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レギュラーコラム オグラ

[2003年06月06日]
vol.7『C&Oパラドックス』

 
 えー、とある晩秋、今だ天動説を実感しながら散歩してますと、商店街に奇妙な看板
アリ。

いわゆるスタンド看板ってやつでして、アクリル板にでっかくカレー』とあり、そ
の横に小さく細長い紙で『おでん始めました』と手書きされている。カレー屋におで
んか…パリジェンヌとサムライが恋におちてカクテルなド根性ってことかな?と思い
通りすぎる。

帰り道、またそこまで来て奇妙な感覚。さっき見たはずの看板が『おでん』になって
いる。あれ?カレー屋じゃなかったっけ?。で、よく見ると裏はやっぱり『カレー』、
細長い紙で『おでん始めました』。こっち側は『おでん』、で、同じように細長い紙
で、なんと『カレーもあります』。

んー?ってことはあれか、カレーをメインにやってた店がおでんも始めたことになる
けど、その裏側はおでんがメイン、カレーはあくまでも細々と、って印象になってし
まっているぞ。おまけにその看板は、つい最近、発注しました、ってくらい新しいと
きた。

「こう、不景気じゃどうしょうもないよ、ひとつ看板でもリニューアルして、ついで
に自分もふたつ、みっつ若返っちゃおう」と思った店の主人はタウンページをパラパ
ラめくり、業者へ電話。

「とにかく四十年、カレーでやってきましたからねえ、できるだけ大きな字でカレー
として下さい。」「へい、で、もう片面はどういたしましょう?」「おっ!そいじゃ
あちょうどいいや、最近始めたから、おでん!おでんでいきましょう。」

 しかし納品された看板を見たおかみさんは「これじゃあなんだねえ、左から来た人は
カレー屋、右から来た人はおでん屋だと思っちまいやしないかねえ。」「うるさいね、
お前は、思ったっていいじゃねえか、四の五のいってると棒でたたくよ。」

「…どうして、ああバカなんだろうねえ、あの人は、カレーと一緒に煮込んでやろう
かしら。」

なんていいながら、そこは目が横に切れてるおかみさん、あくる朝、戸棚へ頭突っ込
んで、紙とマジックを…。

 そして、このC&Oパラドックスが起こったんだな、と思いながらひとり微笑していた
って訳でして…。

末筆失礼