[2009年04月10日]
vol.82 センチメンタルな話
♪私はインチキ手廻しオルガンミュージシャン〜私はまぬけなセンチメンタルミュージッシャン〜(自テーマ曲)
自己分析など出来ないが『あなたはどんな人間か?』と問われたら「センチメンタルなんだと思います」と答えるだろう。僕はものごとを感傷的にとらえがちで、それによって気落ちしたり、せつなくなったりする事が多い。
サイドビジネスとして建築現場で日銭をかせいでいた20代の頃。あるおじさんのせつなさで、深い感傷におそわれたことがあった。ある日、現場に行くと、まったく風格のない新米現場監督がいる。どういう事情か知らないが、土工から急に抜擢されたらしいという噂。監督なのに地下足袋姿で、見た感じ普通の日雇いのおじさん。年の頃なら50代半ば、人の良さそうな顔から鼻毛が伸びている。なめられないようにと思ったのか、無理して乱暴な言葉を使いはりきっている。しかし朝からいろんな指示を間違えて、職人にからかわれていた。
昼になり、みんなてんでに弁当を買いにいった。僕は手弁当なのでお茶を買おうと販売機の方へ向かった。すると監督のおじさんがついてきた。「生コン足りんのか〜?」とひとりごとをいっている。ガチャンとお茶を買い、戻ろうとすると「あれ?弁当屋どこ?」というので「反対側ですよ」と答えた。住宅街の入りくんだ道を説明するのも面倒くさいので「あ、僕もサラダ買いにいきますから」と前を歩いていった。
弁当屋の前には、二、三人の職人がいて、口々に「俺、生姜焼き」とか「シャケ大盛りふたつね」などと注文している。おじさんも「じゃあ、ハンバーグでいいや」といった。食いもんなんかにゃこだわらねえぜ、といった感じの『でいいや』と『ハンバーグ』が結びつかない。おまけに店のおばさんがかがんだので、聞こえたかどうか怪しかった。僕の中に早くもおセンチな気持ちが湧いてきた。
職人に「監督さん、生コン追加したほうがいいべ」なんていわれながら待っていたが、ハンバーグ弁当が遅いので僕たちは先に戻った。
その現場は劣悪な環境で、メシを食える所は裸電球ひとつしかない地下。「暗いと味わかんねえなあ」なんていいながらワイワイ食べていると、おじさんが戻ってきた。「いや〜、まいったまいった。ハンバーグ通ってなかったよ」。……嗚呼、やっぱりそうか。ポツンととり残されたおじさんに「あれ、そちら何でしたっけ?」というおばさんの冷たい声が想像される。あ〜あ、と心の中で溜め息をついた時「あ〜あ〜あ〜」といっせいに職人たちの声。おじさんはフタを開けたとたんハンバーグを落としてしまったのだ。「なんだよ、せっかく待ったのにな〜」といったのは職人のほうで、おじさんは「いいや、どうせおかず食わねえから」……ウソつけ。
暗がりで素ライスを食べているおじさん。……嗚呼、センチメンタルな気分。しかし、そう思ったのは僕だけではなかった。「メシだけ食ったってうまくねえべ」と職人たちがライスの上に、次々とおかずを寄付していった。「いい、いい」といいながら、それにモソモソ箸をつけてるおじさんを見て、僕はせつなすぎて、気が滅入ってしまった。
他にも、白人系観光客の親子連れが、カメラをぶらさげ、立ち食いそば屋にいるのを見ても、センチメンタルな気分になってしまう。
末筆失礼
ライブ情報
『オグラの単身赴任ツアー2009春』〜広島、岡山編
5/23(土)
広島 ヲルガン座http://www.organ-za.com/
082-295-1553
19:00open 19:30start
¥1000+1order
出演/BEGGARS BANQUET/ごんごマンとバラ子さん/ゴトウイズミ+アコーディオン/サーカスサンズとHandin'cap/Mao
Mak Mar/★オグラ
5/24(日)
倉敷 蟲文庫http://homepage3.nifty.com/mushi-b/
086-425-8693
18:30open 19:00start
¥2000(お茶・お菓子付き)
★オグラワンマン
オグラ
(ミュージシャン)
プロフィール
1965年静岡県生まれ。高校生の時、ラジオで聴いた友部正人の歌に驚愕。1985年より「青ジャージ」というバンドで歌い始める。1992年バブル崩壊のあおりをくらい、メジャーデビュー目前にしてポシャる。青ジャージ解散。1993年「800ランプ」結成。インディーズより3枚のアルバム発表。その後、2001年800ランプ活動休止。2002年より自作の「インチキ手廻しオルガン」を廻しながら歌うスタイルでソロ活動開始。2006年2ndCD『オグラBOX 3枚組』(MIDI Creative)発表。
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