[2004年03月12日]
vol.16 ポキっと折れた芯とボクボッキ

1337年(南北朝時代)京都の巨匠・千代鶴国安が府中(現・福井県武生市)に刀剣制作の水を求め、かたわら近郷の農民のために鎌を作ったことから始まったと言われている「越前打刃物」は、打刃物業界では初めて伝統工芸品に指定されたもの。この技術のもとに作られた鉛筆削りがコレ。南青山の和物インテリアショップで購入した〈プラスコラ〉。値段は500円。刃を囲う四角い枠は安全さを求めた結果。よりよく鉛筆を削りやすくするためにナイフ部分に700年の伝統を誇る『はまぐり刃』を使用。デザインされたこの鉛筆削りはグッドデザイン賞を受賞。カジュアルでポップなのにこんなに歴史とうんちくがあるなんてチェゲラしがいがありすぎです。
話は予備校時代。美術大学を目指していたボクにとって大好きな時間があった。裸婦スケッチ(クロッキー)の授業。女の人の裸を近くで見れるなんて実に素晴らしい!! とワクワクする反面、実は悲しい時間でもあった。『精通捻転』のせいである。何せこの『精通捻転』は、ギンギンに勃起している状態でしばらく放置しておくと精子の通る管がねじれてしまうことにより、下腹部に激痛が走り、歩くことはもちろん、立つこともままならなくなってしまうという病気。ボクの場合は普通に歩けるようになるまで軽く6時間は要した。ちなみに1000人に一人という確率でこういう人がいるらしい。男の中の男の持病である。ポージングが変わるごとに(クロッキー)せっせとスケッチ&スケッチしているある授業中のこと。「ポキッ!!」っとえんぴつの芯が折れた。でも代わりのえんぴつがない…。カッター出して急いで削らないと!! 「サクッ…」手を切った。隣の女子に『えんぴつかして、んでもってバンドエイドちょうだい』なんて言いずらい。お願いをされた側も下半身のチェックをするなんてまず思わないが、勃起している本人にしてみれば「やばい!! 今このタイミングだとこの娘にカチンコチンになっているのがバレる。」といった具合に全てがそういうフィルターにチェンジしてしまう。しかも当時のボクにはすぐ勃起してしまうという男っぽい面があったのだ。だってそんな真面目な状況でカチンコチンになっているなんて思わないでしょ? 普通。
立場的に家では隅っこしかいられなく、道も真ん中は歩けない予備校時代。なるべくなら記憶から抹消したい一年間なので、授業中の想い出はこのくらいしかないが、精通捻転という爆弾を抱えながらもボクは1浪して憧れの大学に入学できた……。
このアイテムは、そんな淡い思い出に浸りながら、にんまりしただらしない顔をして購入した。

高橋(ジェラシー)毅 / スタイリスト
先日チェゲったMBJ(メキシカン・ジャンピング・ビーンズ)がめでたく孵化!! おぞましい姿にビビってガムテープでぐるぐる巻きにして捨てました。あぁ〜、思い出しただけでもぞっとする…。
[2004年03月08日]
vol.15 検疫

これを購入するまでは、こんな言葉を気にした事もなかった。
売春が横行している今、玄人よりむしろ素人の方が危ない!? ってそれは検診か?
なんてまぁいいとして、外国から輸入してくるものに害虫や病原菌がついていないかチェックする。つまり安全かどうか調べることが『検疫』なのです。
先日仕事の用事でとあるショップへ立ち寄った。いつもの要領でレジ前に借りるための洋服を持って行き、店長と世間話で盛り上がっている最中『カラッ、カラッ、カラカラッ、カラッ!!』とそのシチュエーションでは想像もできない音が聞こえてきた。音の正体はレジの横に置いてある、アクリルケースに入っている豆。3センチ立方程のケースそれぞれに豆が6個入っているものが小さな段ボールの箱にずらりと並んでいた。でもなんで豆からこんな音が? 不思議に感じたボクは店長に質問。
「コレって何すか? 」
「あっ、あっ、コレですか…」
さっきまで世間話をしながらリース伝票をせっせと書いていたのと同じ人とは思えないようなレスポンス。
「えっ、メキシコから輸入していて……。」
「へぇ〜、メキシコからですか。…ですからコレは何? なんでマメが動いてるんすか?」
「えっと…中に蛾が入ってるのかなぁ、なんて…」
顔が硬直しているようだ。……、蛾? まさか!!
「が…蛾ですか? この中に? だってコレってどう見てもマメじゃないっすか?」
さらに聞いた
「じゃあコレって春になったらマメから孵化するんすか?」
「大きな声では言えないですが、まぁ、そんな感じかなぁ…なんて」
マジ? マメの中に蛾が入ってんのか?
「な、なんて名前の蛾なんすかコレ!!」
「正式な名前はちょっとアレなんだけど、あちらではちょっとした有名品で…」
相変わらずはっきりしない答えにシビレが切れた。とにかくゲットしなきゃ!! チェゲラ魂に火がついた。
「コレ下さい!! いくらですか?」
「値段ね…じゃあ1個200円ということで」
安いのか高いのか?
「8個下さい」
なぜだか8個も購入。
家に帰ってネットで検索したら、コレはどうやら〈Mexican jumping beans〉という種子で、日本名は〈メキシコトビマメ〉というらしい。メキシコ産の野草の種子に、ハマキガの1種が入ったもので、中のハマキガが動くたびに種子も連動して動く。見た目は動くはずのない種子が勝手に動きだすので、まるでポルターガイスト現象でも起きているかのような感覚に陥る。この固い種子が動くたびにアクリルのケース当たって例の『カラ、カラ』な音がするのだ。不思議でたまらなかったが、ひよこが生まれる前に殻をつつく様な行為と同じだと考えれば落ち着く。当然だが孵化するらしい。
ちなみに日本の検疫では絶対持ち込めない「輸入禁止品」と、検査を受けて合格すれば持ち込める「輸入検査品」 の2種類ある。店長がはっきり答えなかった理由はこの〈メキシカン・ジャンピング・ビーンズ〉なるプロレスの技の名前の様な不思議な種子は、どちらもNGだからなのだろう。確信犯。孵化したらどんな弊害を日本にもたらすのか、考えただけでぞっとする。触らぬ神にたたりなしである。だがもう遅い。
後日、ボクの携帯にいとこからメールが届いた。
“ちょっとお兄ちゃん!! マメから蛾が出て来たんだけど!! すっごくキモち悪いからガムテープでぐるぐるに巻いてゴミ箱に捨てたわよ!! もうあんな変なもの買わな
いでよね!! 買ってもいいけど私には絶対に渡さないでよね!!”
彼女のメールはいつも高めなテンションで文字より絵文字の方が多いのだが、一個も絵文字無し。相当グロテスクだったのだろう。そういえばあの日の夜、地方から出て来たいとこにお土産だと言って渡していたのを、ボクはすっかり忘れていた。
ちなみにボクのところにある3箱からはまだ一匹も孵化していない。
春になるのが楽しみ!? だ。
































