ロックンロールニュース


レギュラーコラム 高橋毅

[2004年12月07日]
vol.25

 
気持ちひとつでご機嫌度はUPするものである。それは何がきっかけでも構わない。ボクの場合、それは靴下。折り返し部分に入ったクロスしたラケット模様の靴下。


 “もうお前しか見えない”by 尾崎豊。もしくは山口智子と吉田栄作主演のドラマ“もう誰も愛せない”ばりのTennis addict。
ボクはテニス中毒者。暇さえあればテニス。早朝でも深夜でもテニスする。なぜって? それはそこにコートがあるからさ。打ち合わせの最中でも、うちわを仰ぐかの如く手元はぱたぱたと素振りの練習。
女王シャラポアの写真を見ても、胸元お宝ポッチーショットなんかそっちのけで、フォームに目が行ってしまう始末。自分でもうざいほどのテニス中毒っぷり。
 「ピカチュウ」しかり“テニチュウ”。「せかちゅう」でも可。ボクは「テニチュウ」末期患者。『助けて下さい!!』


 様々な雑誌でスタイリストが紹介されている文章で、よくこんな言葉を見かける。
 “小物が得意なスタイリスト”。
 これはいかがなものだろう。“洋服のスタイリングはもちろん”という前置きが欲しいところだ。これでは“洋服はだめだが小物が得意”と捉えられてしまう。
 だが、スタイリングの言葉としてこんな言葉がある。
 “おしゃれは足元から”
 洋服はもちろん、足元にも細心の注意を払う。みんなに当てはまる事だが、スタイリストとしては当然の事だ。靴はもちろん、靴下までもコーディネートできてこそ一流のスタイリストだ。“細部にまで贅を尽くす”のである。
 テニチュウなボクは、遂にテニスルックでのセルフスタイリングにまで手を出してしまうはめに…。
 それはある靴下との出会いから始まった。
 渋谷のテニスショップで見つけた、かかとの折り返し部分に入ったクロスしたラケット模様の靴下。コレがなぜだかボクのハートをむぎゅっとわしづかみした。
 以来、コート上では常にキャメラを向けられている意識が働く。『みんな〜、今ボクこんなキャワいい靴下はいてるんだぞ〜!! LOOOOOK!!!!!』


 ばつんっ、ピーピーピー。露出を合わせるフォトグラファーと、ホリゾント前に立つボク。
「OKで〜す」スタジオマンがキャメラマンに向かって叫んだ。
「はい、じゃぁポラね」
キャメラを向けられたボクは、ここぞとばかりに靴下がよりカワいく見える方向を向き、雰囲気たっぷりにけだるいポージング。
………バシッ!! ネットすれすれに相手のナイスショットが股間に……。いてぇよバカ!! そっか、ここは神聖なるテニスコートの上なんだ。ってこんな話が実際あるから我ながら寒い……。全部靴下のせいだ。
 ダブルスでの前衛、サーブのトスを上げた時、スマッシュを打つ時のボールが落ちてくるまでの間、後ろの人の視線を浴びて靴下が輝く瞬間だ。スタイリング冥利に尽きる贅沢なひととき。
 先日そのショップへ行き、グロス(まとめ)買いした。とにかくコレをはいているとご機嫌でしかたないのだからしょうがない。うまいか下手かなんて二の次なのさ。


 
WINDSORラケットショップオリジナルの靴下。
3Pで1000円くらい。
http://www.windsorracket.co.jp/


高橋(ジェラシー)毅 / スタイリスト
テニスやり過ぎで手に何個もマメができた。繊細な洋服を扱う時には、高級ジュエリーショップの店員ばりに、細身で白いあの手袋しなきゃならん状況だ。