[2005年10月05日]
vol.31『トラサン・ネヴァ・ダイ!!』

先日までたっぷり緑をためていた街路樹もようやく秋の装いを始めて、四季を感じる。
朝10:00 in 新宿。都庁そば。
仕事の用事で道ばたに車を止めてたばこをくゆらせて、朝の気持ちよい空気を吸い込んでいた時、それは起きた。
きちんと着こなされたセットアップのスーツがさわやかな青年がこちらに向かって歩いてくる。
駐車違反の取り締まりだと思い、急いでエンジンをかけたがどうやら違うようだ。その青年はボクに向かってこう言った
「え〜お忙しいところすみません。あのですね〜私、浅草の方で問屋やってる者なんですけど、今在庫を抱えて困ってる商品があるんですよ。もし良かったら見ていただけますか?」
はぁ? なんのこっちゃ? 用事までは時間があるのでとりあえず聞こう。
青年は腰にはめたウエストポーチからおもむろにシルバーと黒のコントラストがおしゃれなおもむきのペンケースのようなものを出した。
「こういうものがあるんすけど、買ってくれまんか? お願いしま〜す!!」
深々と頭をさげながら言ってくる。どうしよう。
「すごいでしょ? ぱたぱたって左右が入れ替わるんすよ? 電卓だけかと思いきや、シルバーのペンまでついちゃって!! くぅ〜!!」そのくらい見たら分かるがそこまでのテンションで話すような代物か?。
「普段はお店で3000円で出してる物なんですけど〜、安く提供させていただきやすか
らっ!! お願いしま〜す!!」
ねるとんパーティで告白する男子のようにこちらに手を差しのべて頭をさげている。
そしてやたらと高いテンションにボクは戸惑った。青年は続けて例のポーチから、こんな大きいのどうやって入れてたの? という程の大きさの六角形の箱を見せて来た。
「フタをとって開いてみて下さいよっ!!」
言われるままに従ってみた。すると、フタをとったその箱にはクレヨン、水彩顔料、ペン、クーピーがメイクボックスのようで重箱みたく陳列されており、それぞれの段がくじゃくの羽のようにぐわっと広がった。そして開いたと同時にその青年は『じゃ〜〜〜〜ん!!!!』と意味のない効果音まで付けてきた。
「こちらも普段4000円で出してる物でしてね、この2つで1100円!!!!!!!!!! いかがっ
しょ?」
かぁ〜、NHKの受信料や、新聞の勧誘のおじさんとか苦手なボクには困った事態だ。断るのが苦手なので悪い事してないのにドキドキしている。どうしよう。。。
「って言われても別に欲しい物じゃないし…」
「ええいっ分かった!! 1000円でどうだ!! もってけドロボー!!」
“ポキッ!!”心の芯が折れた音がした瞬間、もう言っていた。
「よし、買った!!!!」
「まじっすか?!」
えっ? 『まじっすか?!』ってどういうこと? 万引きして来たのコレ? そういえば名刺とか見せてもらってないし、この人がはたして本当に浅草の問屋の青年なのかも分からない。分かるのはこの事実だけだ。不安がいっぱいでボクの心臓は再びバクバクしてきた。
その心境を察したのか、ここだ!! とばかりにすかさずもう1セット出して来て
「今なら2セットで2000円でどうだ!!!!!!!!! やるな〜、ラッキ〜だなぁ〜。いよっ!!」
ふぅ。まずは深呼吸。
「ふ、ふたつはいらねぇっす」
「ですよね〜、ははは……。じゃ、1セット1000円です!!!!!」
気がついたらそのアイテムはボクの膝の上にあった。
「ありゃ〜ざ〜す!!」
ん? 『ありゃ〜ざ〜す!!』って? 行商人だったのかよ!! 人助けだと思ってたのに……。やっぱ東京って恐い。
ちなみにその電卓付きペンケースはボクのアシスタントに引き継がれた。そしてお絵描きボックスはボクのお部屋の雰囲気にそぐわずに妙なテンションを放ちながら机の上に置かれている。

高橋(ジェラシー)毅/スタイリスト
先日ゲイバーで大泣きしてしまいました………。あの日の出来事は一生忘れないでしょう。http://www.jealousy.jp
<近況告知>
『MY MOLESKINE 2005展』とエキシビジョンに参加してます。
期間:2005年10月1日〜31日
会場:Aoyama Book Center 青山本店/LIBRO 青山店/Nadiff /Tower Record渋谷店7階書籍売場/Tsutaya Tokyo Roppongi
http://www.moleskine.co.jp/
ボクは青山ブックセンター青山本店として登場です。































