header_081001_04.gif


レギュラーコラム オグラ

[2004年07月07日]
vol.22『七夕の話』

 
 七夕といえば、幼い時分にイヤな思い出がある。小学校の2年生だったと思う…。


帰りの会で担任が「明日は七夕だから、なにか飾りものを一つ作ってきて下さい。」と言う。見ると校庭に大きな笹が何本か設置されている。僕は即座に『ロボットにしよう』とひらめいた。家に帰っておじいちゃんにダンボールをもらい、おばあちゃんにヤクルトの容器を二つもらった。おばあちゃんは「そんなもん、なんに使うだね? ちらかすじゃないよ」と言ったが「違うだよ、七夕の飾りにロボット作るだよ!」と夢中で制作に取りかかった。


ダンボールで頭と胴体と手足を作り、タコ糸でつないだ。『こうすれば、風に揺られて動くぞ、フフフ』。色紙で目と口をつけてヤクルトを耳にした。『あっ、そうだ、針金、針金…』おじいちゃんは元大工だったので納屋にいろんなものを隠し持っているんだ。 頭のてっぺんに針金でアンテナを刺して出来上がり。『やった!完成だ、フフフ』。「な、なんだね、あんた、随分りっぱなのを作ったねえ」とおばあちゃんも感心している。フフフフフ。僕は風に揺られるロボットを夢見ながら眠った…たぶん。


あくる日、ロボットを風呂敷に包んでもらい登校。道々、みんなそれぞれに何か持って来ている。おり姫だったり、ひこ星だったり、吹き流しみたいのだったり、星だけだったり…。

『あれ? でも、なんか、みんなの、小さいなあ…』


見ると、他の生徒は、折り紙で作ったおり姫やひこ星を片手にぶら下げている。僕は風呂敷に包まれたロボットを背負っている…。 みんなは片手にぶら下げている…、僕は背負っている…。 みんなはぶら下げ、僕は背負って……。

『し、しまった、デカすぎたんだ!』

急に恥ずかしくなり、教室に着いたとたんロボットをロッカーに隠した。担任が入って来て「作ってきた飾りものを、机の上に出して下さい」と言ったが、僕は出さなかった。


「あれ?小倉君はどうしたんですか?」と聞くので「すいません、忘れてしまいました。」とウソをついた。すると、誰かが「先生、違いま〜す、小倉君は何か持って来ていました〜!」といいやがった。


まったく、どんな世界にもおせっかいな奴はいるもんで、『おい、おい、よぶんな事ゆーんじゃないよ』と思ったかどうかは忘れちゃったけど、出せ、出せ、と言うので仕方なく風呂敷をほどいた。


出てきたのは、当人が中へ入れそうなデカいロボット。 一瞬、教室がどよめき、担任から『なぜ、隠すんだ』というお小言をもらった後、「小倉君はこんな立派なロボットを作って来てくれました。みなさん、小倉君に拍手!」「パチパチパチ」。 僕は泣いてしまった。


子供心とは不思議なものだ。おせっかいな奴を恨んで泣いたのかもしれないし、拍手されるようなおぼえはないのに、なんかバカにされたような気がしたからかもしれないな。


放課後、笹に吊るされた、ひときわ目立つオブジェを見ながら『もう、二度とロボットは作るまい』と誓い、戒めた。


おばあちゃんも、ひとこと言ってくれよ!

『大きすぎやしないかね?…』



末筆失礼


【感謝】えー、暖かい励ましのメールを送ってくれる皆さん、どうもありがとうございます。日毎夜毎、励まされております。ライブにも是非。