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レギュラーコラム オグラ

[2006年04月25日]
vol.43『詩集の宣伝話』

 
先日、一冊の本が発売された。 友部正人プロデュース『LIVE! no media 2004』という朗読CD付きの詩集だ。

詩人とミュージシャン、14名による詩の朗読ライブのもようがCDになっていて、本にはそれぞれの詩がのっている。 友部さん、谷川俊太郎さんなどの名人上手と若いミュージシャン達にまじって僕も参加しているという訳だ。

製品を二冊ほどもらったが、読まないうちに人に上げてしまったので、近所の本屋へ買いに行った。女店員に「詩集のコーナーどこですか?」と聞くと「ししゅう? ししゅうのコーナーというのは特別もうけてありませんが、どのような?」という。 ん? 詩集のコーナーがないなんて、ふとどきな本屋である。「どのようなっていうかCD付きの…」「…? どんなものを編むんでしょうか?」 編む? ああ、言葉を編むっていうから編むか、 洒落た言い方をしてきたね? 「どんなといわれても言葉を…」 ん? 編む? 編む? ああ〜編むか!「そっちの刺しゅうじゃなくて…」

「あっ、詩集のほうですか、失礼しました」。

なんて、のどかな四コマ漫画があった後、案内された場所にありました『LIVE! nomedia 2004』。町の書店に並んだ本の中に自分の詩がのっている。 OH〜、恥ずかしいような、うれしいような気分で一冊買いました。

で、詩とはいったい何ぞや?

僕は詩人じゃないので、難しいことはわからないけど、万能の遊びなんじゃないかとニラんでいる。

例えば、そのへんの紙に『昨日 僕はアフリカへ行った』と書いてみる。できればタテ書きで。 そしてその紙をじっと見てみる。 するとどうだろう、なんだか行ってきたような気がしてくるから不思議だ。 いや、気がしてくるつーか、本当に行ったのかなあ? 行ったんだ! そーだそーだ、そーいえば、昨日確かにアフリカへ行ってきたよ。 で、何を見たんだっけ?

『キリンを見た』と書いてみる。…しかし、よく考えてみるとこれはウソだ、ウソはいけませんウソは…。 いやいや確かにキリンを見たけど、そのキリンは昨日、公園に落ちていた子供のクツに印刷されていたんだ。 そして、見ていたのは自分じゃなくてキリンのほうだ。 あんまりカラフルなクツだったので、キリンの視線を感じたのだった。 ハハハ、なんだかおもしろいぞ…。

紙に『昨日 僕はアフリカへ行った』と書いただけで距離と時間をいっきに飛びこえられる。

この調子で書いてみよう、思いつくままに書いてみよう。 そのキリンは何を考えていたんだろう? 見られた僕はどんな気持ちだったんだっけ?……ひらひら書こう、どんどん書こう。

どんどん書いているうちに、紙では物足りなくなってくる。テーブルに書こう、カーテンにも書こう、ひとんちのカベに書こう。 社長の車に、コックさんの帽子の中に、赤ちゃんの足のうらに、あらゆるものに詩を書こう。

なんか、でっかいものにも書いてみたい。ジャンボジェット機に、ホワイトハウスに、核ミサイルに詩を書こう。 ちっちゃいものにも書いてみよう。そらまめに、髪の毛に、ミジンコの触角に、うわ〜!止まらない。

さあ、あなたも書いてみよう。詩は読むより書いたほうがおもしろいのかもしれない。思いつくまま、ありとあらゆる場所に、あなたの言葉を書いてみよう。そして、この世界を君の詩集にしてしまえ〜♪

…と、これは僕の『詩人誕生』という歌の歌詞だ。 途中から興奮してきておかしくなってしまいました、すみません。 言葉を書いていると興奮してくる。知的興奮をおぼえるってやつか? いや、違う、これは万能の遊びだ。 遊びとは興奮するものなのである、ハハハハハ。

末筆失礼

【宣伝】

『LIVE! no media 2004』思潮社 ¥2310

これまでMIDIからCDとして出していた詩の朗読アルバムno mediaのシリーズが、今回は朗読CD付詩集として出版社から発売。友部正人監修。


《参加者》田辺マモル、町田直隆、オグラ、谷川俊太郎、宮沢和史、知久寿焼、水谷紹、工藤直子、三宅伸治、平井正也、尾上文、田口犬男、石川浩司、友部正人。