[2006年11月07日]
vol.36『文字というカタチ』
「うわ〜なんだったけ? この文字見た事あるんだけどな〜」
「読めないって保証するぜ、だってこの文字オレが作ったんだから」
「えっ、そうなんすか? またまた〜。冗談でしょ?」
先輩がボクに渡したメモ紙に書かれていたのは、立心偏(りっしんべん)の右に『友』の1文字。
「ありそうだけどないんだわな〜この文字。親友って読むんだぜ。まぁ、B-BOYっぽく言えば『マイメン』ってやつ? YO!ドゥユワナセ〜ン(Do you know what I am saing)?」
立心偏は心を表す象形文字。それに友を組み合わせることにより心の友、つまり親友というわけだ。
「いいか、よく聞け。心を真ん中で受け止めるのが『愛』。人を良くするのが『食』。心を亡くすのが『忙』だ。」
愛は与えるものでなく受けるもの。食事は楽しいが一人では淋しい。普段から忙しいと口にする人間を見ていると、やはり心ここにあらずな雰囲気を持っているのを否めない。普段当たり前に使っている漢字にもそれぞれ意味があり納得できるものである。
「女を3つ書けば何と読む?」
『姦』である。
かしましい、わるもの、みだらを表すが、先輩の見解はどうやら違うようだ。
「よく分かんないっすけど、強姦とか、和姦とかとにかく性行為の事っすよね?」
「ぶ〜。NO,NO.不正解だな。オレに読ませりゃ『ハーレム』だね。がはは〜」
実際女にちなんだ文字には、妨、嫌、奴、嫉妬など良い解釈の文字が少ない気がするが、この場合先輩の誇大妄想である。
どうでもいいが、TVディレクターである伊奈かっぺい氏は、あらゆる漢字の右上に小さく青森県の形を乗せることにより、津軽弁を表していた。
ちなみに妄想とは、亡+女=妄で、女を亡くすこと、つまりみだら。相+心=想は、心をみること。つまり想像。結局は、みだらな考えで、ねもない想像。心を乱すいろいろの思い。邪念。雑念。
「中国三千年の歴史を変えるのは、このオレなのかもな〜。だろだろ?」
じゃ、ボクも「森の下に3つ木を足して『ジャングル』」なんてどうっすか?
「深みとコクがない!! もっと人生の荒波にもまれてきなさい」
・
・
・
・
・
なんてのは作り話ですが、先輩の場合『夢』と書いて『セカイセイフク』。
ボクの場合スタイリストだけに『服』と書いて『タカハシ』と読む。
そんなバカな! な話が実際あるから驚きだ。
大日本タイポ組合のお二人は、本来の文字に新たな意味を吹き込む達人。
画像にある『服』だって、一つ一つパーツを分解してよ〜く見ると『タカハシ』に。
受験勉強中に同じ文字を何度も書いていると、当たり前に感じていたこの文字って実はこんな形だったっけ? って誰でも一度は経験したことがあるあの感じを利用ているわけですな。
文字を形として捉え、別の意味を吹き込むなんてとても粋です。
先日、先輩からご褒美として頂いた『服』と書いて『タカハシ』と読むハンコをいただきました。かねてからのお願いだったので、すっげ〜ウレしい!
って、ん? 待てよ? よく見ると月偏の中月の中にある横線が1本しかないじゃんか! これじゃ『服』って読めないっすよ! あっ、そうか。まだまだ半人前ということですね。そういうことか〜。なら納得。そのメッセージ、しかと受け止めました!

大日本タイポ組合
塚田哲也と秀親の2人で1993年に結成。日本語やアルファベットなどの文字を解体し、組合せ、再構築することによって、新しい文字の概念を探る実験的タイポグラフィ集団。ロンドン、東京での個展、バルセロナや東京での企画展に参加。2003年には、バルセロナ(スペイン)で設立10周年記念の展示会を開催し、同時に作品集「TYPE CARD PLAY BOOK」も出版。
高橋(ジェラシー)毅/スタイリスト
髪型を2ブロックにしました。ボクの中で今80’sがめっちゃブームです。































