[2003年05月28日]
シナモン日記 vol.2

煉炭月スーサイド日
また、練炭で人が自殺したらしい。
ネットで知り合った、自殺希望者がどこかに集まり、窓を閉め切って集団自殺する。
世間でこの行為をなんと呼んでいるかは知らないが「無理心中」ではないにしろ「無理矢理な心中」という気配はする。「六本木心中」でないことくらいはわかるが、なにか、この現象自体がしっくり受け止めきれないでいる。
人の命の話だ。それをちゃかすつもりは毛頭ない。
しかし、「また練炭で死んだ」「また練炭で死んだ」「また練炭で死んだ」というニュースを耳にするたびに、「それは、流行ってるのか?」と言いたくなるし「練炭って…」とつぶやいてしまう。
練炭で死ねば、人に迷惑をかけず、楽に、形を残して、キレイに死ねるという情報が流れているのだろうか?死にたいな、と思っていた人々が、同じように考えている人とネットで意気投合し、背中をおされたのだろうか?
よほど思いつめ、引くに引かれなかったのかもしれない。一酸化中毒で頭が割れそうにいたかったと思う。
でも、その人たちは自分が子供の頃、自分が死ぬ時、赤の他人と練炭なんかで心中するなんて考えもつかなかったと思う。その時流行った死に方をまねて、本当はなんにもわかりあえてない偽りの同士と、手をつないで、クズを練り集めた炭を燃やして人生が終わりだなんて、想像もしなかったと思う。
自殺をする人は、一年間で、交通事故で死ぬ人より圧倒的に多い。珍しい死のカタチじゃない。敢えて言えば、ありきたりな死に方だ。でも、自殺は、自分の死に方を決められる唯一の死に方だ。それを思い出してほしい。
死ぬ時くらい、他人の決めた流行りに流されず、個性的に死ねるはずだ。そう考えて、そこにある練炭を見てくれ。馬鹿馬鹿しくなって蹴り飛ばしたくなるはずだ。
こんなしょぼくれ穴空き野郎なんかに介錯されるほど、俺の人生、そこまでスカスカじゃねぇ!どうせなら、東京ドーム一杯分の練炭持ってこい!ケチ臭いこと言わねェ!備長炭も5万トン、テンコ盛りにしろ!ハレー彗星、俺めがけて飛んでこい!俺が口で吸ってやる!
よくわからない流行りに背中をおされないでほしい。
でも、もう何も考える気もしない。没個性な死に方でもかまわない。とにかく、もう疲れたんだ。そうも、思うことは知っている。
気力がなくなるんだ。僕は昔、仕事もせずにずっと家にいた。電気も止まってるし、クソも流れない。水道も来てないからだ。何の未来も見えないし、それ以前に、今日食う米もない。友達はいなくなる。もちろん、女は寄り付きもしない。それを見て、人は、「働けばいいのに」という。そんなことは当然わかってる。でも、気力がでないんだ。身体が動かないんだ。死ぬ気力さえ、僕にはなかった。
ネットで仲間を探して、死ぬ為にでも出会える人たち。まだまだ、気力は残ってる。
人と出会うこと、それが一番面倒で、楽しいこと。それが出来るなら、集まって死なずに、その練炭で焼肉でもやって、ビールを飲んだ方がいい。
フーテンの寅さんは甥のミツオにこう聞かれた。
「おじさん、なんで、人は生きてるの?」
そして寅さんは答える。
「あれじゃないか?長いこと生きてると、時々、あぁ、生きててよかったなぁってことがあるだろ?その時のために、生きてるんじゃないのかな?」
練炭、いや、自殺は全部そうだけど、もうちょっと生きてたら、その自殺よりも、もっとおもしろいことが一回はある。生きててよかったなぁと思うことが絶対ある。
僕の親戚や友達に自殺した人が何人かいる。弟が自殺したと電話で聞いたオカンはその場でワンワンと、子供みたいに泣いていた。僕は、それも寿命だよと、オカンを慰めたけれど本当はそう思わなかった。なんてことするんだ、と思った。もったいないことするな、と思った。生きたいと願い、何度も手術して、つぎはぎだらけになったオカンは結局死んだ。
おじさんには今でも思う、それ、いらねぇんだったら。オカンにちょうだいって。月並みな感想だけど、今でも思う。
今、煉炭なんかで死のうとしてる人。もしかしたら、この曲、聴いたことないのかもしれないなぁ、と思って、一曲紹介します。初期のデビット・ボウイの曲です。死にてぇなぁと思ったら、一回、大音量で聴いてみて下さい。訳詞、書いときます。死ぬ前に、聴いとかなきゃいけない曲、いっぱいあるよ。
「ROCK &ROLL SUICIDE(ロックン・ロールの自殺者)」
時はシガレットを手にとらせ あなたの口もとに運ばせる
あなたは指をそぐように引く
また次の指も そしてシガレットも
叫びは壁から壁へと響き渡り あなたは忘れてしまう
あなたは ロックン・ロールの自殺者
失うには年老いすぎ 選ぶには若すぎる
時計は気長にあなたの歌についていく
カフェを通りすぎるけれど食べようとはしない
あなたは長く生きすぎた
あなたは ロックン・ロールの自殺者
あなたはよろめきながら道を渡る
突然シェブ・ロレイの急ブレーキの音
それで一日はだいなしになる 家に急いでいるというのに
あなたの影を太陽の光で失くさないでくれ
気にかけちゃいけない ミルク配達のことなんて
それがとても自然というもの にじみ出る薄情さ
ちがうんだ 愛する人よ! あなたはひとりじゃない
自分ばかりを凝視(みつ)めているけど それは正しいことじゃない
混乱しっぱなしのあなたの頭
けれど もし 僕があなたの気をひけるなら
おお ちがうんだ 愛する人よ! あなたはひとりじゃない
たとえ何であろうと 誰であろうと
あなたは存在していたはずだ
あなたは見ていたはずだ
そのナイフが あなたの頭をずたずたに引き裂いたのだ
僕にもかつてそんなことがあった
どうにかして僕はあなたを救おう
あなたはひとりじゃない 僕のほうを向いてくれ
あなたはひとりじゃない 戻ろう 生きるんだ
あなたはひとりじゃない あなたの両手を差しだすんだ
あなたは素晴らしい 両手を差しだしてくれ
あなたは素晴らしい 両手を差しだしてくれ


































