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レギュラーコラム オグラ

[2004年04月14日]
vol.19『前回のつづき話』

 
 信じられないかもしれないけど、僕はギターを買った事がない。

高校生の頃、グレコのバイオリンベースを5万円で買って以来、ギターというものを買った記憶がない。ではどうしてたかと言うと、
人にもらったり、交換したり、誕生日にプレゼントされたり、ジン・トニックをおごって譲り受けたりと、20年近くしのいで来た。まったくふざけた、わらしべ野郎だ。 こんな事だから鳴かず飛ばずなんじゃないかと、思いきって買うことにした。


しかし、ギターを買うのは難しい。結局ライブで使ってみなければ、善し悪しはわからないだろう。いろんな人に聞いてみると、一生もんだから10万ぐらいかけた方がいいよって奴もいるし、60万のオールドギターを買って失敗したって奴もいる。 ろ、ろ、60万円といえば銀座にお城が建つ値段じゃないか? 牛を何頭も飼って、イタリアのスーパーカーを2台乗り回し、カツ丼を大盛りにしても、まだ余るという大金だ。 もう少しお手軽で、ボディが小振りで、色味は渋く、そいでもって鳴りはバツグンにいいという、そんなアコースティックギターはないものか?


で、前回。 酔いにまかせて出掛けてった訳です。


楽器屋に、こう、泳ぐようにして入っていくと、あるわ、あるわ、売る程あるわ。しかし、どれもボディが大きく、お手重だ。 『よし、つぎ行ってみよー』と、また、泳ぐようにして出ようとすると、店先に小振りな奴が吊ってある。値段を見るとかなりのお手軽。だけど、色がいまいちだ。『う〜ん、これで色が渋かったらどうだろう?』なんて考えながら眺めてると、「弾いてみますか?」と店員が寄ってきた。「あ、いや、あの、ちょっと、ふらーっとね…」なんて逃げようとすると「これ、割といい音しますよ。ぜひ、弾いてみて下さい。さ、さ、中へどうぞ」。


なかば強引に引っぱり込まれ、椅子に座ると「ちょっと、チューニングしますから…」なんつってポポ〜ン、ボボ〜ンとチューニング。 『早いもんだなあ』と感心してると、ジャンジャンバラバラ弾き出した。『お前が弾くんかい』だ。ずいぶん長いので、歌いだすんじゃないかとハラハラしたが、「じゃあ、どうぞ」と手渡された。


持ってみるとしっくりくる。 あれ?なんだかいいぞ。弾いてみると音もいいような気がする。「けっこう乾いた音するでしょう?」うわ、見てるよこの人は。どっか行ってくんないかな〜と思いながらも自作の曲をポロッと弾いた。「いやー、個性的な素
晴らしいリフですねえ」。…またまた、そんなこと言って買わせようとして……でも、確かに、この曲はEmからF7 へ行くという、なかなかどうして…そんな、まあ、あなた、素晴らしいって程でもないけど……いやいや、ダマされませんよ。

「色もすごく似合ってますねえ」…ほ、本当かな? ショウウィンドウに映った、わらしべ野郎を見てみると、なんだか悪くない。「さ、さ、もっと近付いてごらんになって下さい」「あー、どうもすいません…」「いやいや大事なことですから…」


結局、買いました。家に帰る頃は、すっかり酒も抜け、さっそく弾いてみようと、ケースから出すと

『うわっ、何だこれ、変な色!』


宿酔いでギターは買わない方がいいようです。


末筆失礼


【感謝】えー、暖かい励ましのメールを送ってくれる皆さん、どうもありがとうございます。日毎夜毎、励まされております。ライブにも是非。