もうーっ」みたいな感じで、ラーメンをすすると、コレッコレッ、この味、この味。
「ごちそうさまでしたーっ!また来ます。」
「ありがとねぇーっ」
過ぎた夏をとりかえすように、くる日もくる日も通いました。
「ごちそうさまでしたーっ !また来ます。」
「ありがとねぇーっ」
あまりのうれしさに、このラーメン日記を書こうとしたが書けない・・・
何かが、ひっかかっていた。
それでも、スペシャル・ラーメンの日には、必ず行ってました。
レイクロブスターという北海道阿寒湖でとれるザリガニスープのラーメン、フジツボスープラーメン(これはウマかった)、豚の首の肉の悪魔ラーメン、鳥パイタンラーメン、麻がシビれる汁なし坦々油麺、あいかわらずの攻めの姿勢だ。
でもなんだ?このノドの奥になんかつかえたような感じは?
スティービーワンダーがいくら新曲を出しても、あの日(キーオブライフ)の味を知ってしまった以上、それと比べてしまうでしょう?
新しい環境で、道具も違う、厨房も前よりセマい。
他のラーメン屋よりは、ウマいが、なぜかしらあの日のキレがない。
食べてるだけのラーメン食人のアタシが、こんな事言ってすみません。
でも日を追うごとに、この思いは確かなものになっていった。
キレがない・・・
そういえば、一条様の表情にもいまひとつキレがなかった。
そして月日は流れ,8月2日夏まっさかりの午後、久しぶりに訪れてみた。
「オレはもう人生残り少ないから、ホンネで生きる事にした。」
と言った一条様の横顔には、あの日の輝きがもどっていた。
「Eニオイだねぇ〜っ!」
「オレはこういうラーメンが、好きなんだ。時代が早過ぎたのかねぇ〜っ!」
一条節がもどってきた。 いいぞ。 期待できる。
で、出てきた。
現代に向けて放たれた矢のごとし、新作という名の初代ラーメン(ニューコッテリ750円)だ。
むせ返るような醤油の香ばしさ、ヤワなヤツをよせつけない強い意志がムンムンみなぎっている。
男丸出しのラーメンだっ。
その生命感あふれるラーメンをすすると、ノドの奥の方から「ゴゥオーッ」というプリミティブな野生のうなり声が、漏れてしまう。
ウマいスープはこの「ゴゥオーッ」が出てこなければ、本当ではない。
尾道ラーメンのようなミンチを揚げたヤツも乗り、あいかわらずのチャーシュウも激ウマだ。
ウマい!キレキレですよっ。
ガツンと脳にキタ。
平均的なアヴェレージでなく、替えの効かない個を前面に押し出した味だ。
オンリーワンヌッ。
ウマいというより、コワいという感じに近い。
オキナワの海にもぐったり、原生林に入るとコワいという感覚におそわれるでしょ?
あんなコワさだ。
なんでも、一条様が初めてつくった原点のラーメンだそうだ(正確には2作目のラーメンらしい)。
どうりでプリミティブなわけだ。
当時このラーメンは、民衆にはうけいれてもらえなかったそうな・・・
で、完食。ものすごいスピードでたいらげてしまった。
やっぱ一条様はスゲェーや。
スープもぜんぶ飲んじゃった(しょっぺーけど)
完全にKO負けだ。
修正力と言うんですか?
シーソーの真ん中に立ってバランスを保つ力の事、的なBABY。
新天地で、わずか数ヶ月でもどしてきた。
レッドソックスの松坂投手ばりですねぇ〜
どうも一条様の事となると、コーフンして文が長くなってしまうが、長いついでにもう少し。
アタシが一条様のラーメンと出会ったのは、2001年春。確か、西早稲田の時代だ。
みやびつけめんという名のラーメンつけめんだった(ふつうの塩ラーメン+つけめんのつけ汁)。
初めて食べる食べ物で、当時とてつもない衝撃を食らったのを今でもハッキリおぼえてます。
それは、もうアートの域まで達していた。(引っ越しやじゃナイでぇ〜っ)
以来アタシは一条様にかぶれ続けている。
後日このラーメンの事を話すと、ぜんぜんおぼえていないとのことだった。
あまりにいろんなラーメンを発表してるため、過去のレシピとか、ほとんど忘れてしまうらしい。
恐るべし、それも含めて一条流。
最近ちまたでは、ものすごい勢いでつけめんの新店を見かける(東京近郊)。
いちよアタシも食うが、つけめんの欠点は、最初の一口目はやたらウマいが、後半つけ汁が冷めて、味もうすくなり、だんだんダレてくる。
ラーメンつけめんは、それがなく一杯で二度おいしい。
本人は、そんなササイなことは、忘れてしまってるだども、ラーメンつけめんは一条様が発明したのだ。
これが、どうしても言いたかった。あ〜スッキリした。
いつかまた、あのラーメンつけめんをもう一度思い切りすすれる日を、楽しみに待ってます。
ファンレターのようになってしまった。
By The Way
BGMは、プレイヤーのBABY COME BACK、U2のアンフォゲッタブルファイア。
2曲続けてお願いします。っつっってーっ!
宗家一条流がんこラーメン(宗家)
新作醤油ラーメン(ニューコッテリ750円)
サンシャイン通り近く
11:30〜スープなくなるまで
休み スープ出来の悪い日
席 5席
悲しいお知らせ
第一回で書いた栄家が、このたび四十年目にして閉店となりました。
あのラーメンとかつ丼が2度と食えないと思うと、悲しくて悲しくてとてもやりきれない。まだ信じたくない、夏。
そして、一条様の昔の弟子の銀座の名店 勇 も、体調不良とのことで、この夏閉店となりました。
琥珀色に煌めく東京屈指の塩ラーメンが、夜空に消えた。
あ〜もったいない〜〜〜っ。
無常を感じます。
こころして、一麺一麺大切にすすります。
エイ麺
それとロックンロール・ニュース、リニューアルおめでとうございます。
遅くなって、ご麺ね。
第1回「くまなく すする」はコチラから。
第2回「元祖一条流がんこ総本家」はコチラから。































