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レギュラーコラム オグラ

[2004年11月13日]
vol.26『野菜の話』

 
 鎮まれ自然、高いぜ野菜。


いつだったか、早稲田の方へ、つまらない用事で行った時の事…。


疲れたので団地の公園でひと休みしていると、目の前で行商のおばあさんが野菜を売っている。

そこへひとりの主婦がやって来た。


「どうも、こんにちは。 この前のタマネギ本当においしかったわ…」


「みんなウチで作っておりますから、おいしいですよ」


「ね〜、最近の野菜は形がいいばっかりで、味が全然ダメね」

「ええ、ウチのは形は良くないけど、味はおいしいですよ」


「ホント、そ〜ね〜、昔の野菜は虫がくってたでしょ〜? でも、あれがいいのよ。虫が食べるってことは安全って事だから…」


「そうですよ、ウチは農薬使ってないから。 まあ、ちょっくら虫くってるのもありますけど、くってないのを選んでって下さい」


「ううん、いいのよ、ウチの子供なんか、みんな平気で食べちゃうのよ…。あ、これ虫がくってる…」


見ると、じゃがいものビニール袋の中に小さな虫が這っている。

おばあさんはその袋をとり、違う袋を手渡した。


「あ〜、い〜の、い〜の。 でも、こっちの方が大きいから、これ、もらおうかしらね。やっぱり料理って素材で決まるから。…あ、これも虫…」


おばあさんはまた違う袋を手渡した。


「ホントにいいんだって。ウチの子、全然気にしないんだから。昔はキュウリなんかもみんな曲がってたでしょ? あれがいいのよ。…あっ、また、いた!」

主婦は袋の上から、虫を潰しはじめた。

おばあさんはまた違う袋を手渡した。


「あ〜、も〜、ホントに大丈夫ですから…。スーパーで売ってるのなんか恐くて買えないんだもの、いつ来るかと思って待ってたんですよ。…ホラ、ここにも!」


結局、じゃがいも以外の野菜も物色し、『ね?、見て、ここ』などと言いながら、さんざん虫を潰しまくり、最初にキープしたじゃがいもとタマネギを買って帰って行った。


僕ら現代人の繊細さは深刻である。テレビや新聞に脅かされながら、毎日を泳いで行く。矛盾をひとつずつ解決していこうと思ったら、気が狂うだろう。


ナチュラル主婦よ、……無理すんな。 がんばれ、虫の佃煮でもう一品。

末筆失礼


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