ロックンロールニュース


レギュラーコラム オグラ

[2004年05月25日]
vol.20『お札の話』

 
 急に、思いたってニセ札を作ってみた。


と言うのも、ちょっと前にどこかの中学生がコピー機を使って紙幣を偽造し、お縄になったというニュースを見たからだ。 中学生にできて、いい大人の僕にできないはずはない。


さいわい家にはスキャナーがあって、プリンターもある。 面白半分に壱万円札をスキャンしてみた。ニ〜タカタカタカ。モニター画面に写し出された壱万円札は本物そっくり。あたり前だ、素材が本物だからね。 裏面も写し取り、両面印刷で刷ってみた。


裏表に若干のズレがあり、色もずいぶん淡い。何が違うって、紙の質感がまったく違う。


『う〜ん、これじゃあ、すぐバレるなあ。やっぱり、こーゆう事にも惜しみない探究心と根気が必要なんだな。』とあきらめて、丸めようとした。…が、『せっかくだから、切って見るか』と思い、カッターナイフで切り取ってみた。 …軽いドキッ。『やっぱり、切って見るとさすがに迫力あるなあ』。サイズがおんなじだからね。サイフに入るよう、たたんだとたん!…ドキッ、ドキッ、ドキッ!『うわ〜、立派な偽造紙幣だ!』


そこへ、友人が訪ねて来た。「どうした?急に」「俺、引っ越すから本返しに来たよ。」「あーそう、そいじゃあ、上がってお茶でも飲んできな。」っつって座布団を出した。


「引っ越しで金が全然なくなっちゃったよ。」なんていう他愛もない話をしながら、数十分…。ふいに会話が途切れた。 僕はスッと立ち上がり、例の作品を引き出しから取り出した。「これ、使っていいよ」といいながらビリッと破って見せた。




友人は「何これ、ニセ札じゃん…」と冷めた表情で言い、じーっと見てから、突如けたたましく笑い出し、涙のクラッシュ!。「うわ〜、ダメだよ、こんな事しちゃあ〜」とか「悪い奴だな〜もう…」なんっつって長いこと爆笑している。



『なっ? お金がなくなったら、刷ればいいんだよ。 お腹がすいたら、刷ればいいじゃないの…。もう、生涯、ライブだけやってればいいのよ〜。』



笑いやむのを待ち、いきさつを説明すると、「へえ〜、でもバレるよ。質感がまったく違うもん」。ってそれはさっき僕が思ったんだよ…。


しかし、そんな事いいながら、立て膝でそのニセ札をじーっと見ている。


じーっと見てから、またもや爆笑して「お〜い、ダメだよ、こんな事しちゃあ〜、犯罪だよ〜ウッヒャヒャ」。 で、また、じーっと見て、爆笑して「お〜い、ダメだよ、こんな事しちゃあ〜、犯罪だよ〜ウッヒャヒャ」。 で、また、じーっと見て、爆笑
して…。


その姿を見ていたら、僕はだんだん恐くなって来た。『ニセ札だとわかっていながら、お金というものは、こんなにも人の心を惑わすものなのか。あ〜鶴亀、鶴亀。』


結局、ヘタに捨てるより燃やしたほうがいい。って事になって、蚊取線香の缶の上で火をつけた。一気に燃えるかと思いきや、端っこが残ってしまった。その焼け焦げた端っこが、これまた、ものすごく犯罪のにおい…。あ〜鶴亀、鶴亀。


という、やけにリアルな夢を見た。発汗、恐。


末筆失礼


【感謝】えー、暖かい励ましのメールを送ってくれる皆さん、どうもありがとうございます。日毎夜毎、励まされております。ライブにも是非。