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レギュラーコラム オグラ

[2007年02月13日]
vol.50 『クス玉の話(後半)』


 なんでもちょっとした催し物があり、売っている所がわからないので、自分で作ってみたという。


 しかし、「ヒモをどうつけたらいいのかわからず、結局自分の感じで作ったが、ほんとにあれでよかったのか、今でも少し気になる」という。じゃあ開かなかったのかというとそーじゃなくて、「開いたのだが、もっとパカッとしたかった」という。その借りてきたクス玉はどうなっていたかと僕に聞くので、「う〜ん、昔のことでよく憶えてないけど、結構シンプルだったような気が……」なんて感じで、クス玉問題は始まった。


 まず、吊るすヒモと引っ張るヒモだけでは開かないんじゃないか。というわけで、開いた時にパカッとさせるために半球にもそれぞれヒモをつけて……。


「でも、ヒモが外にあるとかっこ悪くない?」


「じゃあ、中につけよう」


「だけど、開いた時に見えちゃうよ」


「え? どーゆーこと? 描いてみてよ……」


「だから、こことここで引っ張ると、真ん中にピーンって……」


「だったら、もっと内側につければ?」


「それだと、開かないんだよ」


「あ! いいこと考えた! ここに滑車をつけて……」


「なるほど、滑車か!」


「いや、それは大げさだよ」


「ちょっと待って、そもそも、そんなにヒモがいる?」


「どーゆーこと?」


「この部分だけで……」


「なるほど、半球どうしをとめてるとこでパカッっとさせるのか」


「どーやって?」


「だから、この部分をゴムで作ればいいんじゃないの?」


「どーゆーことよ?」


「閉じる時にぎゅ〜ってやって……」


「それだと、このがわをかなり厚くしないと……」


「そーじゃなくて、ヒトの足みたいなもんじゃないの?」


「なにそれ?」


「例えばこっちとこっちを30度、30度だとして、これをパッと……」


「なんで足にしちゃうのよ?」


「インターネットで調べようか?」


「それじゃあ、つまんねー」


「自分たちでなんとか……」


「だから、やっぱり滑車を……」


「滑車なんかついてないっつーの!」


 あーでもない、こーでもないと言いながら、そこの店主を巻き込んで議論はさらに白熱し、みんなの酔いもまわってきたところで、中のひとりが全員をたしなめた。

「ちょっと待ってよ! あたし、本音をいわせてもらえれば……」


「本音ってなんだよ?」


「ここと、ここだけで、きれーにパカッといけば……いいなと……」


「いいなと……なに?」


「……思うよ」


全員「だ〜か〜ら〜! それはみんな思うんだよ!」


 パカッとした半月の夜……だったかどうかは知らないが、結局、4時まで呑んでしまった。


末筆失礼

[2007年02月01日]
vol.49 『クス玉の話(前半)』

 
 先日、打ち上げで、ひとつの問題が浮上した。


 クス玉問題である。


 今年初のライブが終わり、かるく呑もうってことになり、なじみの店へ行った。すると、久しぶりの友達が偶然現れたりして、ちょっとした昔話になった。


 20代の後半、僕はステージの演出にクス玉を使った事がある。『ゆうべおそく月の中に』という壮大なワルツの曲でライブを締めくくろうと思っていた僕は、最後にちょっとしたユーモアをたくらんだ。
 曲のエンディングでテンポがどんどん加速して行く中、ピアノのリフとともにベースラインが上がっていって、飽和点に達した刹那「じゃっ! じゃっ! じゃ〜ん!」と終えんを迎え、ドラムロールだけが残るという緊張感あふれるアレンジ。


 その最後のドラムロールが鳴る中、やわら、ふところからピストルを取り出し構えるオグラ……。見ると、いつの間に吊ってあったのか、ベーシストの頭上にクス玉が……。ドラムロールが終わる瞬間にピストル、バ〜ン! ベーシストがヒモを引きクス玉、パカッ! 中から紙吹雪とともに『おしまい』と書かれた垂れ幕、ぺろりっ。


 お〜、なかなかいいじゃない、せっかく月の歌だし、お客もクスっとするだろう。というわけで、さて、そのクス玉をどうしようか? と。 買うか? と。 でもこんな事は一回やるからいいんであり、何度も使うもんじゃない。だったら借りよう、って事になり、リース屋さんに電話した。幸いイベント用のクス玉を扱っていて、当日のリハーサルまでに届けてくれるという。


 よーし、じゃあ張り切っていってみよう、と本番当日ライブハウスに行くと、クス玉が届いた。「サインお願いしまーす」といいながら運ばれてきた商品は、身の丈3メートルはあろうかという大クス玉。ま、まずい、新幹線が開通してしまう。イベント用ってこーゆー事か、しまった! でかすぎたんだ!


 僕の失敗は、なぜかでかすぎる事が多い。


 実際に吊り下げてみると、それはもう、物体であり、金色に輝きながら自己を主張している。今さらどうしようもないので使う事にしたが、会場入りしてきたお客が、まず目にとめるのはそのクス玉である。


 楽屋で耳をすましていると「な〜に、あれ?」などと人々がざわめいている。中には「最後に割るんだよ、きっと」なんていう声も聞こえてくる。……あ、それ、あんまり言わないでね。と思いながらステージに出ていった。腫れものにさわるように、そのクス玉の事には一切触れず演奏をつづけた。


 そして、最後、バ〜ン! パカッ! ぺろりっ。


「あ〜あ」お客さん苦笑い。


 ……と思いきや意外にも喜んでくれた……ように記憶している。『おしまい』の垂れ幕がきいたのか、それとも、気の毒な奴らに見えたのか、どっちにしろ、あん時は気ぃ使わしちゃって失礼した。


 で、長くなってしまったが、ここで本題。そんな懐かしい話をしながらみんなで呑んでいると、ひとりが「あたし、こないだクス玉作ったよ」という。


(つづく)