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レギュラーコラム オグラ

[2003年07月25日]
vol.10『7月23日深夜の話』

 
 飲み屋で知り合った集団と意気投合した僕は、表を見てビックリ、いつのまにか夜が明けている。もう、帰えんなきゃと思っていると、ひとりの女の子が「このままみんなで、映画行こうよ」って言う。その娘がちょっと可愛かったので、なんとなく、ついて行くと、その映画館は、映画が始まっても客電がつきっぱなしで、変に明るい。おかしな映画館だなと思いながら、それでも集団にまじって見ていると、僕の横にいた男が「なんだ、こんな映画…」なんつってぶつぶつケチをつけ出した。あ〜あ悪酔いしてるなあと思ってると、一番前にいた客が振り返り「うるせえぞ、この野郎」って言い合いが始まってしまった。誰かが加勢すると、ひとり、またひとり、と関係ない客まで立ち上がってワーワーなり、この一味は嫌だなと思い、隅の方へ行くと回るプールがある。


 そこでは子供服を浮かべて、その上に何人乗れるか?というゲームが行われている。僕は一人目なのに、乗っても、乗ってもブクブク沈んでしまい、相手チームが5、6人乗ったところでタイムオーバー。「あ〜あ、みんなにすまないなあ…」なんて思っていると、もう次のゲームだ。


 二人一組が、向き合って肩に手を置き、お菓子の缶のフタに乗る。そして、息を合わせて腰をツイストさせながら、徐々に空中浮遊していく、というゲームだ。僕は照明係のおじさんとコンビを組み、くるっ、くるっ、っとやるがいっこうに浮かばず、またもやタイムオーバー。


 すると突然、司会者が出てきて「正解は『右にひねると浮かびやすい』でした」という。できなかった人たちが「あ〜そうだったのか」なんてどよめいている中、金融会社の社長といわれる人が、お手本をやってみせるんだけど、酔っぱらっててちっとも浮かばず、まわりの人々にヤジられている。

「社長、そんなことだから彼女に逃げられるんだよ」なんて、みんなでワキあいあいと笑っている。


 あ〜あ、内輪のりって嫌だなあ、と思いデパートの宝石売り場を歩いて行くと、黒山のような人だかり。人垣を縫うようにしてのぞいて見ると西村雅彦という俳優さんの髪をみんなで撫でている。そのさわり心地があんまり気持ちよさそうなので「すいません、僕もいいっすか?」って撫でてみると、その髪の毛は意外にも堅く、「はは〜ん、女が男のことを可愛いってゆーのは、こんな感じなのかもしれないな」と思った所で目がさめた。…


 夢を書くのって難しいなあ。

PS・夢の中、全速力で逃げようとするんだけど、足が蚊の足みたいになってて、ちっとも走れない事ってないかい?



末筆失礼

[2003年07月05日]
vol.9『懐かしい笑顔の話』

 
もう、ずいぶん前の事になるけど、奇妙な一日があった。かんかんとして明るい夏の午後、区民プールで泳いだ帰り道、僕は住宅街を歩いていた。

ちょうどいい位の疲労感と、まだ水の中で揺れているような浮遊感。たまには、ちがうルートで帰ってみようと思い、泳ぐようにして、何度も路地を曲がって行った。すると、人がやっとすれちがえるくらいの細い道に出た。

あれ、こんなとこあったっけ?と思いながら見ると、その道はずいぶん向こうまでつづいている。人っ子ひとりいない見慣れない道…。突然、過去へタイムスリップしちゃったみたいなおかしな気分だ。


その日はほんとに暑くて、濡れた髪の毛から水と汗がポタポタ垂れてくる。地面に落ちる水滴がなんだか面白くて、模様を描きながら歩いて行くと、前方に何かの気配。顔を上げると、ダウン症の人が路地から出てきた。その人は僕を見た瞬間、とても懐かしそうに、くにゃーと笑った。僕のほうもつられて「お〜、久しぶり〜」っていいそうになったぐらい。僕はその笑顔から目線を外せずにいた。

かんかんとして明るい夏の午後、僕とその人以外、誰もいない…。その人は満面の笑みで、静かに近づいてくる。なんだか僕も懐かしいような気持ちになってきて、すれちがいざま、軽く会釈すると、向こうもペコリ。


「振り向くと、その人はもういなかった」…なんて話はありそうだが、振り返っても、その人はちゃんといて、おまけに、まだこっちを見ている。「猫か?お前は」と思ったかどうかは忘れちゃったけど、もう一度おじぎすると、その人も深々と頭を下げ、路地へ消えていった。


僕たちは、遠い昔に友だちだったのかもしれないな。僕は忘れっぽいからその記憶がないけど、あの人はちゃんと覚えていたんだろう。じゃなきゃ、あんなに懐かしい笑顔は浮かべないよ。僕のほうも不思議と切ないような気分だったし…。うん、きっとそうだ。



末筆失礼