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レギュラーコラム オグラ

[2006年11月02日]
vol.46 たいやきの話

『オグラの出産』ライブも無事終わり、気の抜けた日々を過ごしている、バカボンのパパと同い年、41歳の秋……歳をとったものだ。


最近、タバコをやめたせいか、味覚が変わってきた。ライブの前にひどい大風邪をひき、ノドの激痛がつづいたのでそのままやめていた。


幼い頃からチョコレートが嫌いで、今日まで甘味など口にしなかったが、近頃はやれ、栗饅頭だ、うぐいす餅だ、と買って来ちゃあ、お茶をすすっている。

よく聞く話が自分の中にも起こっている。しかし、本当は味覚が変わったんじゃなくて、よく聞く話を無意識になぞってるだけじゃないかという気もしている…。


先日、近所にたいやき屋ができた。こざっぱりとした店のつくりに若い店員が3、4人。看板には『ゆかいなたいやき屋』と書いてある。鉄板の前には真面目そうな顔つきのたいやきがならんでいる。フォフォフォフォ、ではその愉快で真面目な味を食してみようか?と中へ入った。


「あんことクリーム2つ下さい」というと、レジの男子店員が「ハイ、少々お待ち下さい」といったきり動かない。「…あの〜、いくら?」と聞くと「あ、ハイ、○○円です。少々お待ち下さい」という。 横の女子店員を見るとトロトロ粉をかき混ぜはじめた。…まさか、今から焼くだか?。


『え〜?! 目の前にあるからいいじゃん』『どーせ持って帰るあいだに冷めちゃうだろ』『だいち、こちとら、猫舌なんだから、熱々よりも冷め冷めだい!』と頭ん中で叫び、じゃあやっぱりいいです。と断ろうと思ったが、たいやきを食いたいなんて思うのは何年ぶりの事。愉快で真面目な味は食してみたい。でも待つのは嫌だ。


せっかちというか、わがままというか、自分は待つのが大の苦手だ。食べ物を待っている状態は浅ましいという江戸っ子の意見を参考にもしてきた。実際の自分は浅ましいのだが、それを人に見られたくないというガキっぽい自意識が働いているのかもしれない。


女子店員はまだ、トロトロ粉をかき混ぜている、焼くなら早いとこ焼いちゃってくれよ。と思いながらも覚悟を決めた。シリアルを買わなきゃいけない事を思い出し、金を払って「じゃあ、お願いします」と、いったん店を出た。


すぐ隣の食品店に入ってシリアルをとってレジに出した。しかし、バーコードがうまく機能せず、値札もついていないので、「少々お待ち下さい」と男子店員が陳列棚を見に行った。


また、待つのか、と振り返ると、彼はシリアルの場所を把握しておらず、パンコーナーを探している。そこじゃないよ、ジャムんとこだよ。とヒリヒリしていると、おばさん店員が「そこじゃないでしょ」とスカッと参上。


『やはり年配のかたはよどみがなくてよろしい、ふ〜っ、助かった』と見るとジャムの上を探している。そこじゃないでしょ、真下、真下!


イライラしてたいやき屋に戻ると、女子店員がさっきの姿勢のまま、まだ、トロトロ粉をかき混ぜている。男子店員が今まさに1個目のたいやきを袋に入れようとしている。


『え〜〜〜〜〜〜〜〜っ?!』


いくらシリアルの旅が長引いたとはいえ、すぐ隣なんだから2、3分。 2、3分で「たいやきやいた」とは思えない。……て事は焼いてあったやつを、今、入れてるのか? 袋へ? 2、3分気絶してたのかい?


女子店員も奥にいる若者ふたりも、特に手伝う様子もなく、黙って男子店員をながめている。


男子店員の前には紙袋がふたつ並んでいて、1個目のたいやきをバカ丁寧に入れ、あんシールを水平〜に張り、もうひとつの袋のかたちを両手でそぉ〜っと整え、やっぱり焼いてあったストックの場所から爆弾処理班の慎重さで2個目をつまみ上げ、これまた殺人的な丁寧さで袋に入れ、定規、水平器、人工衛星などを駆使してクリームシールを袋の垂直、水平、クソド真ん中に張り、さらにその2つの袋をレジ袋におさめ「お待たせしました」と言った。


…ああ、待ったよ、待ちました。あんまり待ちすぎて、またぞろ歳をとっちゃったよ!


気のせいか、近頃、店員のテンポが遅いような気がする。


末筆失礼


【オグラメール係より】
〜『オグラの出産』ライブ後、オグラメールにアンケートを送ってくれた方々へ〜
端末に不具合があり、せっかくいただいたアンケートのデータが消えてしまいました。誠に恐れ入りますが、こころあたりのある方は御一報下さると助かります。申し訳ありません、お願いいたします。