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レギュラーコラム オグラ

[2007年09月10日]
vol.58 『健診結果の話』

ogura_070910.jpg  先日受けた、区の誕生日健診結果が送られてきた。


 毎年、封を切る前に心を落ち着かせる。思いつく限り最悪の結果を考え尽くす。想像していないから悪い事が起こるんだという自論を信じている。人生には思いもよらない事ほど起こるものだ。


 肝硬変、各種ガン、糖尿病、等々…さあ、来い、どれだ? どれでも別に驚きませんよ。と封を切り、妻に見てもらう。


「えっ?」


「な、何だよ?」


「眼底検査で所見がみられます。要精密検査、緑内障疑い…だって」
 

 判定はDの2。A、B、C1、C2、C3、C4、D1、D2、Eと9段階の8番目、つまり下から二番目だ。


 眼か〜、眼とはなぁ〜。こりゃ考えてもみなかった。僕の場合、昔から目はとてもいいほうだ。今回も視力は左右ともに1.5。例えば、山の上から双眼鏡で港の豪華客船を見たとすると、デッキで手をふる御婦人が、愛人にウインクする様子まで見えてしまうのだ。


 ところで緑内障って何だ?と、調べてみると、視神経が損傷し、視野に欠損がみられる病気。失明の原因。なんて文字が踊っている。もしもそんな事になったら……恐ろしい、怖すぎる。今のうちにいろんなものをジロジロ見ておこう。まずはみる(猫)をジロジロ見た。


 とにかく近所の眼科へ行くことにした。路地を入った所にあるその病院は夕方なのに看板の電気がついてなくて、なんとなくうら淋しいたたずまい。


 大丈夫かよ?と思いつつも中へ入り、「すいませ〜ん」と言うと、受付の小窓から小さなおばあさんがぬっとのぞいた。うわっ〜と思ったが平静を装い「…あの、緑内障の疑いがありまして」と結果の用紙を見せた。するとおばあさんは「少々お待ち下さい」と小窓をぴたっと閉めた。シーンとした薄暗い待合室に妻とふたり。やっぱりここはやめとこうか?と言いかけた時、小窓があき「それでは保険証をお預かりします」と言われ、渡すとまたぴたっと閉めた。「いちいち閉める必要あるだか?」とささやいた時、また小窓があき「お電話は何番ですか?」「070の○○○○の…」「はい、わかりました」と用紙に書き、また 小窓をぴたっと閉め、中の電気をパチパチッと消した。


え? 店じまい?。


 少しの間があり、ドアからおばあさんが出てきた。「それでは中へお入り下さい」「…あの、今から検査してもらえるんですか?」「はい、そうです。」


 診察室の中は真っっっ暗。真ん中の机に灯りがぼ〜っとともっていて、そこに白髪の老人が白衣を着て座っている。間違いないマッドサイエンティストだ。


 検査結果の用紙をもとに2、3の質問をされ、「じゃあ、眼の麻酔しますから」と言い茶色いビンのふたを回しながら僕の眼に手をのばした。僕は思わず医者の手を払い「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと〜、麻酔って眼に注射?」ときいた。すると医者は「液体だから大丈夫。やっぱり麻酔しないとね、直接、眼に器械あてて調べますから」と言う。『???!眼に器械あてるって何だよ〜』と頭の中がパニックになり、近づく医者からつんのめるようにして逃げていると、おばあさんに後頭部を押さえつけられた。「怖くないからリラックスしてね」と言われたが、この状況でそれは無理だろう。


 僕がビビっているのを理解した医者は、検査の方法などを細かく説明しだした。大きな病院でもみんなこの方法がとられている事や、少ししみるぐらいで痛みはないという事などを聞き、ようやく覚悟を決めた。


 麻酔は目薬をさす要領で、本当に痛みはなかった。器械のほうはやはり怖かったが、何回かよけ、おばあさんに後頭部を押さえつけられ、しているうちにだんだん慣れていった。あとは医者が直接、眼を診て検査は終わった。


 結果は緑内障の疑いはみられないという事で一安心。不気味なムードであったが、どうやら専用の個室がないため、部屋全体を暗くしたと思われた。


 それにしても、真っ暗な中、何度も結果用紙を見るのだが、手元のスタンドをつけてくれないので困る。ぼ〜っとした器械の灯りをたよりに「まあ、これ見ると、あなたの場合…眼圧の数値もねえ…問題ないし…あれ? ここにエンピツでなんか書いてあるなあ?…これは向こうの先生が書いたのかな?」と言い、虫眼鏡みたいなので、じ〜っとのぞき込んでいる。


あ、先生、それは僕が落書きしたニャロメです。


末筆失礼


オグラのヒミツ vol.57 『パトカーの話』はコチラから。
4コマ漫画 たじゃれアニマル はコチラから。


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