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レギュラーコラム オグラ

[2007年08月10日]
vol.57 『パトカーの話』

ogura_070810.jpg 夕暮れ、家に帰る道でパトカーとすれ違った。なぜか違和感を感じてよく見てみると、普通のおじさんが運転している。おじさんは髪の毛をぺったりと油でなでつけ、チェックの、ベストと呼ぶにはあまりにもチョッキを着ている。そして助手席にはまったく同じチョッキを着こんだ、これまた普通のおばさんが座っている。


「な、なんだ?」立ち尽くす僕の前を、めおとパトカーは、す〜っと通り過ぎる。


 あれかな? 町内でよく回ってる地域の防犯パトカーか? でも、見送るその車体後部にはしっかり『警視庁』とペイントされている。パトランプも青ではなく赤だ。


「なんだったんだ…?」たくさんのクエスチョンマークを枕にいたし、その日は眠った。


閑話休題。


 今、インチキ手廻しオルガン3号機の製作にとりかかっている。秋のツアーに備え、もう少し小振りで、ちょっとだけ進化したのを作ろうと企んでいる。身近な目標がないと憂鬱な事ばかり考えてしまうので、秋葉原へ行ったり、図書館へ行ったり、ホームセンターへ行ったりと、毎日を忙しく過ごしている。


 今日もホームセンターへ糸ノコを買いに行った。レジで並んでいると、客の男が大声で怒鳴っている。なだめる店員に囲まれて「そーでしょう? おかしいじゃないですか? こんな奴、クビだ! 今すぐクビにしろ〜!」と、たいへんな剣幕だ。


 聞こえてくる会話から推測すると…。客の男が洗剤かなんかを見ていた所、店員が商品を補充したので値札が見えなくなった。今、吟味してるから。と言ったがしばらくしてまた同じことをした。これは完全に意地悪で、人を小馬鹿にしている。しかも、こんなに怒っているのに、この店員はまだニヤニヤしているじゃないか。で、「こんな奴、クビだ〜」…と多分こんなことだと思う。


 帰り道、自転車をこぎながら『それにしても、随分怒ってたなあ、あのおじさん。あれじゃあ、しばらく気がおさまんないんじゃないか?』と、思ったその時! 『あ〜〜〜〜っ! あのおじさんもしかして…?』


 …ガラガラ〜「ただいま〜っっっっ!」 「あれまあ、どうしたんです? そんなに怒って」 「まったく、なんなんだあの店員は〜! 」 「ちょっとあなた、落ち着いて。水を一杯お飲みなさい」 「ああ、スマン。いやね、訳を話せばこういう事なんだよ…………」 「………へ〜、そうですか、それは災難でしたねえ。でもまあ、違う店員はわかってくれたんだし、そんなに怒ると、毛が抜けますよ」 「いや、まあ、そりゃそうだけど。……でね、あんまりむしゃくしゃしたんで、止めてあったパトカー盗んできちゃった。」 「え〜〜〜っ? 」


 何て事をしてくれたんですか。と奥さんからさんざん小言をいわれたおじさん。とにかく返しに行きましょう。という事になり、「たぶん今夜は帰れないでしょう。いくら夏とはいえ冷えるといけませんから、このチョッキを着ていって下さい。」 「お〜、これは懐かしい。お前が昔編んでくれた、ペアルックのチョッキじゃないか」 「そうですよ、懐かしいからあたしも着てきましょうかねえ」 「ああ、そうしなさい。じゃあエンジンかけるから…」


 そして、あの夕暮れの場面へつながっていく。絶対そうだ、間違いねえ。…あれ? でも、パトカーを見たのは昨日、ホームセンターは今日。時間軸がおかしいぞ。……だったら一体、あのパトカーはなんだったんだ…?


末筆失礼


【共演者募集!】今秋、10/6(土)大阪ヒポポタマスでの共演者を募集します。 大阪近辺の方、一緒にライブやりませんか? 血の通った音楽なら ジャンル問わず。気軽にオグラメールまでご連絡下さいませ。ogurarara@dk.pdx.ne.jp


vol.56 『憂鬱の話』はコチラから。


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