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レギュラーコラム 長澤一浩

[2005年11月14日]
第3回「ラーメン二郎三田本店」

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「ちわっす。」

「二郎 久々行ってきやした。」

「坂上じゃないっす。」

「三田二郎っす。」

「自分まだアレなんで ・・・小豚っす。」

「アニキ、大豚Wっすか? すげぇ。」

「マジ無理っす。」

「かーんべんして下さいよー。」

「うっす。」

「自分 うっす。」

「イヤ、うっす。」

「そーす。」

「うぃーす。」


男子は、大変ですなあ。

こうして、モロモロを飲み込み大人になっていくのでしょう。


 ここ二郎では、大豚Wを食う者が、絶対優位者であり、小豚などでハシャいでるアタシは、ぺーのぺーのぺーのど三ピンなのです。(小豚600円と言えども、麺270gあり、コロッケくらいの大きさの煮豚が5枚も乗る。まず、初心者には,完食は無理さ。)

 残して帰る男子を、ここでは腰抜けと呼ぶ。

 腰抜けと呼ばれないためには、朝起きた瞬間から、スイッチをONにしなければイケない。

 前へ前へ進めだ。ダッシュ!ダッシュ!アクティブ!アクティブ!

 ためいきなど、もっての他だ。

 自分はティラノザウルスの化身だ。くらいのテンションをキープして家を出よう。11時位が狙いめ。


 JR田町駅から慶応大学の正門に向かって歩き、すぐそばの三角ビルに黄色い看板の出ている所が二郎三田本店です。しばらく待って、席に案内された。

 左隣に黒Tシャツに黒メガネのデブが、座っていた。幅を取られ肘をたたまねばならず、ちょっとイラッとした。そういう気持ちは、すぐ伝わるもんで、向こうも、巨漢のアタシに勝手に対抗心を燃やし、すでに気持ちがファイトポーズになっているのが、伝わってきた。

ひまで、あたしが携帯を開けてメールチェックしていると、デブも負けじと携帯を取り出している.メンドくせーっ!


 普段 早稲田のがんこラーメンを行きつけにしてるアタシは、慶応の二郎になんとなくアウェー感を抱いていた。これが、イケなかった。弱気になっていた。

 オヤッさんは、いつもとかわりなくニコニコしながら、麺を揚げながら、「はいっ、小!」 「はいっ、大!」と言っている.(麺の量の事だ。)

 そして隣のデブの方を向いて「はいっ、小豚!」と言うと、デブはものすごい早口で「ヤサイ、カラメ、ニンニク、アブラ!」と言って悦に入った顔をしている。(無料トッピングの増量の省略形の事だ。)

 何もそんな顔しなくてもいーだろうがデブがー!とデブに気を取られてたら、「はいっ、小豚!」シマッた。アタシの番だった。「あ・・・う・・・」もう遅い。

 「にんにくは、いれますか?」オヤッさんが、優しい笑顔で子供に聞くように聞いてきた。これは、初心者に対してオヤッさんが、トッピングとかわからないだろうから、ニンニク入れるかどうかだけ教えてねの意味なのである。

 つまり、初心者のらく印を押されることであり、この店では、屈辱以外の何者でもない、アウツ。

 隣のデブが、メガネを中指で少し上にあげアタシをチラ見した。顔から炎が出るほど恥ずかしかった。泣きそうになった。


 で、出てきた。わかっていたがものすごいボリュームだ。

「おチンチンついてるんでしょ?」オヤッさんの笑顔がそう言っているように感じる。ヒルむさ、実際!とぼけた顔してBABABABANだぜ!デブはもう食らいついてる。


 まず上に乗ってる野菜(キャベツ、もやし)からやっつけていく。なかなか麺にたどり着けず、この時点でかなりアゴが疲れている。

 やっと麺だ。そーだイイぞこの太い麺だ。いい粉だ。甘いスープとの相性も格別だ。タレの味もスープのコクもどの二郎より深い。当たり前だ。継ぎ足し、継ぎ足し、寸胴自体が旨味ダシになっているに違いない。などと思いながら、すする、すする、ワシワシすする

 味わっているひまなどない。ワシワシ、ワシワシ。豚をほおばるが、一向に減らない.だんだん罰を受けているような気持ちになる。苦しいぜBaby! しかし、前へ前へ。千本ノックを受けてるみたい、もっとーっ、もっとーっ!


 ランニングとか苦しいの我慢して耐えていると脳内モルヒネが分泌して気持ち良くなっちゃって、後は楽々走れるようになるんだって、よくできてるなあ。


 あっ、デブが食い終えて、スープまで飲んでる。またチラ見した。っつうかお前もうヤダ。ぞうきんでテーブルまで拭いて、丼を上げてる。鼻で笑ったような気がしたが、んな事、どうでもいいや。気持ち良くなってきた。ワシワシ、ノッてきたぜ!第4コーナーを回って、ディープインパクト、ディープインパクト、ディープインパクトが先頭!


 時間の感覚が無くなっちゃった、みんな豚に見えてきた。あら?知らない間に食べ終わりそうだよ。ちょっとさみしい。ゴールを超えても魂だけが、身体を抜け出して永遠への招待を授かる。それは、Stairway To Heaven・・・

 ジムでランニングマシーンから降りた直後、実際には、歩いてるのに、床が逆走しているように感じるので魂は、走ったまんま、現実の世界へ着陸。でも走っていたさは、そのまんまここにあるミタイナ。

 その感覚は、一週間ほど続き、胃袋はデカくなって、満足感がブレてしまってるから、よっぽどウマいもんでも食わないと、昼飯を2回3回食うはめになる。

 デブまっしぐらである。

 そして、呼び覚まされたティラノサウルスを鎮めるには、ここの二郎しかない。

 他の誰でもダメさ、君じゃなきゃダメさ。(コール)

 これが、二郎が危険なラーメンと言われるゆえんである。とってもリスキー。

 ウマ過ぎ、安過ぎ、ボリュームあり過ぎ、過ぎる事には、必ず毒があるのさ。美し過ぎ、etc・・・

 アタシはこの二郎とあのがんこに見事にはまり、10Kg以上太りました。


 ここは、ラーメン魔境の一丁目、帰還なるか?メンテナー今のこの姿は、レイジング・ブルのデ・ニーロなんだと自分に言い聞かせています。戻れなくなった人をたくさん知ってます。現在85Kg・・・十分デブだ。


 でもLove&Peace&Togethernessだからね。

 ニキビと二郎は青春の証、アブラ、アブラカタブラ・・・

 いつの日か・・・大豚Wやっつけたるでーっ!

 ほんまやでー

 BGMはオリジナル・ラヴのXLティラノザウルスでお願いします。っつってーっ!


「ラーメン二郎三田本店」

営業時間:10時から16時くらい

定休日:日、祝日

カウンター15席


人間・長澤一浩(メンテナー)